アボット,動脈管開存症に対する「AMPLATZERピッコロオクルーダー」を発売
-豆粒より小さなAMPLATZERピッコロオクルーダーは,体重がわずか700グラムの新生児にも適用可能-
2020-4-2
アボットメディカルジャパン合同会社(以下,アボット)は,日本で初めてとなる動脈管開存症を有する低出生体重児および新生児向けの低侵襲性の経カテーテル治療機器,AMPLATZERピッコロオクルーダー(承認番号:30100BZX00140000)を発売した。
AMPLATZERピッコロオクルーダーは2018年10月に希少疾病用医療機器として指定され,2019年9月に厚生労働省より承認を取得し,2020年4月1日付で保険適用となった。本製品は,2019年1月より,動脈管開存症を有する低出生体重児および新生児の治療用として米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けている。
日本では毎年約7,000人の低出生体重児が生まれており1 ,そのうち2,700人近くには,緊急に治療を必要とする動脈管開存症がみられる2。
動脈管開存症は,胎盤から酸素の多い血液を取り込む役目を果たす動脈管が,出生後も自然閉鎖せず開存状態を維持した疾患で,低出生体重児によく見られる主要な先天性心疾患のひとつ。通常,動脈管は生まれて間もなく自然に閉鎖するが,一部の場合,特に早産の場合においては,動脈管が開いたままの状態が維持され,圧力の高い大動脈から圧力の低い肺動脈へ血液が流れてしまうことにより,赤ちゃんの呼吸不全などを引き起こす。治療せずに放置した場合,肺血管に永久的な損傷が残ることがある3。
AMPLATZERピッコロオクルーダーは,メッシュ状のワイヤーで構成された自己拡張型の医療機器で,足の付け根から挿入し,カテーテルを使って血管を通して心臓まで届け,開存状態の動脈管を閉鎖する。低侵襲性の施術であるため,新生児集中治療室の重篤な状態の低出生体重児にも使用する事ができ,施術後まもなく人工呼吸器を外すことができることが期待される。
AMPLATZERピッコロオクルーダーは,生後3日以上かつ体重700グラム以上の患者に使用される。本製品は,20年以上にわたるアボットのAMPLATZERオクルーダー製品群による治療実績に基づいており,既に日本をはじめ世界各国では,より体の大きな幼児用のAMPLATZER Duct Occluder 製品群(ADO,ADO-II)の承認を取得している。
アボットのストラクチュラルハート事業部ゼネラル・マネージャーのダン・シルバー氏は次のように述べている。「アボットは,人々の人生に大きな影響をもたらす画期的な技術で,より健康で充実した生活を手助けすることを目標に掲げています。AMPLATZERピッコロオクルーダーの承認を日本で取得したことは,根治的な治療を必要としながらも投薬治療が奏効せず,開胸手術のリスクが高い小さな赤ちゃんに希望をもたらします。」
AMPLATZERピッコロオクルーダーの適正使用に関する手引きは下記参照。
http://www.jpic-meeting.org/cathe/piccolo.shtml#01
1 人口動態統計データに基づく
2 Patent Ductus Arteriosus Management and Outcomes in Japan and Canada: Comparison of Proactive and Selective Approaches, Isayama et al.
3 American Heart Association https://www.heart.org/en/health-topics/congenital-heart-defects/about-congenital-heart-defects/patent-ductus-arteriosus-pda
●問い合わせ先
アボット
https://www.abbott.co.jp/