エレクタ,Elekta Unity (エレクタ ユニティ)MRリニアックシステム,江戸川病院が日本第1号機の導入を決定
2020-4-23
Elekta Unity外観
エレクタ(株)は,社会福祉法人 仁生社 江戸川病院からElekta Unity MRリニアックシステムの国内第1号機を受注したと発表した。
Elekta Unity(以下Unity)は,高磁場MRIとリニアックを融合した高精度放射線治療システム。治療ビームの照射直前や照射中に従来不可能であった高画質なMRI画像を取得して,コーンビームCTやX線シネ画像では見えなかった腫瘍の形状や位置の変動を画像化できる。その結果,治療当日の腫瘍にピンポイントで照射をしながら,近接する重要臓器への被ばくを避けることが可能になる。また,3方向のMRIリアルタイム画像(MRシネ画像)によって,腫瘍や重要臓器の3次元的な位置を監視することにより,位置が移動した場合,照射を中断することができる。
さらに,UnityではイメージガイドのためのX線被ばくはない。このため,毎回の照射前に治療計画を立てることができ,従来難しかった,患者さん一人ひとりの症例に合わせたアダプティブな個別治療を行うことが可能である。
現在,日本ではがんの罹患数は増え続けている。2019年には約101万人ががんに罹患したと考えられており1,生涯では日本人の男女ともに2人に1人が,がんを発症する2。米国ではがん患者の66%が放射線治療を受けているが,日本では25%にとどまっている3。近年,放射線治療の高精度化が進み,治療成績が向上してきたが,それでも膵臓がん,肝臓がん,食道がんなどに対する治療成績は良好とは言えなかった。Unityの導入によって,放射線治療は新しい時代を迎え,新たな放射線治療への扉が日本のがん患者さんにも開かれることになる。
1 2019年のがん統計予測
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html
2 国立がん情報センター がん情報サービス 最新がん統計
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html
3 日本放射線腫瘍学会 放射線腫瘍医になろう
https://www.jastro.or.jp/medicalpersonnel/juniordoctor/JASTRO_A4PDF0217.pdf
エレクタ代表取締役社長 チャールズ・シャーネン氏は次のように述べている。「患者さん本位のケアと高度な医療の両立を図る江戸川病院の医療を通して,がん患者さんをサポートできることを,私たちは大変光栄に思っています。Unityの導入により,一人ひとりに合わせた治療が可能になり,日本のがん放射線治療の最前線に立つことになるでしょう。」
江戸川病院 理事長 加藤 正弘氏は以下のように述べている。「江戸川病院は10年以上前からトモセラピーを始め,がん治療に放射線治療をいち早く取り入れて参りました。今回,日本でのUnity初号機の導入を決定したことで,皆さまの期待により一層お応えできるよう,特色あるがん治療を行ってまいります。」また,院長 加藤 正二郎氏は「Unityを江戸川の地に導入する事は地域におけるがん診療を世界レベルで完結させるというCure City Center構想に基づいており,私たちはこれからも歩みを止めることなく,前進し続けます。」と述べている。
放射線科部長 浜 幸寛氏は,Unityによる治療に期待を寄せている。「MRIはCTで検出困難な腫瘍も明瞭に描出できることが多く,正確に病巣を見ながら,正常組織には極力照射せず,腫瘍には大量の放射線を照射することができます。その結果,副作用を減らし,抗腫瘍効果を向上させることができると期待しています。当院ではすでに低磁場MRIガイド下の放射線治療システムが稼働しており,画像誘導放射線治療はMRIガイド下IMRTに移行しつつあります。現在導入されている低磁場MRIには,低磁場なりの有用性がある一方で限界もあります。今回導入されるUnityは1.5Tの高磁場MRIを用いたMRIガイド下放射線治療システムであり,両者を有機的に活用することにより,それぞれの長所を生かした高精度放射線治療が可能になります。」
今後,同院では様々ながんの治療にUnityを活用していく予定。今まですでに世界各国で1000人以上の患者さんの治療に使われている。各施設におけるこれまでの治療症例は,日本でも5年生存率が低い膵臓がんや,比較的低い肝臓がん,食道がん4をはじめ,26種類以上のがんに及ぶ。江戸川病院におけるUnityを用いた治療開始は2021年を予定している。
4 がん診療連携拠点病院等院内がん登録 国立がん研究センター がん対策情報センター(2019年12月発行)
https://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/hosp_c_reg_surv_all_2010-2011.pdf
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