ハンズオンセミナー in 軽井沢

第36回日本放射線技術学会(JSRT)秋季学術大会(大会長:佐野芳知氏・山梨大学医学部附属病院放射線部)が10月23〜25日の3日間,軽井沢プリンスホテルウエスト(長野)において,「放射線技術の継承と飛躍」をテーマに開催された。特別講演,一般研究発表,部会・分科会合同シンポジウム,機器展示などのほか,体験型教育プログラム「ハンズオンセミナー」が開催され,3日間で計126名が,検像システム,3D画像配信システム,モニタ品質管理システムの操作を実際に体験した。


Focus on
 ハンズオンセミナーを支える,信頼のHPワークステーション

今回のハンズオンセミナーでは,ワークステーション(WS)はすべて日本ヒューレット・パッカード(日本HP)社製の「HP xw4600」が使用された。HP xw4600は,エントリモデルでありながら,最新アーキテクチャを採用し,ヘビーユースにも対応できる安定性と高いコストパフォーマンスを実現している。名古屋大学医学部保健学科の津坂昌利氏は,「HP WSはMade in 東京ということで,故障が少なく,安心して使えることが大きなメリットです。特に,医療系WSには力を入れており,サポート体制も非常に充実しているため,緊急時の対応にも満足できます」と述べている。 同社のWSは,実際に多くの医療系メーカーの製品に採用されている。医療現場に高精細モニタを提供している株式会社ナナオもその1つだ。同社電子カルテ・PACSグループ係長の藤井淳一郎氏は,両社の協力関係について次のように述べている。

「われわれは,さまざまな医療機関でモニタを実際にご覧いただくためのデモンストレーションを行うことが多いのですが,デモ機として日本HP社のxwシリーズを採用しています。HP WSには,Mede in 東京や,水冷システムによる高い冷却効率,静音設計などさまざまな特徴がありますが,これらによって動作が非常に安定しているため,信頼性の高い製品だという実感があります。また,われわれのお客さまである医療機器メーカーの多くがHP WSを採用していることも,HP WSを使用する大きな理由の1つです」 さらに今年に入り,両社は協業関係をより一層深めているが,その一環として,ナナオ社製医用画像モニタ「RadiForce」製品とHP xw6600による,数種類のグラフィックスボードの互換性試験を実施し,その結果を両社ホームページで公表している。こうした取り組みを今後も続けていくことで,常にクライアントの要望を一歩先取りし,新しい情報を提供していきたいというのが大きなねらいだ。

医療現場のあらゆる場面で高い要求に応え続けるHP WS。その世界はこれからも,さらなる広がりを見せていくに違いない。

HPワークステーション

津坂 昌利 氏(名古屋大学)
津坂 昌利 氏(名古屋大学)

藤井淳一郎 氏(ナナオ)
藤井淳一郎 氏(ナナオ)

日本HP WSの製品情報について→http://www.hp.com/jp/workstation


実際のシステム操作が体験できるハンズオンセミナー

 ハンズオンセミナーは,講師の指導を受けながら参加者自身がコンピュータを操作して,さまざまな製品の特徴や操作法が学習できる体験型教育プログラムである。北米放射線学会(RSNA)では以前から行われていたが,JSRT秋季学術大会では,第35回大会の津坂昌利大会長(名古屋大学医学部保健学科)の企画で初めて設けられ,今回が第2回目となった。対象は読影担当医,診療放射線技師,病院情報処理システム管理者など。「フィルムレスにおける品質向上へ向けて」をテーマに,株式会社ナナオ株式会社エルクコーポレーション/テラリコン・インコーポレイテッド(以下,エルク/テラリコン),インフォコム株式会社が用意したプログラムに沿って,実際の臨床現場に即したシステム処理を体験した。

● ナナオ

株式会社ナナオは,「RadiCSによるモニタ品質管理の実践」をテーマに,医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドライン“JESRA X-0093”の概要説明と,RadiCSによる不変性試験の実践などを行った。ガイドラインでは,モニタ導入時に行う「受入試験」と,導入後に定期的に行う「不変性試験」が規定されており,アーチファクトや輝度,コントラスト応答,色度などの各項目について確認する。そこで,本セミナーでは,簡単なシステム操作で試験が実施できるほか,試験履歴管理や資産管理などに総合的に対応する同社のモニタ品質管理ソフトウェア「RadiCS」を使用し,参加者自身が各試験の一連の流れを操作した。試験で不合格になった場合のシナリオも用意されており,キャリブレーションの実践も行われた。

● エルク/テラリコン

エルク/テラリコンは,「画像配信サーバシステムによる冠状動脈CTAワークフローの習得?作成から効率的な画像の出力まで」をテーマに,心臓血管解析の実践を行った。  テラリコン社は,2001年に世界初のサーバクライアント型製品「Aquarius NET Server」を発表し,ネットワーク型ワークステーションという新しい概念を市場にもたらした。本セミナーでは,そのAquariusNET ServerのThin Client Viewerを使用し,心臓抽出や血管解析,血管中心線の作成と修正,狭窄率計測,CPR情報の保存など,心臓血管解析の一連のワークフローの操作が行われ,飛躍的なスループットの向上が実感できる内容となった。  また同社は,2006年のRSNAで, まったく新しいプラットフォームである「Aquarius iNtuition」を発表し,現在,日本でも数施設で臨床評価が始まっている。

● インフォコム

インフォコム株式会社は,「フィルムレス環境下での検像システムの重要性?実業務に即した様々な運用について」をテーマに,検像システムの運用例に応じた操作法などを実践した。  同社の検像システムには現在,「iRad-EV Station」があるが,本セミナーではその機能をさらに向上させた新システム「iRad-QA」(2008年11月発売)が使用された。「モダリティからの画像を最適化してからサーバに送信する」,「前の患者の検査終了前に次の患者を撮影し, 1つの検査内に2人分の検査画像が登録されてしまった場合の対応」,「紹介患者が持参したCD-Rの画像データを,IDやオーダ番号を付け替えて自院のサーバに保存する」などのシナリオが用意され,参加者は一足早くiRad-QAの実際の機能を体験した。

モーニングセミナーやトラブルシューティングも実施

各社のハンズオンセミナーのほか,10月24日には,津坂氏が講師を務めたモーニングセミナー「フィルムレスにおけるシステム構築のポイント〜3D PACSから検像およびモニタQCまで」や,エルク/テラリコンによるトラブルシューティング「サーバ/クライアント間におけるDICOM接続について〜用語の解説からシステム構築まで」も行われた。

ハンズオンセミナーの参加者からは,「製品を実際に操作して,処理時間や必要な人員が予想できるため,とても役立ちました」との声が聞かれた。

ハンズオンセミナー風景
ハンズオンセミナー風景

参加者2名につき1台の端末を操作
参加者2名につき1台の端末を操作


右からナナオの大画面モニタ,および日本HP,インフォコム展示ブース
右からナナオの大画面モニタ,および日本HP,インフォコム展示ブース

テラリコンの展示ブース
テラリコンの展示ブース

インフォコムの展示ブース
インフォコムの展示ブース
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