日立ヘルスケアシステムズ,有床・無床診療所向け電子カルテ製品のラインアップを強化
〜クラウド型電子カルテサービスと画像ビューア一体型電子カルテシステムを販売開始〜
2018-6-18
日立ヘルスケアシステムズ(株)は,有床・無床診療所向け電子カルテ製品のラインアップを強化する。具体的には有床診療所向けのクラウド型電子カルテサービス「Open-Karte Cloud」(オープン カルテクラウド)を6月18日から提供開始する。また電子カルテと検査画像ビューアを1台のシステムに統合し,診察に必要な機能を集約した無床診療所向けの画像ビューア一体型電子カルテシステム「Hi-SEED W3 EXV」(ハイシードW3 EXV)を7月2日から提供開始する。
今回,提供を開始する新製品は,初期費用や運用コストを抑えることができるため,導入がしやすい電子カルテである。電子カルテの普及が進んでいない有床・無床診療所への導入を支援し,医療の質の向上と地域医療連携の実現に向けた基盤づくりに貢献する。
日本では,2025年に国民の4人に1人が75歳以上となると言われており,住み慣れた地域で生活を送れるよう地域全体で住民の生活をサポートする地域包括ケアシステムの構築が進められている。地域包括ケアシステムでは,一人の療養者に対して,地域の病院や診療所,歯科診療所,調剤薬局,介護事業所など多業種が関わるため,効果的なサービスを提供するために健康情報や診療情報の連携が必要になってくる。また電子カルテの普及率は,2016年末時点で,400床以上の大規模病院では約75%以上に対し,診療所は約35%以下となっている*1。今後,広域での医療情報の連携や利活用のため,電子カルテの普及がより一層進むと見込まれている。
日立ヘルスケアシステムズは,2000年12月,前身となる日立メディカルコンピュータ(株)の設立以来,病床(ベッド)の無い無床診療所および調剤薬局に対し,電子カルテをはじめとする医科・歯科・調剤向けの医療情報システムや医療機器を提供してきた。一方,(株)日立製作所(以下,日立)は病床数200床未満の病院に電子カルテを提供してきた。2018年4月,日立はヘルスケア事業の拡大に向け,電子カルテ事業および医療機器事業に関する保守サービスなどを日立ヘルスケアシステムズに集約し,地域包括ケアシステムの中で重要な役割を果たす地域の病院や診療所向けに,医科・歯科・調剤の医療情報システムから医療機器の販売,保守などのサービスをワンストップで提供する体制を構築した。
今回,提供を開始する電子カルテは,日立から一部事業を承継後,初めての製品。電子カルテの普及を促進し,医療従事者の業務効率化を図ることで,患者一人ひとりに対する診療時間を確保し,医療の質の向上,また診療情報のデジタル化による地域包括ケアシステムの構築を支援する。
●新製品の特徴
1.トータルコストを低減する有床診療所向けクラウド型電子カルテサービス「Open-Karte Cloud」
「Open-Karte Cloud」は,電子カルテシステム「Open-Karte AD」が持つ診療カレンダー機能など使いやすさを継承しつつ,インターネット経由で利用可能な19床以下の有床診療所向けクラウド型電子カルテサービス。院内にサーバを設置するためのスペースや空調設備などが不要になるため,容易に導入できる。本サービスは厚生労働省経済産業省が発行しているセキュリティ対策など医療情報をクラウド上に保管する際に遵守すべきガイドライン(3省4ガイドライン)に準拠しており,大切な診療データを国内のデータセンタで安全に管理する。また医師は訪問診療先や自宅など,院外から電子カルテが利用できる。さらに,導入前の運用提案や稼働後のアフターサービスは,「Open-Karte AD」と同等のコールセンタやリモートメンテナンスなどのサポートにより,安心して利用することができる。
2.診療業務を効率化する無床診療所向け画像ビューア一体型電子カルテシステム「Hi-SEED W3 EXV」
「Hi-SEED W3 EXV」は,シンプルで見やすい電子カルテと,X線画像や超音波画像などの検査画像ビューアを1台のシステムに統合した無床診療所向け画像ビューア一体型電子カルテシステム。電子カルテとは別にPACS*2などの医用画像管理システムを導入する必要がないため,導入コスト低減につながり,初期投資を抑えたい施設の新規開業を支援する。また画像ビューアから電子カルテへ,診断のキーとなる画像を簡単にドラック&ドロップで取り込むことができるほか,画像ビューア側で画像の拡大などの処理を行った場合でも,そのままの状態で取り込むことができる。さらに電子カルテの診察履歴から,指定のマークをワンクリックするだけで,簡単に検査画像を呼び出し表示することや,電子カルテの開始や終了と同時に,患者の該当する検査画像を自動でオープン・クローズすることもできる。電子カルテと画像ビューアを連携させることで,煩雑な操作を削減し,診療業務の円滑化を図るとともに,検査画像の取り違え防止に寄与する。
なお,本製品は7月11日(水)から7月13日(金)に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催される「国際モダンホスピタルショウ2018」内の日立ブース(ブースNo. F-136)で紹介される。
*1 各種統計をもとに日立ヘルスケアシステムズ推定。
*2 PACS(Picture Archiving and Communication Systems):医用画像管理システム。
●販売価格
クラウド型電子カルテサービス「Open-Karte Cloud」
初期費用 500万円〜 *3
月額利用料 25万円から〜 *3
画像ビューア一体型電子カルテシステム「Hi-SEED W3 EXV」
920万円 *4
*3 本価格はサービスの利用内容により異なる。また,本サービスを利用するためのシステム環境が別途必要。
*4 本価格はサーバ1台およびクライアントの産業用パソコン2台を含む最小構成の価格。システム構成により価格は異なる。