作成したポリゴンモデル例

サイバネットシステム（株）（以下「サイバネット」）は，同社が開発・販売・サポートする医用画像用ソフトウェア「Expert INTAGE（エキスパートインテージ）」と「PrimeINTAGE（プライムインテージ）」の販売を開始することを発表した。出荷開始は10月31日の予定。

医療現場ではCT画像を使って，様々な診断が行われている。近年，3Dプリンタの進化や普及により臓器の疑似モデルが簡単に作成できるようになり，手術シミュレーションや患者説明に効果を発揮している。このように，医用画像は“見る”から“疑似モデルを造る”時代へと変わってきている。

「Expert INTAGE」は，CT装置から得られるDICOM^（※1）データを用いて簡単に3Dプリンタ用モデルを作成する機能を備えたソフトウェア。CT画像から必要な臓器データを抽出する機能として，ノイズ除去，スムージングなど，モデル作成のための機能を提供する。さらに，CT画像を“なぞる”だけで必要な臓器データを簡単に精度よく抽出できる機能「Drawing Extractor」をオプション搭載する。この機能により，これまで抽出困難であった造影剤なしのCT画像や，アーチファクトがあるCT画像に対しても臓器データの抽出が可能となる。Expert INTAGEにより作成するモデルは，流体・構造解析などの医工連携や，術前のシミュレーションなどに効果を発揮し，医師や研究者をサポートする。

また，医用画像を表示する一般的なソフトは，多機能で操作するために専門的な知識を習得する必要がある。
「Prime INTAGE」は，“誰でも簡単にDICOMデータを扱える”をコンセプトとした，操作性・表示機能に優れたソフトウェア。高画質な3D画像処理と表示の技術をベースに，CT画像表示に必要な機能を厳選し，コンパクトにまとめた。高額なワークステーションと同等の3D画像を表示できる。

●Expert INTAGE，Prime INTAGEの詳細
Expert INTAGE http://www.cybernet.co.jp/medical-imaging/products/expertintage/
Prime INTAGE http://www.cybernet.co.jp/medical-imaging/products/primeintage/

●Expert INTAGEの主な機能

3Dプリンタ，シミュレーション用モデル作成
3Dプリンタや流体・構造解析シミュレーションに用いるSTL^（※2）データをDICOMデータから作成できる。
3Dプリンタに用いる際に不必要なノイズを除去する機能や，解析に影響を与えるモデル表面の形状を滑らかにする機能を実装している。

[オプション] Drawing Extractor（ドローイング エクストラクター）
Drawing Extractor は，手動による繊細さと自動による手軽さを兼ね備えた抽出機能。これまで困難だった造影剤無しの軟部組織の抽出や，アーチファクトが邪魔で困難とされていた顎骨の抽出なども可能。数枚のCT画像をなぞるだけで，必要な臓器データを三次元の形状で簡単に精度良く抽出することができる。

●Prime INTAGEの主な機能

Prime INTAGEによる全身の大規模データ表示

大規模DICOM データに対応したコンパクトなビューア
"レイキャスティング法"^（※3）を用いた高画質な3D表示と，3D画像の滑らかな回転操作が可能。ハイスペックなワークステーションや，専用のグラフィックスハードウェアは必要とせず，ノートパソコンでも高速な表示が可能なソフトウェア。64ビットOSに対応し，1,000枚以上のDICOMデータを読み込むことが可能である。
DICOMデータ表示に必要な機能を厳選し，アイコン操作によるシンプルなユーザーインターフェイスを提供する。これにより，内視鏡表示や部位ごとに適した表示選択などの操作が簡単に行える。

^{※1：DICOM（ダイコム）：医用画像の保存、通信方法を定めた世界標準の規格。
※2：STL（エス・ティ・エル）：形状を三角形で表現するデータフォーマット。
※3：レイキャスティング法：半透明な投影画像を生成し内部を可視化することができる表示方法。}