富士フイルム和光純薬,全自動でPCR検査の簡便・迅速化を実現 新型コロナウイルス用遺伝子検出試薬「ミュータスワコー COVID-19」(研究用試薬) 新発売
全自動遺伝子解析装置「ミュータスワコー g1」用
2020-5-8
富士フイルム和光純薬(株)は,独自のμTAS(ミュータス)※1技術をPCR※2検査に応用した全自動遺伝子解析装置「ミュータスワコー g1」用に,新型コロナウイルス遺伝子を全自動で簡便・迅速に検出する研究用試薬「ミュータスワコー COVID-19」を5月8日より日本で発売する。本研究用試薬は,厚生労働省健康局結核感染症課及び国立感染症研究所による「臨床検体を用いた評価結果が取得された2019-nCoV 遺伝子検査方法について」(2020年5月1日版)において,陽性一致率100%,陰性一致率100%として結果が公表され,保険適用の対象となっている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は今年1月28日に日本国内で指定感染症と定められ,3月11日にはWHOがパンデミック(世界的大流行)と認定した。日本国内では国立感染症研究所(以下,感染研)のほか,各地域の衛生研究所,民間の検査機関などで検査が行われている。PCR検査は,RNAの抽出や精製など,煩雑な検査工程での正確な試薬の取り扱いが求められるため,熟練した検査員により長時間かけて実施する必要がある。
同社の全自動遺伝子解析装置「ミュータスワコー g1」は,核酸(RNA)の抽出・精製からRNAをDNAに転換する逆転写反応※3,DNAの増幅・検出までの工程を全自動で行う装置。マイクロ流路チップ内で遺伝子検出に必要な一連の工程を全自動で行うことができ,簡便な操作で迅速な測定を実現する。
今回同社は,「ミュータスワコー g1」を用いて簡便・迅速な遺伝子の検出を実現する新型コロナウイルス用遺伝子検出試薬「ミュータスワコー COVID-19」を開発した。採取した検体を専用の前処理チューブに入れ,酵素溶液,試薬カートリッジ,マイクロ流路チップを装置にセットする数分の作業のみで,検査員の手を煩わせることなく遺伝子検出に必要な煩雑な工程を全自動で行うことができ,これまで4.6時間かかっていた検査時間を約75分と大幅に短縮する。
作業時間を最小限に抑えて感染リスクを低減するとともに,熟練した検査員でなくても簡単にPCR検査が実施でき,検査員の負担軽減と幅広い医療機関での迅速検査に貢献する。
<測定フロー>
同社は,企業活動のベースとなる「次の科学のチカラとなり,人々の幸せの源を創造する」という理念のもと,全自動遺伝子解析装置「ミュータスワコー g1」用の新型コロナウイルス用遺伝子検出試薬を提供することで,安全で簡便・迅速な新型コロナウイルス検査に貢献する。
※1 Micro Total Analysis Systemの略称。半導体製造技術を用いてプラスチック等の基板上にnm~μmオーダーのマイクロ流路を作成し,混合,反応,分離,検出等,すべての工程をマイクロ流路チップ上で行うシステム。反応の場が小さいために,装置の小型化,温度コントロールや反応の迅速化等多くのメリットがある分析手法。
※2 ポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)の略称。DNA配列上の特定の領域(目的のDNA領域)をサイクルを繰り返しながら増幅させる手法。応用範囲が広く,生物学の研究以外にも様々な領域に活用されている。
※3 逆転写酵素を用いて,RNAからDNAへ転換(逆転写)する手法。RNA自体を増幅する手法が確立されていないため,検出を進めるためにはRNAからDNAへの転換が必要となる。
<今回発売する製品一覧>
全自動遺伝子解析装置 ミュータスワコー g1
核酸の抽出,精製,増幅および検出を全自動で行う装置
<測定フロー>
(1) 前処理チューブ,試薬カートリッジおよびマイクロ流路チップを含む核酸精製キットを装置へセットする。
(2) スタートボタンを押すと測定を開始する。検体から核酸の抽出,精製,増幅および検出の一連の工程が全自動で行われる。
(3) 測定結果を確認する。
医療機器届出番号 27B3X00024000016
●問い合わせ先
富士フイルム和光純薬(株)
http://ffwk.fujifilm.co.jp/