エドワーズライフサイエンス,TAVI(経カテーテル大動脈弁治療)用生体弁「エドワーズ サピエン3」の製造販売承認を取得

2016-3-16

エドワーズライフサイエンス


サピエン3

エドワーズライフサイエンス(株)は3月11日, TAVI(経カテーテル大動脈弁治療)に使用する生体弁「エドワーズ サピエン3」(以下サピエン3)の製造販売承認を取得した。5月を目途に保険償還を経て, 必要なトレーニングを修了した医療機関に向けて販売を開始し, 今年中には既存のすべてのTAVI実施施設にて使用開始できる予定。
 

■ より細く折りたためるように進化した生体弁デザインで安全性が向上,治療可能な患者対象も拡大
TAVIは2007年にヨーロッパで初めて臨床に導入された,重症の大動脈弁狭窄症(後述)の治療法。 TAVIではデリバリーシステムと呼ばれるカテーテルの上に, 生体弁を折りたたんだ状態で装着し, それを患者さんの太腿の付け根の血管等から挿入する。そして血管の中を通して心臓まで生体弁を運び, 患者さんの機能しなくなった大動脈弁の上で,生体弁をバルーンで押し広げ, 留置する。TAVIにおいては,いかに生体弁を細くたたみ,血管を通すカテーテル全体をより細くできるかが課題であった。

サピエン3では生体弁のデザインを進化させることで,必要となる患者さんの血管径を,従来製品の6.0mm以上から5.5mm以上とすることに成功し,これまでよりも血管が細い患者さんの治療が可能となった。加えて,医師がより安全に,患者さんの血管内にカテーテルを通す操作を行うことが可能になる。

血管を通じて心臓の弁まで運び,バルーンを広げて留置

 

■ 弁周囲からの血流の漏れを防ぐスカートを追加しながら,より細くたたむ,を実現
従来製品では,患者さんの機能しなくなった大動脈弁の位置でバルーンを膨らませて生体弁を広げる際,医師が熟練した技術により正確に留置することで,生体弁周囲からの血流の漏れを防いでいた。

しかしサピエン3では,生体弁の周囲にスカートがついたデザインにすることで,生体弁を弁輪にフィットさせることが可能となり,血流の漏れを防げるようになった。これにより,医師はより安全に且つ簡便に生体弁の留置ができるようになった。加えてデザインの工夫により,生体弁にスカートを追加しながら,同時により細くたたむことを実現した。

スカート

 

※弁のふち(外周)を指す

■ 歩くことも困難な重症の「大動脈弁狭窄症」の根治治療を, より多くの患者さんに
【大動脈弁狭窄症とは】

心臓弁膜症のひとつで, 心臓の4つの弁のうち大動脈弁に動脈硬化と同様の変化が起きて固くなり, 開きにくくなる病気。特に高齢者に多く,日本における大動脈弁狭窄症を含む心臓弁膜症の潜在患者数は,推定200~300万人(米国における弁膜症有病率※1を,日本の18歳以上の人口に適用し推定)といわれている。
 

大動脈弁狭窄症は進行性の疾患で,重症になると胸痛や失神のほか,歩くことも困難なほど過度に疲れやすくなるなどの症状がある。症状が出てからの2年間で約半数の患者さんが亡くなる※2ともいわれ,薬では根治しないため治療には硬化して機能しなくなった患者さんの大動脈弁を人工弁に置換する手術が必要である。

●外科治療とTAVIでより多くの患者さんを治療

現在,全世界で施行されているスタンダードの治療法は,長い歴史と安定した治療実績がある,開胸して行う大動脈弁置換術。一方で,高齢や心臓以外の疾患などの理由により,開胸手術には耐えられないと判断される患者さんは少なくとも30%※3はいると言われており,その方々の治療は,薬で症状の進行を抑える対症療法しかなかった。

そうした中,日本では2013年にTAVIが登場し,胸を開かず,心臓も止めずに,これまで手術できなかった患者さんの治療が可能となった。以来,3,000人を超える日本の患者さんの治療に使用されている(2016年3月時点)。
 さらにサピエン3の登場により, これまで血管が細い等の理由でTAVIを受けることも困難とされた患者さんの治療可能性が広がり, 元気な日常生活を取り戻す一助となることが期待される。

※1 Nkomo VT, et al. Burden of valvular heart diseases: a population-based study. Lancet. 2006;368:1005-11.
※2 Bach DS. Prevalence and characteristics of unoperated patients with severe aortic stenosis. J Heart Valve Dis. 2011; 20:284-91.
※3 Pellikka PA, et al. Outcome of 622 adults with asymptomatic, hemodynamically significant aortic stenosis during prolonged follow-up. Circulation. 2005; 111:3290-5..

 

●問い合わせ先
エドワーズライフサイエンス(株)
THV事業部
TEL 03-6894-0680
http://www.edwards.com/jp/

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