オリンパス・大分大学・福岡工業大学の共同開発プロジェクトが世界初のAIナビゲーション外科手術の成功に貢献
〜外科手術内視鏡画像のAI向け教師データを効率的に作成するソフトウェアを開発〜
2019-3-7
オリンパス(株)は,大分大学・福岡工業大学とともに,日本医療研究開発機構(AMED)の「未来医療を実現する医療機器・システム開発事業」に参画し,「人工知能が術中に外科医の意思決定を補助する医療システム」の共同開発に成功した(研究代表者:大分大学医学部 猪股雅史教授)。本プロジェクトにおいて同社は,腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)において,人工知能(AI)に学習させるための内視鏡画像教師データを効率的に作成できるソフトウェアを開発した。本ソフトウェアで作成した教師データを,福岡工業大学が開発したAIに学習させることで臓器・血管のランドマーク表示が可能となり,2018年12月には大分大学で行われた人工知能AIを用いたランドマーク術中教示システムの検証実験の成功に貢献した。
内視鏡外科手術が最も普及している胆嚢摘出術においては,手術の際に目印となる臓器や血管の位置を正確に把握することが非常に重要である。これまで0.5%程度の割合で胆道損傷が起きており,その6割〜7割は臓器や血管位置の誤認が原因であるとされている。
AIの活用によりこの誤認低減する可能性を探るべく,大分大学・福岡工業大学・オリンパスは,2017年11月より,日本医療研究開発機構(AMED)の「未来医療を実現する医療機器・システム開発事業」の一環として,「人工知能が術中に外科医の意思決定を補助する医療システム」の共同開発(研究代表者:大分大学医学部 猪股雅史教授)をはじめ,2018年12月には大分大学にて行われた世界初のAIナビゲーション外科手術※が成功した。
本研究においてオリンパスは,腹腔鏡下胆嚢摘出術の内視鏡画像にランドマークとなる臓器・血管の位置の情報を簡単に紐付けることが出来るソフトウェアを開発した。このソフトウェアを使うことで,これまで数千枚以上もの画像に対して手動で入力する必要のあった情報の紐付け作業の負荷を大幅に軽減することが可能になり,より質の高い多くの教師データをAIに学習させることができる。
本ソフトウェアで作成した教師データを,福岡工業大学が開発したAIに学習させた。AIが学習したデータをもとに,腹腔鏡下胆嚢摘出術中にランドマークを表示する機能については,大分大学・福岡工業大学・オリンパスの3者で開発を行い,推定精度95%以上を達成している。
同社はこの共同研究で得た知見を活かし,今後,大腸や胃など,他の部位・疾患における腹腔鏡手術においてもAI活用の研究を進めていく。
※本手術は,人工知能AIを用いたランドマーク術中教示システムの検証のために行われたもの。
●問い合わせ先
オリンパス(株)
http://www.olympus.co.jp