富士通,名古屋大学情報基盤センターの次期スーパーコンピュータシステムを受注
-スーパーコンピュータ「富岳」の技術を活用した商用スーパーコンピュータを世界初導入-
2020-2-4
富士通(株)は,国立大学法人名古屋大学情報基盤センター(以下 名古屋大学情報基盤センター)の次期スーパーコンピュータシステムを受注した。本システムは2020年7月より稼働予定。
本システムでは,同社が理化学研究所と共同開発しているスーパーコンピュータ「富岳」の技術を活用した「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000(エフエックスセン,以下 PRIMEHPC FX1000,注1)」2,304ノードを世界で初めて採用する。また,同社の最新PCサーバ「FUJITSU Server PRIMERGY CX2570 M5(プライマジー シーエックスニーゴーナナゼロ,以下 PRIMERGY CX2570,注2)」221台を並列接続したクラスタシステムおよび,ストレージシステムなどが高速インターコネクトで接続される。システム全体の理論演算性能の合計は15.88ペタフロップス(注3)となり,国内有数の高い演算性能を実現するシステムとなる予定である。
全国共同利用・共同研究拠点である名古屋大学情報基盤センターは,学術利用のための計算資源を全国の研究者や民間企業などのユーザに提供している。
名古屋大学情報基盤センターでは,現在,同社の「FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX100」などで構成されるスーパーコンピュータシステムを運用している。今回,全国共同利用において研究者からのさらなる大規模な計算需要およびデータサイエンスに代表されるスーパーコンピュータへの新たな計算需要に応えるべくシステムの刷新を計画されており,同社ならびに(株)富士通研究所が持つ技術力を結集した提案が評価され,本システムの受注に至った。
本システムにより,名古屋大学情報基盤センターは,台風のメカニズムの解明や新薬の設計などの従来の数値計算シミュレーションに加え,医学分野における診断治療支援技術や自動運転技術の開発におけるAI適用など,様々な研究・開発を支援していく。
また同社は,これまで世界トップクラスのスーパーコンピュータの開発・提供を通じて培った技術や経験により,今後も名古屋大学情報基盤センターの活動を支援するとともに,「PRIMEHPC FX1000」のグローバルな提供を通じて,社会的課題の解決や最先端研究の加速,および企業競争力の強化などに貢献していく。
国立大学法人 名古屋大学情報基盤センター センター長 森 健策 氏からのコメント
近年の大学における教育研究活動のデジタル化による,コンピューティングに対する需要がますます高まっています。スーパー台風などの異常気象,地震,津波など国民生活の安全安心に密接にかかわる分野,分子構造や創薬などの化学分野,宇宙や素粒子などの基礎科学におけるシミュレーションなどに加えて,医療分野やモビリティにおける人工知能や機械学習など,コンピューティングに対する需要はますます増大するばかりです。加えて,コンピューティングにおいて消費され,そして,生成されるデータ,これらをつなぐネットワーク,コンピューティングとデータからの知識発見のための可視化も重要です。今回導入するスーパーコンピュータは,大学におけるこれらのデジタルサイエンスのための必須の機能を有するものです。今回導入するスーパーコンピュータは名古屋大学のみならず全国の大学,研究機関等に提供され,我が国の学術研究のますますの発展のために利用される予定です。
注1 FUJITSU Supercomputer PRIMEHPC FX1000:
Arm®v8-A命令セットアーキテクチャーをスーパーコンピュータ向けに拡張した「SVE(Scalable Vector Extension)」を採用したCPU「A64FX」を搭載。高い電力あたり性能とともに,高性能積層メモリであるHBM2の高いメモリバンド幅による高い計算効率を実現。
注2 FUJITSU Server PRIMERGY CX2570 M5:
同社最新PCサーバ。「第2世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」と,AIやディープラーニング用途に最適な「NVIDIA® V100 Tensorコア」GPUを搭載し,GPU間は高帯域でエネルギー効率の高いインターコネクト「NVIDIA® NVLink™」で接続する。「PRIMERGY CX2570 M5」ではサーバ1台あたり最大4基のGPUコンピューティングカードを搭載し,それらを「NVIDIA® NVLink™」で接続することにより超高速での通信を実現。
注3 ペタフロップス:
PFLOPS(Peta Floating-point Operations Per Second)。Petaは1,000兆(10の15乗)のことで,毎秒1,000兆回の浮動小数点演算ができることを表す。
●問い合わせ先
富士通(株)東海支社 文教営業部
TEL 052-756-3657