RSNA2014 AZE - ワークステーション
AZE VirtualPlaceとAZE Phoenixに実装される新機能をアピール
2014-12-5
心筋領域分割機能
RSNA 2014[第3日目:12月2日]
AZEのブースでは,3Dワークステーション「AZE VirtualPlace」の最新機能と,これから米国での試験運用が始まるボリュームレジストレーションビューア「AZE Phoenix」を紹介した。
AZEは長年,AZE VirtualPlaceを中心に独自技術を応用したさまざまなソフトウェアやアプリケーションを開発,リリースしてきた。臨床で高度な画像解析を用いるような領域はほぼ網羅しており,近年は,各領域のソフトウェアに,必要に応じて新しい機能を追加するソフトウェア内アプリケーションの開発に取り組んでいる。RSNA 2014でも,最近リリースされた新機能や,開発中の機能を中心に紹介した。
CTの心臓解析ソフトウェアとしては,ITEM 2014で開発中として紹介していた“心筋領域分割機能”と,新しく“心筋内膜抽出機能”を紹介した。心筋領域分割機能は,独自のセグメンテーション手法を応用し,冠動脈解析で算出した心筋領域(冠動脈の支配領域)を分割して,レイヤー表示することができる。同時に,それぞれの領域が左室心筋全体のどの程度を占めるかを%で表示する。オランダ・エラスムス大学医療センターおよび愛媛大学と共同開発したもので,RSNA 2014の少し前に,論文がEuropean Radiology誌に掲載された。
また,心筋内膜抽出機能は,ワンボタンで左室心内膜のみを抽出し,心筋のCT値を反映したカラーマップをVR表示する機能。みなみ野ハートクリニック(東京都)の望月純二氏が発案した手法で,AZEと共同開発して実装に至った。収縮期の心内膜側は虚血の影響を反映すると言われており,心内膜を評価することで心筋梗塞に至る前の早期発見をめざす。医師からも「心臓CTに新しい価値が生まれる」として高い評価を受けている。なお,これら2つの機能はすでにリリースずみである。
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CTの大腸解析ソフトウェアでは,ITEM 2014で開発中とアナウンスしていたポリープなど球体の部位に対して色づけする検出補助機能が,国内外の複数の施設での評価検討を進めてきた結果,近日中に実装されることとなった。大腸解析で球体状のポリープや病変が検出されると,仮想内視鏡ビュー上で該当箇所が色づけされ,展開像ではアノテーションが示される。CTC検査の一番の目的は,内視鏡で切除対象になる5mm以上のポリープの拾い上げであると言われており,この機能が目的の達成を支援する。
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また,新しい機能として“3Dレポーティング”が紹介された。これは,PDF上でボリュームイメージを操作する機能に対応するデータ出力方式をAZE VirtualPlaceに実装したもので,作成されたレポートは,OSを問わず一般的なPCで閲覧・操作が可能である。レイヤー機能もあり,PDF上でクリックするだけで,臓器の領域分割ではパーツに分けたり,透かして表示するといった操作もでき,AZE VirtualPlace上で操作しているような感覚で閲覧できるのが特長。日本を含むアジア,地中海地域で多い肝がんの肝切除術や研究においての利用を見込んで,まずは肝臓を対象に開発された。従来は,研究用などの肝臓解析を海外の事業者に依頼し,3Dレポーティングと同じ形式でレポートを受け取っている施設が多かったが,費用が高額なこともあり,国内の複数の施設から同じ機能の開発の要望があった。AZE VirtualPlaceがあれば自施設で3Dレポーティングが可能になり,コストを削減し経営的な効果が得られるとともに,自由度の高いレポート作成が可能になる。将来的には領域を拡大予定。リリースはITEM 2015の時期を予定している。
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読影の効率化・時間短縮を支援するボリュームレジストレーションビューアAZE Phoenixは,これから米国の施設での試験運用が開始される。東京大学医学部附属病院と共同開発したAZE Phoenixは,膨大なボリューム,シリーズのデータ,特殊なデータが多い施設でも快適にストレスなく読影できることをめざして開発された。画像の種類(モダリティ別,スライス厚,画像の種類,他院での撮像画像など)ごとに任意に決めたタグを画像に設定し,画像の呼び出しの簡略化やサムネイルでの視認性を高める“スマートタグ機能”や,ビューアに仮想的に複数の種類のデータを持たせ,画像上でマウスをドラッグするだけで,次々にデータを切り替えることができる“バーチャルシリーズ機能”といった特徴的な機能を備えている。また,一般的なハンギングプロトコルのように細かな設定を必要とせず,ユーザーの抽象的な意図に応える自然なファジーさを持つビューアと言える。画像表示やビューア配置など,“ユーザーの思うまま”に操作し読影できることで,読影時間の短縮に寄与する。また,自動的にサーバに問い合わせをかけ,対象のデータを呼び出す“プリフェッチ機能”も搭載している。AZE Phoenixは,その特性上,大学病院などからの引き合いが多く,国内施設への導入も始まっており,2015年にかけて本格的に稼働する。
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