オリンパスと福岡工業大学などが「情報支援内視鏡外科手術システム」を開発
内視鏡外科手術の均質化,安全性,効率性に貢献。日本医療研究開発機構の補助事業に採択

2019-10-25

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オリンパス(株)は,内視鏡外科手術に関する熟練医師の暗黙知※1をAI解析によりデータ化し,安全で均質な手術に必要な情報を適切に提供する「外科手術のデジタルトランスフォーメーション:情報支援内視鏡外科手術システム」を開発する。本開発テーマは,国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の最長2023年度までの補助事業に採択※2された。研究開発分担者である国立がん研究センター東病院,大分大学 医学部,福岡工業大学 情報工学部,東京大学 大学院工学系研究科との協業による開発を進め,2024年度以降の実用化を目指す。
同社は,未来の外科手術の実現に向けてオープンイノベーションを推進※3していく。

※1 経験的に使っている知識だが簡単に言葉で説明できない知識のこと。
※2 「先進的医療機器・システム等技術開発事業(先進的医療機器・システム等開発プロジェクト)」の研究開発代表者として補助金の交付を受ける。
※3 同社のイノベーション推進で取り組むX INNOVATION(クロスイノベーション=共創)構想のもと,先進的な技術を有する企業,学術団体と積極的に連携。

●開発の背景

内視鏡外科手術は,術後の早期回復など患者さんのQOLの観点から症例数が伸びている。一方で,国内の外科医不足に加え,手術において高度な設備だけでなく医師や医療スタッフの高い技能が必要なことから,術者間や施設間の治療成績格差の解消が課題になっている。これらの課題を解決するため,本開発では外科手術の均質化に加えて,安全性の担保,手術室運営の効率化を実現するシステムを目指していく。

●情報支援内視鏡外科手術システムの概要

1.情報支援内視鏡外科手術プラットフォーム(Information Rich Platform):判断支援

  • 様々な種類の手術や医療チームのために作られた情報支援ソフトウエアライブラリ(Information Rich Real Time Library)を追加することにより,それぞれの手術における術者への情報提示や医療チームの支援を実現。
  • 各手術の進行状況に応じて,AI等により最適化された解剖・脈管・腫瘍位置・ランドマーク・出血などのリスク要因を表示。手術中の重要な情報を医療チームで共有。

 

2.自律制御内視鏡システム(Autonomous View Control):視野操作支援

  • 情報支援内視鏡外科手術プラットフォームで推定した各手術の進行状況や術野画像の状況に合わせて,AI等を活用して内視鏡を自律的に制御し,外科医が手術を進めやすい視野を確保。

 

3.自動制御処置具システム(Active Device Control):処置具操作支援

  • 情報支援内視鏡外科手術プラットフォームで推定した各手術の進行状況や生体組織の種類,状態などの情報とともに,手術における処置の手段やアクセス方法に関する情報を収集・蓄積することで,処置具が対象の組織に与える力加減やエネルギーの出力などをAI等により最適化。これにより,安全・スムーズな治療操作を支援。

 

<システム図>

システム図

 

<手術の進行状況に応じた情報支援例>

手術の進行状況に応じた情報支援例

 

●研究開発体制

1.情報支援内視鏡外科手術プラットフォーム(Information Rich Platform):判断支援
・オリンパス
・国立がん研究センター東病院(代表研究者:大腸外科長 伊藤 雅昭)
・大分大学 医学部(代表研究者:教授 猪股 雅史)
・福岡工業大学 情報工学部(代表研究者:教授 徳安 達士)

2.自律制御内視鏡システム(Autonomous View Control):視野操作支援
・オリンパス
・国立がん研究センター東病院

3.自動制御処置具システム(Active Device Control):処置具操作支援
・オリンパス
・東京大学 大学院工学系研究科(代表研究者:教授 佐久間 一郎)

 

●問い合わせ先
オリンパス(株)
http://www.olympus.co.jp

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