フィリップスとiCAREが協業合意,睡眠時無呼吸症候群における病院受診率を向上する取り組みを開始
2019-2-18
フィリップス・レスピロニクス(同)と(株)iCAREは,睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)の分野において,病院受診率を向上する取り組みを共同で行うことに合意した。この合意に基づき,両社でソリューション開発及び,共同実証実験を順次開始する。
企業と従業員における睡眠時無呼吸症候群が引き起こす重大リスク
睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの睡眠障害による経済損失は年間3.4兆円にものぼると言われている*1。これは,日中の眠気や集中力の低下などから作業効率が下がること,睡眠に問題を抱えている人は欠勤・遅刻・早退が増えがちであること,眠気から交通事故のリスクが高まることなどから推計されている。実際,SAS患者の交通事故発生率は一般ドライバーと比べて2.4倍にのぼるとされる。交通事故や労働災害のリスクを考えると,SASへの企業の取り組みは重要なリスクマネジメントの一つであり,組織全体の生産性の向上につながると考えられている。
国土交通省ではSAS対策の必要性と活用について自動車運送業者におけるSAS対策マニュアルを策定しており*2,交通業界ではSASのスクリーニング検査を導入する企業も増えている。しかしながら,SASの簡易検査から病院受診までの一連のフローができておらず,受診率は低いことが課題となっている。
フィリップスとiCAREが行う取り組み
フィリップス・レスピロニクス(同)と(株)iCAREは従業員の睡眠課題における解決の実現のため,(株)iCAREの既存契約企業に対して睡眠に関するアンケートの配信を行い,SASの疑いがある参加者に対して簡易検査を行う取り組みを開始している。簡易検査後SASの疑いがある方には,(株)iCAREのメディカルスタッフが参加者に対してチャットでフォローをし,専門医療機関の紹介を行う。また,SAS以外の原因の方についても睡眠の質を高めるための睡眠スキルのアドバイスを行う。こうした取り組みにより,SASの疑いがある人の病院受診の推奨を促し,従業員の睡眠課題の改善にコミットしたサービス提供を目指す。
睡眠時無呼吸症候群について
睡眠時無呼吸症候群(SAS:サス)とは睡眠中に呼吸が止まる,または浅く・弱くなり,それによってさまざまな日常生活に障害を引き起こす疾患。また,最近ではSASが循環器疾患との深い関わりがあることが明らかになってきている。
SASの病態で最も多いのが上気道(空気の通り道)が塞がる,または部分的に狭くなる事で起こる閉塞性睡眠時無呼吸症候群。夜間に繰り返し起こる無呼吸により,血液中の酸素が低下したり,頻繁に中途覚醒が発生し身体に悪影響をおよぼすとともに睡眠を妨げ日中の眠気を増加させる。
*1 2006年6月7日 日本大学医学部精神医学系 内山真教授 報道発表
*2 2015年8月28日 国土交通省自動車局安全政策課 「自動車運送事業者における睡眠時無呼吸症候群対策マニュアル 〜SAS対策の必要性と活用〜」について
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