ハートフロー,ハートフロー解析は,心疾患患者の正確な分類および個々の症状に適した治療の提供において,有用であることが最新データによって報告
2019-3-19
※2019年3月17日米国リリース和訳
2019年3月17日に発表された最新のデータでは,ハートフローFFRCT解析を用いることにより,医師は,冠動脈疾患(CAD)の症状が見られるものの,心疾患有害事象リスクが低く,1年間は侵襲的検査を回避しても安全な患者を,効率的に特定できることが実証された。今回のADVANCE試験の結果は,第68回米国心臓病学会(ACC:American College of Cardiology’s 68th Annual Scientific Session)にて発表されると同時に,米国心臓学会誌(JACC):Cardiovascular Imagingに掲載された。
5,000人を上回る患者を対象に実施されたADVANCE試験では,臨床医は,ハートフロー解析から得たFFRCT値を用いて患者の心疾患有害事象リスクを特定し,治療法を決定した。ハートフロー解析が陰性値となった患者群の大多数は薬物投与治療を受け,侵襲的検査または処置を受けなかった。1年間で見た場合,このグループに属する患者の心血管系死亡率または心臓発作(心筋梗塞)の発症率は0.2%と非常に低い結果となった。それに対して,その多くが侵襲的管理を必要とした,ハートフロー解析が陽性値となった患者群の心血管系死亡率または心臓発作の発症率は4倍という結果になった。これらの結果は,有害事象リスクが低いと特定された患者に関しては,薬物投与治療のみでも安全であり,侵襲的管理を回避できることを実証している。これらの患者の90日間の血行再建率(ステント留置率またはバイパス手術率)は低く,その後の血行再建術の必要性もごく僅かであった。
デューク大学ヘルスシステム,デューク大学医学科大学院,医学科,循環器内科チーフのマネッシュ・パテル医師,FACC(米国心臓学会フェロー)は次のように述べている。「今回の結果は,特に侵襲的検査を行わなかった有害事象リスクが低い患者に関する,FFRCT解析に基づく決定経路による患者管理の安全性を保証するものです。安定冠動脈疾患の診断手法にハートフローFFRCT解析が加わることにより,冠動脈CTAを処置する患者のリスクを効率的に評価し,より精密に患者を分類し,カテーテル処置の効率性を向上させることにより,患者により優れた治療を提供することが可能になります。」
ハートフロー解析は世界最多の死亡原因である冠動脈疾患の安定症状患者に対する非侵襲的冠動脈診断。ハートフロー解析は通常の冠動脈CTスキャンのデータに基づき患者固有の心臓の3Dモデルを構築し,冠動脈におけるFFRCT値を割り出す。この情報に基づき医師は血管狭窄が血流に与える影響を解析し,患者に最適な治療法を策定する。プラスのFFRCT値(.0.80)は,冠動脈の閉塞が心筋への血流を妨げており,侵襲的治療が妥当であることを示している。
ADVANCEの登録においては,米国,日本,欧州,カナダの患者が冠動脈CTAを受け,追加情報が必要な場合には,ハートフロー解析が行われた。ハートフロー解析により得られた追加情報を考慮した結果,医師は3分の2の患者に対する治療法を再検討または変更した。冠動脈ステントまたはバイパス手術を受ける予定だった患者の一部は,それらを安全に回避し薬物投与治療のみを受けるようになった一方で,薬物投与治療を受けていた患者の一部はステントまたはバイパス手術を受けるよう変更された。
ハートフローのチーフ・メディカル・オフィサーのキャンベル・ロジャーズ医師,FACC(米国心臓学会フェロー)は次のように述べている。「ADVANCEの1年間の結果は,以前発表した90日間の結果からほとんど変わっておらず,冠動脈CTAを第一の診断検査として位置付け,ハートフロー解析を実際の患者集団に取り入れることの堅固な有用性を実証するものでした。冠動脈CTAから得た解剖的情報をハートフロー解析の機能的情報により補完することで,医師は患者の心臓の健康状態をより把握することができ,個々の患者に適切な治療法を提供することが可能になります。」
ハートフローFFRCT解析について
非侵襲的冠動脈CTAから得られた患者のデータは病院のシステムからAWSクラウド上のハートフローのソフトウェア・アプリケーションへ安全にアップロードされる。ハートフローはディープラーニングおよび高度に訓練されたアナリストを活用して患者の静脈の3Dモデルをデジタルに構築する。次に先進アルゴリズムを使って複雑な数式を計算し,血管狭窄が心臓の血流に与える影響を解析する。ハートフロー解析は医師が最適な治療法を策定できるような実用的な情報を,安全なオンラインインターフェースを通じて提供する。
ハートフロー解析は,非侵襲的検査において最も高い診断性能1を提供する。ハートフロー解析はこれまで世界中の臨床医により,30,000人を上回る患者の心疾患診断に活用されている。
1 Driessen, R., et al. 虚血診断における冠動脈コンピュータ断層血管造影,冠血流予備量比,灌流画像の比較。J Am Coll Cardiol. 2019;73(2),161-73.
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ハートフロー・ジャパン合同会社
www.heartflow.com/jp