J・3Dと名古屋市立大学が金属3Dプリンターで日本初の「カスタムメイド人工股関節」を開発開始
2016-8-2
金属3Dプリンター製造受託サービスを手掛ける(株)J・3Dは,患者個々の骨格構造および症状等に合わせた,日本初となる「カスタムメイド人工股関節」の共同開発を名古屋市立大学と開始した。
「カスタムメイド人工股関節」は,患者個々に可能な限り適合化した製品で,関節の病気や怪我等に伴う強い痛みを取り除き,正常な股関節の動きを取り戻すために開発された。
カスタムメイド化(個別化)のメリットは,手術時間の短縮,入院期間の短縮,早期リハビリの実現,可能な限り骨を温存した治療の実現,インプラントの長寿命化(耐用年数の増加),再置換手術の減少,再手術のしやすさおよび成績向上等があり,超高齢化社会を迎える患者および医療現場の期待が高まっている。
【超高齢化の影響から,カスタムメイド人工股関節を必要とする患者が急増】
超高齢化の影響から,高齢者の身体機能を補うために,人工股関節等インプラント製品を埋込する手術が増加している。
人工股関節,インプラントを必要とする患者の急速な増加に伴い,患者個々の骨格・骨質・症状等に可能な限り適合化したカスタムメイド人工股関節の開発が求められている。
【日本初 金属3Dプリンターで一体型カスタムメイド人工股関節を製造】
従来の人工股関節は,輸入依存度が高く,外国製が90%を占めている(医療機器の輸出入額 薬事工業生産動態統計より)。また,現在の人工股関節はすべて既製品であり,その形状に合うように患者の生体骨を削り調整することで治療されてきた。
今回日本初の試みとして,従来の設計では別々の部品で製造されていたものが,金属3Dプリンター(積層造形技術)を用いることにより,CT等の画像データから患者の骨形状データの抽出,三次元化および製品製造までの一体型製作が可能となった。
そのため患者個々の病状に合わせたデザイン設計が可能となり,手術時間の短縮,患者への身体的負担が軽減されることが期待される。
【今後の展開 中小企業による医療機器分野への参入】
今後,日本は超高齢化の影響で,人工股関節手術はますます増加し続けることが予想される。
さらに,今回のケースは中小企業による医療機器分野への参入モデルとしてカスタムメイド化を期待する脊椎,膝関節,肩関節,人工骨等整形外科領域の幅広い分野で応用でき,将来的な期待が見込める。これからも医療現場の要望,患者の個別化医療に応えるべく「カスタムメイド人工股関節」の開発に挑む。
●問い合わせ先
(株)J・3D
http://j3d.jp/