インサイテック,薬剤難治性パーキンソン病に対する,MRガイド下集束超音波治療の適応拡大承認を取得
-超音波を一点に集束させることにより,パーキンソン病の運動症状を起こす異常な神経信号の伝達路を破壊し信号伝達阻害。パーキンソン病の外科的治療に,メスを使わない低侵襲の新たな選択肢が登場。-
2020-1-24
メスを使わない低侵襲医療技術のイノベーターであるインサイテック(本社イスラエル国ハイファ)は,同社のエクサブレート・ニューロ(Exablate Neuro,販売名: MR ガイド下集束超音波治療器 ExAblate 4000,承認番号:22800BZI00040000)が,2020年1月15日付で厚生労働省より(1)視床を標的とし,薬物療法で十分な効果が得られない本態性振戦及びパーキンソン病における振戦症状の緩和。(2)淡蒼球を標的とし,薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病(脳深部刺激術が不適応の患者に限る)における運動症状の緩和。に対する適応追加による一部変更が承認されたことを発表した。
今回のパーキンソン病への適応拡大について,東京女子医科大学脳神経外科の臨床教授である平孝臣氏は「本承認により,パーキンソン病に対する外科的治療に低侵襲な集束超音波治療が加わることで,患者さんがより幅広い治療選択肢を得られるようになります。」と述べている。
エクサブレート・ニューロは,脳深部にある標的組織に対し正確に超音波を集束させ,組織を局所的に加熱し壊死させることで,メスを使わずに患部を治療することができる。頭に穴を開けたり,機器を体内留置したりする必要がないため,従来の外科的治療法と比較して手術による感染症のリスクが低く,患者さんの体への負担が少ない低侵襲の治療法。これまで国内10施設に導入されており,薬物療法で十分に効果が得られない本態性振戦における症状緩和を目的に2016年12月に薬事承認を取得,2019年6月には公的医療保険が適用となっている。
パーキンソン病は黒質のドーパミン神経細胞の減少を伴う進行性の神経変性疾患で,国内患者数は約12万人(厚生労働省 平成24年度特定疾患医療受給者証所持者数より)とされ,特定疾患(難病)に指定されています。主な症状として,振戦,筋固縮,無動・寡動,姿勢反射障害などがある。治療は薬物療法が中心だが十分な治療効果が得られない場合,薬剤誘発性不随意運動ジスキネジア症状が見られる場合などは,定位脳手術による外科的治療が検討される。エクサブレート・ニューロも外科的治療の一種。
日本国内における選任製造販売業者であるINSIGHTEC Japan(株)代表取締役:ヤイール・バウアー氏は今回の一部変更承認について,「今回のパーキンソン病への適応拡大をきっかけに,日本における集束超音波の更なる普及に尽力していきたい。」と述べている。
また,医師でインサイテックCEO兼取締役会会長のモーリス・フェレール氏も「集束超超音波治療により,日本のパーキンソン病の患者さんの治療が一歩前進することになるこのニュースを大変うれしく思います。新たな疾患への適応拡大は,世界中の国々で集束超音波治療の標準治療化を目指す中での大きな後押しとなります。」と述べている。
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INSIGHTEC Japan(株)
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