富士通,東京都北区と,AIを活用した介護保険業務の効率化に向けた実証実験を実施
〜自治体基幹業務システムへのAI実装を検証〜
2018-2-13
富士通(株)と(株)富士通北陸システムズは,東京都北区(以下,北区)と共同で,社会保障給付の適正化に向けた取り組みの一環として,北区の職員が従来人手で行っていた介護サービス事業者からの介護給付費請求の指導監督に関する業務(以下,指導業務)を,富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(以下,Zinrai)」を活用して効率化できることを検証する実証実験を2018年1月から3月まで実施する。
日本社会の高齢化が急速に進む中,北区では高齢者が健やかに安心して暮らせるまちづくりを推進しているが,要介護認定者や介護施設の増加に伴い,介護給付費支給にともなう請求内容の分析業務や指導業務の増大が大きな課題となっている。
本実証実験では,SEによる顧客業務知見とソフトウェア開発技術の融合を進める富士通北陸システムズが開発した機械学習技術を活用し,北区の介護保険システムに蓄積された介護サービス事業者からの過去の介護給付費請求データなどを機械学習させ,請求内容の適正性を分析できるモデルを構築し,その有効性を検証する。
北区は,本実証実験で得られる知見を生かし,これまで担当職員が時間をかけて実施しなければならなかった介護給付費支給業務の効率化をはかるとともに,介護給付費請求のさらなる適正化を目指す。
●背景
北区は,東京都が進める「第3期介護給付適正化計画」(注1)に取り組んでおり,担当職員が介護サービス事業者の認定申請や介護給付費請求の適正性の分析を行うとともに,その分析結果にもとづいて同事業者への指導監督を行っている。しかし,近年の要介護認定者や介護施設の増加により,介護給付費支給に伴う請求内容の分析業務や指導業務が増大し,担当職員の業務負担の増加が課題となっている。
北区はこの課題を解決するため,富士通および富士通北陸システムズと共同で,「Zinrai」を活用した介護給付費支給に関連する指導業務の効率化を目指した実証実験を実施する。
●実証実験について
1. 目的
介護給付費請求の適正性を分析する業務は,介護保険法などの法令と照合しながら綿密に実施する必要があるため,高度なスキルと時間を要する。本実証実験では,「Zinrai」を活用してその分析業務を効率化することにより,担当職員の業務負荷軽減の実現性などを検証する。
2. 期間と場所
実施期間:2018年1月から2018年3月まで
実施場所:東京都北区役所(所在地:東京都北区王子本町1丁目15-22)
3. 実証概要
北区の介護保険システムに蓄積されている,介護サービス事業者からの過去の適正な介護給付費請求データと指導監督が必要となった請求データとを機械学習させ,請求データの適正性を自動的に分析できるモデルを構築する。さらに,構築したモデルを用いて介護給付費請求データの適正性を分析させ,その分析結果と過去の指導監督記録とを照合することで有効性を検証する。
●今後の展開
北区は,本実証実験で得られる知見を生かし,介護給付費支給業務の効率化を図るとともに,介護サービス事業者が住民に提供するサービスのさらなる充実を目指す。
富士通は,今後,本実証実験で構築した学習モデルをサービス化し,全国の自治体における社会保障給付の適正化に貢献することを目指す。
富士通グループは,インテグレーションコンセプト「FUJITSU Knowledge Integration」にもとづき,様々な業種・業務ノウハウを生かしたICTによる新たな価値創出に取り組んでいる。今後も,自治体をはじめ様々な顧客とともに,ICTで社会問題や地域課題を解決し,人や社会の豊かさの実現に貢献していく。
注1 第3期介護給付適正化計画:
東京都が2015年3月に発表。2015年4月から2018年3月を対象期間とし,介護サービスを必要とする人(以下,受給者)を適正に認定した上で,適切なケアマネジメントにより受給者が真に必要とするサービスを見極め,事業者がルールに従って適正にサービスを提供するよう促すことによって介護給付の適正化を目指した計画。
「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」紹介サイト
http://www.fujitsu.com/jp/solutions/business-technology/ai/ai-zinrai/
●問い合わせ先
富士通コンタクトライン(総合窓口)
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受付時間: 9時~17時30分(土曜日・日曜日・祝日・同社指定の休業日を除く)
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