ソニー,内視鏡からの映像を表示する 「ヘッドマウントイメージプロセッサユニット」発売
〜内視鏡からの映像を3D/2D出力し,有機ELパネル搭載の装着型モニター(付属品)により,自由な姿勢での作業を実現〜
2013-7-23
「ヘッドマウントモニター」の着用イメージ
ソニーは,内視鏡の映像信号の入出力や映像制御などを行う「ヘッドマウントイメージプロセッサユニット」と, その内視鏡からの映像を,頭部に装着したディスプレイに3D/2Dで表示する「ヘッドマウントモニター」のセットを発売する。「ヘッドマウントモニター」は単品でもオプション発売する。
本機は,高解像度・黒の高い再現性・優れた動画応答性・正確な色再現といった有機ELパネルの特長を生かし,対象物の微細な映像表現を可能にしている。左目用と右目用に2枚のパネルを搭載し,左右それぞれに独立したHD映像を表示して3Dを実現するため,映像が二重に見える現象(クロストーク)がなく,対象物を,高精度で忠実な色再現と,精度の高い奥行き情報を表示できる。
また,内視鏡手術などにおいて,通常医師は,映像を外付けのモニターで確認しながら施術するため,モニターへ向いた姿勢を保ちながらの施術となり,医師の姿勢と動きが制限される。一方,本機付属のヘッドマウントモニターは頭部装着型のため,3D表示に加え,自由な姿勢で手術を実行でき,スムーズな作業を支援する。
さらに,2つの映像を同時に表示できる「ピクチャーインピクチャー機能」により,例えば内視鏡映像に加え,超音波内視鏡といったその他の画像情報などを同時に表示することも可能。
また,映像を左右/上下に反転表示できるため,例えば,複数の医師で共有する手術現場では,執刀医の内視鏡映像を向かい合った術者と助手がこの機能を利用することにより,内視鏡映像をそれぞれの立ち位置からの視点で見られる。このような手術現場のニーズに対応した機能により,3D内視鏡手術へ貢献する。
ソニーは,メディカル事業を中長期に成長を目指す事業領域の一つと位置づけている。その中で,早くから医療現場における3D映像の有用性に着目してきた。放送業務用機器などの技術開発を通じて,蓄積した 3D技術とノウハウをもとに,既に光学顕微鏡に装着する3Dカメラや医療用3Dレコーダーなど,医療周辺機器を導入し,実績を重ねている。
●接続構成例
本システムは,内視鏡カメラにヘッドマウントイメージプロセッサユニットを接続し,プロセッサ内で画像反転や2画面表示といった映像制御や送り出しの調整などをリアルタイムに行ったうえで,ヘッドマウントモニターへ映像送出するシステム。なお,1台のヘッドマウントイメージプロセッサユニットに,2台のヘッドマウントモニターを接続できる。それぞれのヘッドマウントモニターは,独立して映像信号選択や「ピクチャーインピクチャー機能」などを制御できる。
●主な特長
1. HD有機ELパネルによる,高品位な映像
ソニー独自の有機ELディスプレイ技術と半導体シリコン駆動技術による,0.7型(対角 18.0mm)のHD有機ELパネル(1280×720)を搭載。有機ELの高コントラスト,色再現性,高速応答性能と合わせ,奥行きがあり,対象物の細部や繊細な情報まで表示する。
高コントラスト: 自発光方式のため,測定限界を超えた,圧倒的な高コントラスト比を実現する。
色再現性:明るく純度の高い発色となめらかな階調表現が可能。手術時に注視が必要な,対象物の微細な色の違いを鮮明に表示する。
高速応答性能: 有機ELパネルは電流を流した瞬間に発光するため,高速応答性能に優れている。手術器具の速い動きにも追従し,残像が少なく鮮明に映像表示する。
2. クロストークのない「デュアルパネル3D方式」による高純度な3D映像
一般的に,3D表示を1枚の画面で行う方式には,左右用の画面を高速で切り替えて表示するフレームシーケンシャル(FS)方式や,左右用の映像を走査線ごとに一つおきに表示するライン・バイ・ライン(LBL)方式などがある。FS方式では左右用の映像が完全に切り替わらず混ざるクロストーク現象が発生しやすく,LBLでは画素数が半分になる。
本機は左目用,右目用それぞれのパネルに独立した左右用の3D映像を常に表示する「デュアルパネル3D方式」を採用しているため,クロストークがない。ぶれない確かな3D映像を表示し,対象物の奥行きなど繊細な情報までも確認でき,3D内視鏡手術に貢献する。
3. 使用する内視鏡に合わせて,2D/3Dの映像表示切替が可能
内視鏡から出力される2D/3D信号それぞれに対応。イメージプロセッサユニットのインプットボタンを選択することで,2D/3Dの映像表示切替えが可能。最新の3D内視鏡に加え,2D内視鏡にも幅広く対応する。 ※
※対応する機器は下記信号フォーマットを出力する内視鏡となる
4. 医療現場に適した装着性を実現
本機を装着したままで医師が自由に体を動かせるように,頭部を上下左右に動かしてもずれにくい,安定した装着性を追求した。
立った状態での装着性のバランスが取れるよう設計されており,また,頭部前頭部と頭頂部にクッション性を持たせることで長時間装着に適用できるようにした。
ヘッドバンド調整機構は同社ヘッドホンのバンド技術を応用しており,またリアバンド調整機構は後頭部の一か所のノブにより簡単に調整できる。また長時間の手技中に仮にずれてしまった場合に,装着している医者以外が調整できるよう調整用窓を設けている。
また,本体下部に隙間を設けているため,ヘッドマウントモニターの映像と手元を小さな視線移動で見ることができる。また,手術時におけるアシスタントからスムーズな器具の受け渡しが可能となる。
5. ピクチャーインピクチャー機能を搭載
本機は内視鏡からの映像表示をメインとしながら,もう1つの映像をワイプで入れる「ピクチャーインピクチャー」機能を搭載した。2つの映像を入力時,イメージプロセッサユニットのPinPボタンの選択で,2映像同時に表示できる。※
医療現場において内視鏡映像のほかにも,その他の画像情報(超音波内視鏡など)を同時に表示することも可能。
※ 3D表示をしている場合にPinP機能を使用すると,メイン画像の3D表示は2D表示に切り替わる。
6. 左右反転・180度回転表示機能
内視鏡からの出力映像を左右反転・180度回転表示が可能。内視鏡カメラの向きによらず,手術中の立ち位置からの視点で見やすい方向に映像表示が可能。また,インプット(各映像)毎に映像を左右反転,もしくは上下左右反転でき,ピクチャーインピクチャーモードを使用した場合でも,その状態を維持しながら表示が可能である。映像を左右/上下左右に反転表示できるため,内視鏡手術の際に向かい合った術者と助手が映像を同じ方向で見ることができる。
7. 内視鏡カメラとの接続に対応する,豊富な入出力端子を搭載
本機はDVIやSDIなど,4つの入出力端子を搭載しているため,様々な内視鏡カメラからの映像信号に対応する。また入力した映像をそのまま出力可能なため(スルーアウト機能),ヘッドマウントモニターで内視鏡映像を見ながら外部モニターにも同様の情報を表示し,複数の術者で共有するといった用途に対応できる。
●問い合わせ先
ソニービジネスソリューション(株)
業務用商品相談窓口
TEL 0120-788-333 (フリーダイヤル)
0466-31-2588(携帯電話・PHS・一部のIP電話などフリーダイヤルがご利用になれない場合)
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