東芝,約2時間で国内主要米の品種を識別できるDNA検査キットを販売
〜精米機メーカーの(株)サタケと共同開発〜
2015-3-25
コメ品種識別用検査キット
(株)東芝は,(株)サタケと約2時間で国内主要米の品種を識別できるDNA検査キット「コメ品種識別用検査キット」を共同開発した。本製品は,専門知識がなくても,迅速で簡便なコメの品種識別を可能にするもので,3月25日から販売する。
本製品は,検査用DNAチップカードと増幅試薬等から構成され,コメから抽出した核酸サンプルを検査用DNAチップカードに添加し,同社のDNA検査装置「Genelyzer™Ⅱ」にセットするだけでコメの品種識別・混米判定を可能とする。従来,コメの品種識別には検査機関において数日を要しているが,本製品を使用することにより約2時間で国内主要米の品種を識別できる。
同社は,農林水産省食料産業局新規事業創出課の支援のもと,サタケと共同開発体制を組み,DNAチップを活用したコメ品種識別の技術開発を進めてきた。コメの品種識別を行うには,検査対象のコメがもつ品種特有のDNA配列(DNAマーカー)を複数検出し,判定する必要があるが,本製品は,品種を識別するのに必要なDNAマーカーを21種に絞り,それらを同時検出することで,迅速な品種識別を可能とした。
昨今,コメの偽装表示や異品種混入問題などへの対策や,政府の掲げるクールジャパン戦略における付加価値の高い農産物の輸出拡大等のため,品種識別の科学的検証手段が生産現場から流通業界まで幅広く求められている。本製品は,コメから抽出した核酸サンプルを検査用DNAチップカードに添加し,DNA検査装置にセットするだけで,これらのニーズに応えることができる。
同社は,安心・安全・快適な社会「Human Smart Community」の実現への貢献を目指しており,東芝グループの持つ幅広い技術を結集し,ヘルスケア事業を積極的に強化している。DNA検査システム事業においては,1月のDNA検査装置の販売開始と同時に食中毒原因菌を判定するDNA検査キットを製品発表しており,今後も多種多様な検査キットを開発し,食の安心・安全に貢献していく。
●コメ品種識別用検査キットの主な仕様
製品内容:検査用DNAチップカード
増幅試薬他
対象品種:国内主要米注1
検体数:1カード1検体(使い捨て)
サンプル:コメからの核酸抽出溶液
増幅方式:LAMP法
検出方式:電流検出型DNAチップ
●サタケとの共同開発経緯
同社は,農林水産省による平成24年度農山漁村6次産業化対策事業に係る輸出拡大サポート事業のうち「品種保護に向けたDNA品種識別技術確立対策」において,「品種識別用DNAチップ,及び簡易DNA検査システムの確立」が採択され,コメの総合分析におけるリーディングカンパニーであるサタケと共同開発を開始し,実証試験を経て製品化にいたった。
●DNAチップについて
同社のDNAチップには,用途に応じ,検出対象となるDNAと相補的な配列のプローブDNA注2が複数種,電極の上に予め固定化されている。 DNAチップ上に検出対象となるDNA(検体DNA)を添加することにより,検体DNAと相補的な配列のプローブDNAがハイブリダイゼーションする。 その後,DNAチップ上に挿入剤を添加することで,ハイブリダイゼーションにより2本鎖になったDNAにのみ挿入剤が結合する。この状態でDNAチップに電圧をかけることにより挿入剤が酸化反応を起こすことで電極に電流が流れる。この電流を測定することにより,検体DNAを判定する。同社は2009年より子宮頸がん原因ウイルス判別用,実験動物微生物モニタリング用,生物剤検知用などの遺伝子検査システムを実用化し,2015年1月19日から新型DNA検査システム「Genelyzer™Ⅱ」を販売開始した。
注1 2015年3月25日時点で,国内主要米47品種について検出確認済。
注2 検体DNA検出用の1本鎖DNA。プローブは探針の意味。
●価格
8,500円(税別)
●問い合わせ先
(株)東芝 ヘルスケア社
ヘルスケア医療推進部 DNA検査システム事業開発部
TEL 03-3457-3324
http://www.toshiba.co.jp
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