島津製作所,乳房専用PET装置「Elmammo Avant Class」を発売
〜高い精度で負担が少ない乳がん検査を支援〜
2017-9-4
乳房専用PET装置
「Elmammo Avant Class」
島津製作所は,検査にともなう負担が少なく,精度の高い乳がん検査を支援する乳房専用PET装置「Elmammo Avant Class(エルマンモ アヴァン クラス)」を9月4日に発売する。
本製品は,国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による委託業務の成果をもとに同社が2014年に製品化した乳房専用PET装置「Elmammo」の後継機。被検者は装置の上でうつ伏せになり,検出器ホールに片側ずつ乳房を入れるだけで検査を受けられるので,マンモグラフィ検査のような乳房の圧迫による痛みはない。また,全身PET装置では取得が難しい診断情報が得られるため,乳がん診療における有用性の広がりも期待されている。
「Elmammo Avant Class」は,「Elmammo」の特長である高い感度と全身PET装置の約2倍の解像度はそのままに,寝台上面と検出器間の距離を可能な限り短くして,胸壁部分に生じやすいブラインドエリアを縮小したほか,寝台の形状変更によってさらなる心地よさを追求した。また,国内におけるさらなる普及を目指し,過去の症例を見直して検出器の構造も最適化を図り,導入コストを低減した。
●社会問題となっている乳がん
国内では乳がんの罹患率が年々増加している。国立がん研究センターの「がんの統計'16」によれば,女性の部位別がん罹患数は乳がんが1位,死亡数は5位となっている。乳がんは,ステージⅠ期で発見できれば10年生存率が90%を超えるが,ステージの進行につれて生存率が下がることが確認されており,早期に発見し早期に治療を始めることが重要。また,日本人女性には高濃度乳房が多いといわれ,検査方法によっては乳がんの発見が難しくなることも認知され始めている。
●乳がんに対する同社のPET技術
同社が約40年にわたって培ってきたPET技術の結集によって生まれた乳房専用PET装置は,被検者の負担が少なく,精度の高い乳がん検査を支援している。高濃度乳房の検査にも有効であるという報告もなされており,抗がん剤などの薬剤による治療効果判定に利用できる可能性も期待されている。一方で,これまで装置を導入した施設からは,胸壁部分に生じやすいブラインドエリアの縮小や操作性の改善,導入コストの削減などに対する要望があった。こうした課題の解決やさらに質の高い検査の実現を目指して,「Elmammo Avant Class」を開発した。
●Elmammo Avant Classの特長
1. 被検者の負担が少ない快適な検査
検出器ホールに片側ずつ乳房を入れ,片胸5分~7分,ポジショニングを含めて15分前後で両胸の検査が完了する。乳房を圧迫しないので検査にともなう痛みはない。また,被検者がうつ伏せの姿勢をとりやすいよう顔を乗せる部分のくぼみをさらに深くしたことで,首への負担が少ない楽な姿勢で検査を受けられる。
2. ブラインドエリアを縮小するとともに検出視野全体を最適化
従来の「Elmammo」よりも検出器を上部に配置したことに加え,検出器ホール周辺形状の見直しや薄型クッションの採用などを通じ,寝台上面と検出器間の距離を18mm短縮した。検出器ホール深くに胸を入れやすくしたことで,胸壁部分のブラインドエリアを縮小。また,これまでの症例を精査し,検出器構造についても最適化した。
3. データ収集・処理コンピュータの統合
これまで独立していたデータ収集用コンピュータとデータ処理コンピュータを統合し,省スペースな1コンソール化を実現。また,操作性を向上させるためにユーザー・インターフェースを刷新し,ネットワーク・セキュリティの強化も図った。
以上のような改良を通じ,全体として導入コストの低減を実現した。
※「Elmammo Avant Class」による乳房用ポジトロン断層撮影は,全身PET検査と併せて同日に行った場合に限り保険給付される。
●価格
3億5千万円〜(税別,システム構成により異なる)
●問い合わせ先
島津製作所 医用機器事業部 グローバルマーケティング部 販売促進グループ
TEL 075-823-1271 FAX 075-823-2921
http://www.med.shimadzu.co.jp/
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