日立製作所,欧州初の日立陽子線がん治療システムがスペインのナバラ大学病院で稼働開始

2020-5-7

放射線治療

日立(日立製作所,日立ハイテク)


(株)日立製作所(以下,日立)は,スペイン王国(以下,スペイン)マドリード州にあるナバラ大学病院(Clínica Universidad de Navarra)に陽子線がん治療システムを納入し,本システムによる治療が4月17日から開始されたことを発表した。ナバラ大学病院は,日立として陽子線治療システムを欧州に初めて納入した病院となる。

本システムは,治療室1室を有し,がんの形状に合わせて陽子線を照射できるスポットスキャニング技術,コーンビームCT*1を搭載した360度回転ガントリ,および動体追跡システム*2という最先端の技術を備えている。また,本システムには拡張性があり,今後,治療室をもう1室追加することが可能で,年間8,600人以上の患者を治療するナバラ大学病院のがんセンター内の施設となる。

ナバラ大学病院は,スペインのナバラ州およびマドリード州の2都市に設立された教育研究と臨床を一体化した民間総合病院であり,「2020年世界の優れた病院トップ50*3」に入り,世界トップクラスの医療機関として高く評価されている。ナバラ大学病院は,医師と2,800人以上医療スタッフを擁し,さまざまな臨床例に対応できる質の高い医療を提供している。

日立の粒子線がん治療システムは,世界的に著名な病院に納入されており,これまでに60,000名以上の患者が日立のシステムで治療を受けるなど,高い信頼性と実績を有している。また治療室が1室で都市部の限られた敷地内での設置を可能とするコンパクトシステムをはじめ,一つの加速器で陽子線と重粒子線の治療が可能なハイブリッドシステムなどお客さまのニーズにあわせたシステムを提供している。

日立は今後,さらに粒子線がん治療システムのグローバル展開を加速させ,先進的ながん治療の実現と社会価値の向上に貢献する。

*1 通常の二方向からの二次元X線画像から得られる骨の位置,動体追跡技術によって得られる腫瘍の動きの情報に加えて,腫瘍周辺の正常組織,特に軟組織の位置・形状を把握し,治療室で照射する直前に体内の三次元画像を取得可能にする技術。
*2 呼吸などで位置が変動する腫瘍に対してリアルタイムに位置を捉え,正確に陽子線を照射する技術。日本学術振興会の最先端研究開発支援プログラム(FIRST)により助成を受けて,北海道大学と日立製作所が共同開発したもの。
*3 World's Best Hospital: U.S. Newsweek誌が毎年公表している世界で最も優れた病院のランキング。

●粒子線がん治療について
粒子線がん治療は,放射線によるがん治療法の一つ。水素の原子核や炭素イオンを加速器で光速の約70%に加速させ,腫瘍に集中して照射することでがんを治療するもので,水素の原子核を加速したものを陽子線,炭素イオンを加速したものを重粒子線という。治療に伴う痛みがほとんどなく,他の放射線治療に比べて副作用が少ないため,治療と社会生活の両立が可能であり,生活の質(QoL:Quality of Life)を維持しつつ,がんを治療できる最先端の治療法として注目されている。

日立の粒子線がん治療システムに関するホームページ

 

●問い合わせ先
(株)日立製作所 ライフ事業統括本部 デジタルフロント事業本部
グローバルエンジニアリング本部[担当:松野]
TEL 03-5471-4865(代表)
http://www.hitachi.co.jp/

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