メドトロニック,頚椎椎弓形成術用チタン製インプラント「CENTERPIECE OD プレートシステム」販売開始
~日本初,慶應義塾大学病院にて臨床使用開始~

2013-10-3

日本メドトロニック


図1:CENTERPIECE OD プレートシステム

図1:CENTERPIECE OD プレートシステム

メドトロニックソファモアダネック(株)は,頚椎椎弓(けいついついきゅう)形成術用チタン製インプラント「 CENTERPIECE OD (センターピース オーディ)プレートシステム(以下 Centerpiece)」(医療機器承認番号: 22400BZX00483000)の日本国内での販売を,2013年9月1日より開始した。

脊椎には,脳から続く神経の束である脊髄が走行している。この脊髄が走行する管を脊柱管と呼ぶ。様々な原因によって脊柱管が狭くなり,神経が圧迫されると,手足の痺れや痛み,歩行障害,排尿障害などの神経症状が現れる。さらに頚椎部位の神経が圧迫されると,強い肩こり,首の痛み,ふらつきなどが起きる場合がある。これら頚椎中の神経組織が圧迫されることで起こる疾患を総称して,頚椎変性疾患という。

軽症の場合には,投薬や安静といった保存的治療により回復するが,症状が続く場合や重症の場合には,外科的治療(手術)が検討される。手術では,脊髄や神経の圧迫を取り除くこと(除圧)を目的として,圧迫している骨の一部や靭帯などを切除する。切除手術には,手術の範囲や部位に応じて,首の前方から手術を行う前方侵入法と,後方から行う後方侵入法がある。頚椎椎弓形成術とは,上記のような頚椎変性疾患に対する後方侵入による手術方法の1つで,日本の脊椎外科手術において広く普及している術式である。

図2:頚椎椎弓形成術(片開き式椎弓形成術)における使用例

図2:頚椎椎弓形成術(片開き式椎弓形成術)における使用例

Centerpieceは,頚椎椎弓形成術におけるチタン製の脊椎内固定器具で,プレートとスクリューから構成される(図1)。除圧により削られた骨の代わりにプレートを移植し,拡大された椎弓(脊椎の一部分)を固定・安定化させる(図2)。従来は,患者自身の骨(移植骨)や人工骨を用い,それらを糸で固定していた。Centerpieceは,除圧後の骨の欠損部分にプレートをはめ込み,スクリューでプレートと骨を固定するのみで,手技の簡便化による手術時間の短縮化が期待される。また,金属製のプレートで固定することで,手術後に起こり得る,脊柱管の再狭窄(再び神経が圧迫されること)や移植骨の脱転(背骨を固定するために移植した骨がずれたり動いたりすること)といった合併症を回避できるといったメリットもある。

Centerpieceの日本初の臨床使用は,慶應義塾大学病院整形外科によって行われた。執刀医の松本守雄准教授は次のようなコメントを寄せている。「頚椎変性疾患の手術において頚椎椎弓形成術という術式は確立された手技として,日本のみならず海外でもスタンダードな手術になっています。頚椎片開き式椎弓形成術(平林法)は慶應義塾大学医学部考案のオリジナル術式であり,良好な成績を残してきました。しかし,術後に椎弓が再狭窄(Lamina Closer)してしまうケースが少なからず見られます。この Centerpieceは,頚椎椎弓形成術専用に開発されたシステムで,プレートとスクリューによって拡大された椎弓をしっかりと保持してくれます。従来の方法では得られなかった固定によって,さらにこの手術成績を向上させることのできる製品だと大いに期待しています。」

Centerpieceは,2012年12月に頚椎椎弓形成術専用の金属製脊椎固定器具として本邦初の薬事承認を取得し,2013年9月1日に販売開始された。

参考文献:平林 冽:頚髄症に対する後方除圧術としての片開き式頚部脊柱管拡大術について .手術,32:1159-1164,1978 Matsumoto M, et al. Risk factors for closure of lamina after open-door laminoplasty. J Neurosurg Spine 9:530-537, 2008 Andrew E. Park, John G. Heller. Cervical Laminoplasty: Use of a novel titanium plate to maintain canal expansion—Surgical technique. J Spinal Disord Tech 17:4:265-271, 2004

 

●問い合わせ先
日本メドトロニック(株)
http://www.medtronic.co.jp/

日本メドトロニック


TOP