NVIDIA EGX エッジAI プラットフォームが製造,小売,通信,ヘルスケアやその他の業界でリアルタイム AI を実現
2020-5-15
NVIDIA は5月14日,エッジでの高性能かつセキュアな AI 処理を可能にするために,大規模な市販サーバー向けの EGX A100,ならびにマイクロエッジ サーバー向けの小型の EGX Jetson Xavier NX という,NVIDIA EGX エッジAI プラットフォーム用のパワフルな 2 つの製品を発表した。
NVIDIA EGXTM エッジAI プラットフォームにより,病院や店舗,農場,工場では,数兆のエッジセンサーからストリーミングされる,膨大な量のデータをリアルタイムで処理および保護できるようになる。このプラットフォームにより,いくつものサーバーを安全に設置し,リモートでの管理およびアップデートが可能になる。
EGX A100 コンバージド アクセラレータ,および EGX Jetson Xavier NX マイクロエッジ サーバーは,サイズ,コストおよび性能におけるさまざまなニーズに対応するために開発された。EGX A100 を搭載したサーバーは,空港などで数百台のカメラを管理することを想定しており,EGX Jetson Xavier NX は,コンビニエンス ストアなどで数台のカメラを管理することを想定している。クラウドネイティブであるため,EGX の全ラインアップが共通の最適化された AI ソフトウェアを使い,AI アプリケーションを簡単に構築および展開することができる。
NVIDIA の創業者/CEO であるジェンスン フアン(Jensen Huang)氏は,次のように述べている。「IoT と AI の融合により『Smart Everything』革命が始まりました。多くの産業で,電話業界にとってのスマートフォンのようなインテリジェント コネクテッドの製品やサービスを提供できるようになっています。NVIDIA の EGX エッジAI プラットフォームは標準的なサーバーを,小型のクラウドネイティブでセキュアな AI データセンターに変革させます。また,NVIDIA の AI アプリケーション フレームワークを使えば,企業はスマートリテールからロボット化した工場や自動化されたコールセンターに至るまでの,AI サービスを構築できるようになります。」
NVIDIA Ampere アーキテクチャをベースにした EGX A100
EGX A100 は,NVIDIA Ampere アーキテクチャをベースにした,初のエッジ AI向けの製品。エッジへのAIの普及が続くなか,企業や研究機関はサーバーに EGX A100 を搭載することで,エッジ センサーからストリーミングされる,膨大な量のデータをリアルタイムで処理および保護できるようになる。
EGX A100 では,NVIDIA Ampere アーキテクチャの圧倒的な性能に NVIDIA Mellanox® ConnectX-6 Dx SmartNIC の高速化されたネットワーキングとクリティカルなセキュリティ機能が組み合わされている。これによって,標準的な,特定用途向けのエッジ サーバーをセキュアでクラウドネイティブな AI スーパーコンピューターに変えることができる。
NVIDIA の第 8 世代の GPU アーキテクチャである NVIDIA Ampere アーキテクチャは,これまでの世代のなかで性能が最も大きく向上しており,エッジで実行される AI 推論や 5G アプリケーションといった,多様な演算集中型ワークフローに対応できるようになっている。これにより,EGX A100 はカメラや他の IoT センサーからの大量のストリーミング データをリアルタイムで処理することができ,より迅速な洞察の獲得と,業務効率の向上を実現する。
Red Hat のバイスプレジデント兼最高技術責任者であるクリス ライト(Chris Wright)氏は,次のように話している。「データ,AI,そしてクラウドネイティブでインテリジェントなアプリケーションは,あらゆる業界でエンタープライズ エッジを変容させつつあります。NVIDIA の新しい EGX A100 コンバージド アクセラレータは,Red Hat Enterprise Linux のためにプリコンパイルされたドライバおよび Red Hat OpenShift を採用している認定事業者と組み合わせることができるため,ハードウェアの設置と管理を簡略化することでき,さらにそれぞれのお客様が最も要件の厳しい AI エッジおよび 5G ワークロードについてのさまざまな問題に対処できるようになります。」
NVIDIA Mellanox ConnectX-6 Dx ネットワーク カードを取り付けることで,EGX A100 は最大 200 Gbps のデータを受け取り,それを GPU メモリに直接転送して,AI または 5G 信号の処理を行う。NVIDIA Mellanox の通信事業者向けタイムトリガ型伝送テクノロジ(5G 向け 5T)の登場により,EGX A100 はクラウドネイティブなソフトウェア デファインド アクセラレータとして,5G の最もレイテンシ センシティブなユース ケースにも対処することができる。そのため,EGX A100 は店頭や病院,工場のフロアといったポイント オブ アクションで,リアルタイムかつインテリジェントな意思決定を行うための,AI および 5G での究極のプラットフォームとなる。
Mavenir の社長兼 CEO であるパーディープ コーリ(Pardeep Kohli)氏は,次のように話している。「当社は NVIDIA と連携して,高性能で仮想化された 5G 無線アクセス ネットワークを製造し,5G パケットのコア ネットワークを加速してきました。EGX A100 により,AI/ML から AR/VR に至る用途で,GPU によって高速化された多様な 5G サービスを新たに導入できるようになります。」
小さいけれど,パワフルな EGX Jetson Xavier NX
EGX Jetson Xavier NX は,マイクロサーバーおよびエッジ AIoT ボックス向けの,世界最小にして最もパワフルな AI スーパーコンピューターとして,現在,エコシステム パートナーから 20 以上のソリューションが発売されている。EGX Jetson Xavier NX には,クレジッドカード サイズのモジュールに NVIDIA Xavier SoC のパワーが詰め込まれている。EGX のクラウドネイティブなソフトウェア スタックを作動させる EGX Jetson Xavier NX により,複数の高解像度センサーから送られるストリーミング データを迅速に処理することが可能になる。
エネルギー効率に優れたこのモジュールは,15W で最大 21 TOPS,10W で最大 14 TOPS という処理能力を有している。そのため,EGX Jetson Xavier NX は,AI ワークロードに対応するための性能の向上が求められているものの,サイズ,重量,電力量またはコストの制約がある,組み込みエッジコンピューティング デバイスに新たな可能性をもたらす。
Malong Technologies の共同創業者/CEO であるマット スコット(Matt Scott)氏は,次のように話している。「NVIDIA Jetson と NVIDIA EGX は,小売業を変容させようとしており,セルフチェックアウトをより速く,より確実にできるようにしています。当社の RetailAI スイートを通じて AI のパワーを活用することによって,数十万の商品をリアルタイムで正確に識別できるため,よりシームレスで,安全なショッピング エクスペリエンスを生み出すことができ,しかも大規模な展開も簡単にできるようになりました。当社は,今後も NVIDIA のパワフルなラインアップを活用し,エッジにインテリジェンスをもたらすことで,お客様の満足度を高め,小売業の業容縮小に対処してまいります。」
EGX エッジAI プラットフォーム全体にわたる,完全に最適化された,クラウドネイティブなソフトウェア
EGX エッジAI プラットフォームは,そのクラウドネイティブなアーキテクチャにより,コンテナ化されたソフトウェアを実行し,多様なGPU アクセラレーション ワークロードに対応することができる。
NVIDIA のアプリケーション フレームワークには,ヘルスケア向けの Clara,通信事業者向けの Aerial,対話型 AI のための Jarvis,ロボティクスのための Isaac,ならびにスマートシティや小売業,運輸などのための Metropolis で構成されている。これらは,組み合わせても,単体でも使用することができるため,エッジでの多様なユース ケースに新たな可能性を生み出す。
NVIDIA EGXのラインアップ全体でクラウドネイティブ テクノロジが利用できるようになるため,インテリジェント マシンのメーカーや AI アプリケーションの開発者は,ロボティクスやスマートシティ,ヘルスケア,製造業での IoT などを想定した,組み込みデバイスおよびエッジ デバイスで,高品質な,ソフトウェア デファインドの機能を構築および展開することができる。
EGX エコシステムに対する全世界からの支持
NVIDIA EGX ソフトウェア対応の既存のエッジ サーバーは,Atos,Dell Technologies,富士通,GIGABYTE,Hewlett Packard Enterprise,IBM,Inspur,Lenovo,Quanta/QCT および Supermicro といった,全世界の大手コンピューティング プロバイダーを通じて入手できる。さらに,Advantech や ADLINK といった大手のサーバーおよび IoT システムのメーカーからも入手できる。
Whiteboard Coordinator,DeepVision AI,IronYun,Malong および SAFR by RealNetworks といったソフトウェア ベンダーは,これらのサーバーと最適化されたアプリケーション フレームワークを使用して,ヘルスケア,小売り,製造およびスマートシティ用ソリューションを構築および展開することが可能になっている。
提供時期
EGX A100 は,本年末に発売予定。すぐに設置が可能な,EGX Jetson Xavier NX マイクロエッジ サーバーは,エッジシステムの大量生産を目指している企業向けに現在販売している。
●問い合わせ先
NVIDIA
www.nvidia.co.jp/