オリンパス,高精細な映像で手術をサポートする4K技術搭載の外科手術用内視鏡システムを発売
〜ソニー・オリンパスメディカルソリューションズが技術開発を担当〜
2015-9-17
4K外科手術用内視鏡システム
(システムセット例)
オリンパス(株)は,4K技術を搭載した外科手術用内視鏡システムを2015年10月上旬から日本とヨーロッパで順次発売する。本製品は,同社とソニー(株)との医療事業に関する合弁会社であるソニー・オリンパスメディカルソリューションズ(株)が技術開発を担当した製品である。
がんなどの病変部摘出を目的に,体表に開けた数カ所の穴から外科手術用内視鏡と専用器具を挿入して行う手術(内視鏡外科手術)が一般に行われている。この手術方法は,開腹しないため術後の痛み軽減や早期回復などの効果が期待でき,患者さんの負担が少ない低侵襲治療として知られている。
今回,内視鏡外科手術の更なる正確性・安全性向上を追求し,4K(3840×2160 ピクセル以上)技術を搭載した外科手術用内視鏡システムを発売する。従来機※1 のフルハイビジョン映像に比べて画素数が約4倍※2 となり,高精細な映像での手術が可能となった。また,豊富な色再現性により,微細組織や血管などの容易な識別をサポートする。
なお,本製品については,オリンパスが有する医療機器のノウハウとソニーが有するデジタルイメージング技術などをソニー・オリンパスメディカルソリューションズが統合し,技術開発を行った。その後,オリンパスメディカルシステムズ株式会社が製品設計をおこなった製品※3。
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*4K外科手術用内視鏡システムに,4Kカメラヘッドと高解像硬性腹腔・胸腔鏡を組み合わせて使用する。
●主な特長
1. 4Kならではの高精細映像が,手術時の視認性向上に貢献
本製品は,4K(3840×2160 ピクセル以上)技術を搭載し,従来機のフルハイビジョン(1920×1080 ピクセル)の約4倍の画素数を実現した製品。細部までクリアで高精細な映像が,手術時の視認性向上に貢献する。
4Kカメラヘッドでは,ソニー製4KのExmor R® CMOSイメージセンサーを採用し,高感度でノイズが目立ちにくい映像での手術が期待できる。また,4Kカメラヘッド上のボタンを押すだけで瞬時にピントを合わせることができるワンタッチオートフォーカス機能を搭載し,手術時間の短縮に貢献する。
高解像硬性腹腔・胸腔鏡では,光学視管にED(Extra-low Dispersion)レンズを採用し,色収差(光の分散が原因で生じる収差,色によって焦点位置がずれてしまう現象)を抑えて,周縁部までシャープな画像が得られるようにした。微小な血管や神経などの視認性向上が期待できる。
2. 豊富な色再現性が,微細組織(血管,神経,リンパ管など)の容易な識別をサポート
4K映像では,従来のフルハイビジョン映像よりも色の再現性が広がり※4,また豊富な色相領域を採用することで,より細かい色調整が可能となった。微細組織の境界などを容易に識別することをサポートする。特に,手術時に重要な「赤」の再現性が向上したことは,血管や神経,リンパ管,脂肪などの境界把握向上が期待され,より正確な手術に貢献する。
3. 大画面モニターおよび電子ズームの拡大視で,繊細な手術操作をサポート
55インチという大画面モニターで,高精細な映像を物理的に大きく見ながら手術をすることが可能。
これにより,繊細な手術操作をサポートする。また,電子ズーム機能を使えば,光学視管を腹腔内で離して使用することで,他の穴から入れている別の手術器具との干渉を低減させることも期待できる。
なお,4Kモニターは,ソニー独自のオプティコントラストパネル※5 を採用し,外光の反射を少なく,高コントラストの画像提供を実現した。
※1 「VISERA ELITE」(2011年10月発売)
※2 フルハイビジョンが約207万画素,4Kが約829万画素
※3 製造販売元(モニター,レコーダーは除く):オリンパスメディカルシステムズ(株),モニターおよびレコーダーの製造元:ソニー(株)
※4 本製品は4K映像の次世代放送規格である「ITU-R BT.2020」を採用し,従来のハイビジョン映像の「ITU-R BT.709」と比べて色域表現領域が広くなった
※5 通常の液晶パネルは,液晶画面と画像保護パネルの間に空気層を入れているが,オプティコントラストパネルでは,空気層の代わりに樹脂を充填した。空気層をなくすことで,外光からの乱反射を防止し,反射光によるコントラストの低下を抑制。また,パネル内での結露の発生もなくなった。
●問い合わせ先
オリンパス(株)内視鏡お客様相談センター
TEL 0120-41-7149
http://www.olympus.co.jp
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