ITEM2023 United Imaging Healthcare ブースレポート
“AI for Imaging”をテーマに掲げ,グローバル開発体制を背景に急速に進化し実装が進むAIを大きくアピール
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2023-5-2
United Imaging Healthcare Japanブース
United Imaging Healthcare Japanは,昨年に続き2回目となるITEM出展を果たした。United Imaging Healthcareは2011年に中国で創業された新興の医療機器メーカーであるが,中国・米国を中心とした複数拠点での研究開発により急成長を遂げ,グローバルにおいては各種画像診断装置から放射線治療機器,ライフサイエンス機器まで幅広い製品ラインアップを展開している。今回は展示テーマに“AI for Imaging”を掲げ,同社が強みとする人工知能(AI)の技術力と,それを実装したモダリティを日本市場にアピールした。
AIを中心に構成されたブースでは,3T MRI「uMR Omega」と320列640スライスCT「uCT 960+」のモックアップを展示したほか,映像やスライドで核医学装置のラインアップを紹介した。高い磁場均一性を実現したフラッグシップモデルのuMR Omegaは,ITEM直前に最新バージョンのV10が発売された。uMR Omega V10には,MRI用AIソリューション「uAIFI(ユー アイファイ)」が実装されており,高速撮像を可能にする「ACS」や画像再構成法「DeepRecon」,自動ポジショニング機能「EasyPlan」,呼吸モニタリング「Easy Sense」など,AIを活用した多くの機能を搭載している。また,PET/CTにおいても,高品質なビッグデータを用いて開発された画像再構成アルゴリズム「Hyper DPR」など,新しいAIソリューションを発表。画質や定量性,ワークフローを向上させ,医療現場をサポートするAIを大々的に紹介した。
●Overview:2023年には14か国に現地法人を設立し,世界中の各大陸をカバー
●AI:ビッグデータを活用できる開発環境を強みに,進化を続けるAIテクノロジー
●MRI:画像再構成やワークフロー向上にuAIFIテクノロジーを導入した「uMR Omega V10」
●PET/CT:「uEXPLORER」のデータで学習した新しい画像再構成アルゴリズム「Hyper DPR」をアピール
●PET/MR:AIの活用で最適な撮像位置の自動ポジショニングを実現する「uPMR 790」
●CT:320列640スライスCT「uCT 960+」のモックアップを初展示し,心臓CTを支援する機能を紹介
●リモートサポート:検査状況の分析も可能なリモートサービスソリューション「uSolar」を発表
●Overview:2023年には14か国に現地法人を設立し,世界中の各大陸をカバー
2011年に中国・上海で設立されたUnited Imaging Healthcareは,“Passion for Change”をビジョンに掲げ,世界のすべての人々に平等な医療を提供することをめざして事業を展開している。2018年には米国テキサス州ヒューストンに米国本社を設立しグローバルでの展開を加速,2020年には製品設置台数1万台を突破した。現在は,中国・米国を中心に世界各地にグローバルR&Dセンターが置かれており,全従業員(約1万人)の約40%が研究開発に従事し,世界の急速なニーズの変化に迅速に応えられるように多くの医療機関とともに研究開発を進めている。2023年には14か国に現地法人を設立予定で,世界6大陸をカバーすることになる。
国内においては2020年に日本法人を設立し,CT,MRI,PET/CTに加え,2022年6月よりPET/MRIの販売を開始した。現在,藤田医科大学病院でPET/CT「uMI 550」,藤田医科大学岡崎医療センターでPET/CT「uMI 510」,総合南東北病院でPET/CT「uMI 780」が稼動している。ITEM 2023では,国内でのさらなる認知度向上をめざして同社の強みであるAIを大きくアピールするとともに,リモートサービスソリューション「uSolar」も発表し,アフターサポートのサービス体制を整えていることを紹介した。
●AI:ビッグデータを活用できる開発環境を強みに,進化を続けるAIテクノロジー
人口14億人のビッグデータを収集し,国を挙げてAI開発に取り組む中国に本社を置くUnited Imaging Healthcareは,AI開発において高いアドバンテージを有している。画像再構成や画像処理,ワークフロー改善などに貢献するAIを「uAI」の名称で展開し,すでに40以上のテクノロジーが製品に実装されている(国内薬機法未承認含む)。AIの開発はグループ会社のUnited Imaging Intelligenceが担っており,膨大なヘルスケアデータを一括管理することで,開発のスピードアップとノウハウ蓄積を図り,次々と製品へのAI導入を可能にしている。
今回は特に,国内販売が始まったばかりの3T MRI「uMR Omega V10」にパッケージとして実装されたMRI用AIソリューション「uAIFI」を大きくアピールした。uAIFIでは,高速撮像や高画質化,ワークフロー向上などが可能となっている。また,ITEM 2022で話題をさらった194cmのアキシャルFOVを有するPET/CT装置「uEXPLORER」の高品質なビッグデータを用い,新たに開発された画像再構成アルゴリズム「Hyper DPR」がPET/CTに実装されることを紹介した。
●MRI:画像再構成やワークフロー向上にuAIFIテクノロジーを導入した「uMR Omega V10」
フラッグシップモデルである3T MRIのuMR Omegaは,ITEM直前の4月11日にuAIFIテクノロジーを実装した最新バージョンのV10を発売し,ブースではモックアップとプレゼンテーションで進化した機能を大きくアピールした。uMR Omegaは,75cmワイドボアを搭載しつつ最大傾斜磁場強度45mT/m,スリューレート200T/m/sという傾斜磁場システムにより高い磁場均一性を実現している点が大きな特長で,歪みの少ない広いFOV撮像や高い脂肪抑制効果を実現する。
V10ではAIの導入により高速撮像や高画質化,ワークフローの向上などを実現している。「ACS(AI-Assisted Compressed Sensing)」は,compressed sensing(CS)にAIを組み合わせることで,従来のCSよりも高い倍速で撮像することができる。2D/3Dに適用可能で,3D FLAIRやT2強調画像は従来の半分程度の時間での撮像が可能だ。また,k-space上でAIを適用する画像再構成法「DeepRecon」は,ノイズを低減しSNRを向上させるとともに,本来はトレードオフの関係にある空間分解能も向上することができる。撮像後にパラメータを調整することができ,高画質画像の容易な取得を支援する。
ワークフロー向上においても,自動位置決め機能「EasyPlan」や呼吸モニタリング「EasySense」など,AIを活用した機能が新たに登場した。EasySenseは,ガントリ内側に搭載したミリ波レーダーで患者の呼吸による動きを感知して呼吸同期撮像を可能にする。検査時間短縮を実現するともに,オペレータに依存しない高品質な画像の取得をサポートする。
さらにV10では,柔らかく軽い素材を採用したブランケットタイプの受信コイル「SuperFlexコイル」が新たに用意された(3サイズ展開)。ブースでは48chのヘッドネックコイルも初展示し,SuperFlexコイルとあわせて,セッティングのしやすさやペイシェントフレンドリーな検査の提供をアピールした。
●PET/CT:「uEXPLORER」のデータで学習した新しい画像再構成アルゴリズム「Hyper DPR」をアピール
PET/CTについては現在,194cmのアキシャルFOVを有する半導体検出器搭載PET/CT装置uEXPLORERと,uMI 550,uMI 780の3機種を国内販売している。今回はプレゼンテーション展示にて,AIを用いた新しい画像再構成アルゴリズム「Hyper DLR」と「Hyper DPR」を中心に紹介した。いずれもPET用の画像再構成アルゴリズムで,Hyper DLRはAIでノイズ成分を抽出することでノイズ低減を図ることができる。一方,Hyper DPRはその先をいくアルゴリズムで,大きな特長がAIの教師データにuEXPLORERで撮像した16万枚以上の全身PET/CT画像を用いていることである。uEXPLORERは,194cmの範囲を同時相かつ高分解能に撮像可能で,より真の値に近い画像を得ることができる。Hyper DPRでは,その理想的な画像を教師画像に用いてCNNをトレーニングしており,3つ(ノイズ低減,コントラスト強調,分解能向上)のCNNを適用することで大幅な画質改善を可能にした。従来のOSEMと比べて32%のノイズ低減,66%のコントラスト改善,2.5倍のCNRを実現する。uMI 550とuMI 780で利用可能となっている。
●PET/MR:AIの活用で最適な撮像位置の自動ポジショニングを実現する「uPMR 790」
2022年6月に発売した「uPMR 790」は, アキシャルFOV 32cmの半導体PETと3T MRIを組み合わせたPET/MRI装置で,感度16cps/kBqと2.8mm NEMA分解能を有するPETの搭載による高感度・高分解能が特長となっている。MRIでは,独自の圧縮センシング技術「uCS 2.0」を搭載し,高速撮像を可能にしている。
また,臨床に有用な画像を得るためにAI技術も活用されている。MRIだけでなくPETでもスカウト画像を撮像し,AIで集積位置や臓器を認識して,PETのオーバーラップ部分に病変や重要臓器が位置しないようにベッドポジションを自動で調整する。診断に有用な画像を取得できることに加え,オペレータの操作負担を軽減することが可能だ。
●CT:320列640スライスCT「uCT 960+」のモックアップを初展示し,心臓CTを支援する機能を紹介
モックアップが国内初展示となった320列640スライスCT「uCT 960+」は,uAIテクノロジーも搭載されたハイエンドクラスCTである。 82cmのワイドボア,16cm幅の検出器を搭載し,ガントリ回転速度は0.25s/rotと高いスペックを有しており,心臓検査においては1スキャンでの撮影が可能だ。
ハードウエア,ソフトウエアの両方にAIを導入している点も特長である。「uAI Vision」は,天井に備えられた3DカメラとAIにより,選択したプロトコルに基づきワンクリックで患者のポジショニングを行うことができ,ワークフロー改善と画質向上に貢献する。
心臓CT用のアプリケーションも多く搭載しており,「CardioAssist」は,心拍数に応じた最適なゲーティングパラメータを自動的に設定できる。また,「CardioCapture」は,AI技術を活用して冠動脈の動きを解析して自動抽出し,動き補正を施すことで,ブレのない明瞭な冠動脈の画像を得ることができる。
●リモートサポート:検査状況の分析も可能なリモートサービスソリューション「uSolar」を発表
今回の展示では,遠隔でのサポートやトレーニング,装置管理などを可能にするインテリジェント・リモートサービスソリューション「uSolar」を紹介し,製品を安心して使用してもらうためのサポートサービス体制をアピールした。uSolarでは,VPNなどを介して装置の状態を監視し,故障やエラーが発生した場合にアラート通知されるほか,ユーザーがPCやスマートフォン,タブレットから検査数や検査内訳など装置の稼働状況を確認することができる。
また,エラー発生時にはサポートスタッフがリモートで装置状態を確認し,エンジニア派遣や電話でのアドバイスなど対応を行うほか,「アーチファクトが生じる」「思ったような画像が出ない」といった撮影における困りごとに対しては,アプリケーションスペシャリストがリモートでサポートを行う。また,稼働後にソフトウエアのアップグレードや機能を追加した場合や,新しいスタッフが入職した際に,リモートで操作トレーニングを行うサービスも提供する。CT,MRI,PET/CT,PET/MRIすべてのモダリティを対象としており,段階的に対応していくことをアナウンスし,導入後に長く安心して使用できることをアピールした。
●お問い合わせ先
社名:United Imaging Healthcare Japan 株式会社
住所:東京都千代田区麹町1-7-2 相互半蔵門ビル 3F
TEL:03-6868-3324
URL:https://ja.united-imaging.com