日本医療機器産業連合会 会長 荻野 和郎
米国医療機器・IVD 工業会(AMDD) 会長 王恵民
欧州ビジネス協会 (EBC) 医療機器委員会 委員長 上條誠二
AMDDは,日本医療機器産業連合会,欧州ビジネス協会 (EBC)と連名で,医療機器業界を代表し,要望書「医療機器の保険償還価格の改定に当たって」を16日,厚生労働大臣等政務三役に対して提出した。要望概要は以下の通り。
<医療機器業界の要望概要>
1.イノベーションの適正な評価
医療の向上に貢献しつづけるためには,新たな医療機器・医療材料の開発,及び改良改善が欠かせません。そのためには,保険償還価格に開発や実用化に対する産業界のインセンティブを高める要素を加味する必要があります。現在の評価制度では,機能区分制度という価格設定の仕組みのため,一部の既存製品では改良改善に対するイノベーションが適切に評価されない仕組みになっていますので,新しい医療機器・医療材料の開発,及び改良改善が適切に評価される新たな価格設定の仕組みを要望します。
2. 医療機器・医療材料の安定した供給の維持・確保に向けた取組み
医療機器・医療材料の安定した供給は企業にとって重要な使命です。現行の機能区分方式では製品の機能(医療現場での評価)に関わらず,同一区分内は一律引き下げられる仕組みになっています。このため,償還価格の下落が激しい機能区分では,資金力に劣る国内の中小企業や海外企業の日本市場への供給を失うこととなり,医療機器・医療材料の安定供給が困難となることが危惧されています。
ついては,外国平均価格制度および市場実勢価格加重平均値一定幅方式に関するルールの現状維持はもとより,安定供給が危ぶまれる医療機器・医療材料の償還価格の適切な評価設定を要望します。
3. 為替変動への柔軟な対応
リーマンショック以降の急激な円高は,為替レートに大きな変動をもたらしています。現行の算定制度の下では,同一海外価格であっても為替変動によって内外価格差が生じる仕組みになっています。また,一旦引き下げられたものはその後円安になっても上がることはありません。一方,為替差益が生じていない国産品であっても,同一機能区分内ということで再算定の対象になってしまうなどの悪影響が出てきます。
ついては,再算定に用いる平均為替レートの算定期間を見直すなどの激変緩和措置を要望します。
以上 |