ホーム の中の News Flashの中の埼玉利根医療圏糖尿病ネットワークがバーチャル糖尿病検診センターを運用開始

News Flash

埼玉利根医療圏糖尿病ネットワークがバーチャル糖尿病検診センターを運用開始

特定非営利活動法人(NPO法人)埼玉利根医療圏糖尿病ネットワークは,地域ぐるみの糖尿病スクリーニングITソリューション「バーチャル糖尿病検診センター」を発表した。
当事業は,単に地域で糖尿病患者を見いだすか? という問いだけでなく,いかにして適切な治療ルートにのせるか? ドロップアウトを防ぐか? という課題解決にも取り組んでいる。

●バーチャル糖尿病検診センター
バーチャル糖尿病検診センター構想は,NPO法人埼玉利根医療圏糖尿病ネットワークが考案した地域ぐるみの糖尿病スクリーニングを可能にするITソリューションである。現在,相当数潜在していると考えられている未診断,未治療,治療中断の糖尿病患者をコミュニティーレベルで見いだし,継続的な治療へ結びつけるための仕組みである。
今回,構想を事業化するにあたり,NET-SMBG(NPO法人日本糖尿病情報学会・ミテネインターネット)と呼ばれる自己血糖測定器(SMBG:self-monitoring of blood glucose)による測定データをインターネット経由で送信し,ウェブ上での遠隔参照を可能にするITシステムを採用した。本システムは経産省地域イノベーション創出研究開発事業(平成20,21年度)により開発されたものであり,その特徴の一つとして,複数メーカーの自己血糖測定器に対応できる点が挙げられる。
図1にバーチャル糖尿病検診センター事業の具体的なワークフローを示す。まず,歯科診療所(または薬局)において,口腔内所見や問診,患者の希望などにより糖尿病の可能性を疑い,利用者の同意の元で血糖測定を行う。穿刺行為および採血は利用者が歯科医師,あるいは薬剤師の指導の元で自ら行う。検査結果はNET-SMBGシステムによりインターネット経由で糖尿病専門医へ送信される。検査結果を参照した糖尿病専門医により要受診と判断された患者は,歯科診療所から電話にて診療予約が取得される。次に,紹介状が作成され,糖尿病専門外来を受診し糖尿病に関する診断を受ける。糖尿病専門医への紹介の際,同時に歯科診療所や薬局は糖尿病連携パスに登録され,それぞれ,かかりつけ歯科医,かかりつけ薬局となる。
糖尿病専門医による治療が開始され,病状が安定すれば,患者は循環型連携パスを用いた,かかりつけ医との連携診療へ移行する(二人主治医制)。かかりつけ医との連携診療移行後も糖尿病連携パスに基づき,歯科診療所への年1回の定期受診,あるいは治療は継続していく。薬局はかかりつけ薬局としてかかわりを続ける。

図1
図1

平成23年11月現在,モデル事業として,埼葛歯科医師会所属の2歯科診療所,大宮歯科医院(幸手市),山崎歯科医院(春日部市)と,春日部市薬剤師会所属薬局,ファーマシーいまいの計3施設が本事業へ参加している。相談窓口となる糖尿病専門医は,社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス東埼玉総合病院地域糖尿病センター所属の糖尿病専門医1名が担当している。
今後,モデル事業終了後登録施設数を増やし,業種を超えた多様かつ多数の施設において,このITソリューションを活用した地域ぐるみの糖尿病スクリーニングを行うことの医学的効果を検討していく計画である。また,継続可能な仕組みとする為に,医療経済学的な検討も必要と考えている。
当事業は,内閣官房高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部における第8回医療情報化に関するタスクフォースにおいて「どこでもMY病院」の具体的な使い方として紹介された。

 

●問い合わせ先
NPO法人埼玉利根医療圏糖尿病ネットワーク
バーチャル糖尿病センター事業事務局
〒345-0025 埼玉県北葛飾郡杉戸町清地2丁目2番11号
TEL/FAX 0480-33-2932
E-mail npo_saitamatone@jin-ai.or.jp
http://www2.olff.net/tonyo/