経済産業省は6月30日(水),産業面からのわが国の医療政策の方向性を整理した「医療産業研究会報告書─国民皆保険制度の維持・改善に向けて─」を公表した。医療産業研究会(座長:伊藤元重・東京大学経済学部長)は,2009年9月に設置され,これまで5回にわたり会合を設けてきた。
研究会では,高齢化などによる医療ニーズが高まる一方で,国民皆保険制度の枠組み内で行われている医療は需要と供給のギャップがあると指摘。その上で,枠組みの外の世界も活用し,医療の産業化を進め市場を拡大する必要があると現状を分析している。そして,市場を拡大するためには,医療周辺サービスを提供する「医療生活産業」の振興と,国際化を進めて国民皆保険制度の枠外で市場を広げ,資本蓄積や技術革新の基盤を整備し,自律的な成長を可能にすることが求められているとしている。
さらに,その具体的な施策として,医療生活産業の振興については,医療との連携,サービス品質の可視化,ビジネス環境の整備を挙げている。また,医療の国際化は,外国人患者の国内医療機関への受け入れ,医療機関や医療機器・医薬品産業が連携し日本の医療サービスとしてシステムを輸出するとしている。医療情報のデジタル化・標準化も施策に盛り込んでおり,情報共有のためのネットワークや,標準規格の策定,個人情報の取り扱いなどにも言及している。
なお,報告書は,http://www.meti.go.jp/press/20100630001/20100630001.htmlから参照できる。
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