ソニー,医療・健康情報連携プラットフォームを事業化
〜電子お薬手帳サービスharmoを医療機関・調剤薬局にむけて開始〜
2016-7-26
ソニーは,非接触ICカード技術FeliCaと個人情報に配慮したクラウドシステムを用いて,利用者を起点として機能するセキュリティレベルの高い(注1)(図1)医療・健康情報連携プラットフォームを事業化する。このプラットフォームは短期間で導入することができ,導入施設は個人を起点とした健康情報の連携を容易に行うことが可能となる。
FeliCaは交通系や電子マネーで実績のある非接触ICカード技術。利用者は専用のカードを施設の端末にかざすだけの簡単な操作で,データの開示・記録を行うことができる。
また,このプラットフォームを支える個人情報に配慮したクラウドシステムはソニーが独自開発した情報分離技術を基礎としており,その先進性と有用性が認められ,特許を取得している。
(注1)個人を特定する情報はICカードに,健康情報等のデータはクラウドサーバーに,各々暗号化のうえ分離して保存をするため,万が一のサーバー情報流出時でも情報の所有者を容易に特定できないため,セキュリティレベルを高く保つことが可能。ICカードを導入施設の端末にかざすことで情報を結合させる仕組み。
●電子お薬手帳サービスharmo (ハルモ)
ソニーは医療・健康情報連携プラットフォームを活用した具体的なサービスとして,2016年7月より電子お薬手帳サービスharmo(ハルモ)の事業を商用サービスとして開始した。
試験サービスの実績
ソニーは2011年秋以降,医療・健康情報連携プラットフォームが実社会の中で実効的に機能することを確認する目的で,地域を限定して電子お薬手帳を用いた試験サービスを展開してきた。
この試験サービスを通じて,harmoの有用性は調剤薬局にとどまらず,病院・診療所・歯科診療所等,幅広い領域の施設で認められ,2016年7月現在,全国10都市で合計約880か所の医療機関や調剤薬局(図2)に導入しており,75,000人を超える方々に日々利用されている。
harmoの特長
harmoは,患者がひとり1枚,専用カードを持つ仕組みを採用した電子お薬手帳であるため,スマートフォンを持たない患者や,乳幼児や高齢者であっても利用することができ,カードをタッチするという簡単な操作のみで自らの薬の情報を医師,薬剤師等に伝えることが可能。
カードタイプを採用することで,患者の持参率が向上し,お薬手帳への確実な記録ができるため,患者は薬剤師から,より適切な服薬指導を受けることができる。
また,患者は,専用カードに加えてスマートフォンアプリケーションを併用することで,飲み忘れ防止アラームの設定や,服用履歴の管理,ジェネリック医薬品を希望する旨の表明,アレルギーの記録等が可能となっている。
さらに,子供の調剤情報を保護者が管理したり,離れて暮らす高齢者の状況を家族が見守ったりと,身近な人間がサポートすることにより,薬を正しく服用する「服薬アドヒアランス」向上への貢献が期待されている。
今後,harmoの普及により,患者の飲み忘れが減少し,薬剤師からの適切な指導がより効果的になされるようになることで,残薬解消・重複投与の防止などが見込まれ,医療費適正化の効果が期待されている。
プラットフォームの今後の展開
ソニーはこれまでの約5年間にわたる試験サービスで得られた知見とネットワーク,実績をもとに,引き続き,地域の医療・健康情報連携プラットフォームとして医療機関,調剤薬局等を中心にharmoの導入を推進していく。また,蓄積した統計データを利用者にとって有用な情報として活用することなど,harmoの特長を活かした新たな価値を提案していく。
そして将来的には,本プラットフォームの様々な分野への応用,展開を見据えて事業を推進していく。
電子お薬手帳サービス利用料金および提供エリア等詳細はharmoサイト参照。
http://www.harmo.biz/medical/introduction/
●問い合わせ先
harmoサイト
http://www.harmo.biz/medical/contact/