ITEM2022 伊藤忠商事 ブースレポート
On-line Adaptive RTを可能にするMRリニアックシステム「MRIdian Linac」の技術と有用性を紹介
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2022-5-6
伊藤忠商事ブース
伊藤忠商事は,前回に続き米国ViewRay社MRリニアックシステム「MRIdian Linac」を紹介。MRIdian Linacによって可能になる即時適応放射線治療(On-line Adaptive Radiation Therapy:On-line Adaptive RT)の有用性を来場者に示した。MRIdian Linacは,MRIとリニアック一体型の放射線治療装置。SEE(MRI-IGRT),SHAPE(On-line Adaptive RT),STRIKE(Real-Time Gating)をコンセプトに開発された。放射線照射中にMRIを撮像し,画像を確認しながら治療を進められる。2022年4月の時点で,日本国内では国立がん研究センター中央病院,江戸川病院が導入しており,全世界で48台が稼働。1万8000人以上の放射線治療を行ってきた。特に,肝がん,膵がん,前立腺がんなどで有効性について報告されており,現在進行中の臨床試験もある。超高齢社会においてがん患者が増加する中,放射線治療も重要性が増しており,精度の高いOn-line Adaptive RTへの期待が高まっている。2021年10月には,日本磁気共鳴医学会,日本放射線腫瘍学会など5団体が「MR画像誘導即時適応放射線治療ガイドライン」を策定しており,日本でもMRIとリニアック一体型装置の本格的な普及期を迎えると予想されるだけに,ITEM会場内でのMRIdian Linacへの注目度も高かった。
●6MVのリニアックとスプリット型マグネットの0.35T MRIの組み合わせにより高精度な治療が可能
MRIdian Linacは,6MVのリニアックを搭載。フラットニング・フィルタ・フリー(FFF)設計となっており,600cGy/minを実現している。138枚のリーフで構成されるダブルフォーカスのマルチリーフコリメータ(MLC)により4.15mmのリーフ幅で半影を抑制してビームを成形する。一方,MRIは0.35Tの超電導マグネット型装置で,磁場強度を低くしたことで,ゆがみやケミカルシフトアーチファクトを抑えたMR画像を取得可能。高磁場マグネットの場合に生じる放射線照射によるアーチファクトも低減できる。さらに,低磁場マグネットのため,RFによる患者の体温上昇を防ぎ,熱傷のリスクを抑制して治療中も撮像を行えるようにした。MRIのガントリの開口径は70cmで,体格の大きな患者の治療にも対応できる設計になっている。
リニアックとMRIを一体化する上では,それぞれの装置の性能を最大限に発揮できるよう,磁気シールドとRFシールドを開発。MRIの超電導マグネットは,ガントリの前後に分割し中央にスペースを持たせたスプリット型として,そのスペースにリニアックを配置するという独自の設計とした。これにより,リニアックから生じるRFによるMR画像の画質低下を防いでいる。このスプリット型のマグネットは,設置時に個別に搬入できるため,治療室の工事など導入コストを抑えられる。さらに,低磁場マグネットであるため,シールド加工費用も安価にできる。
●On-line Adaptive RTを可能にする自動化ソフトウエアを採用
MRIdian Linacは,本体に加えて,治療計画ソフトウエアが用意される。CT,MRなどの画像から三次元原体照射(3D-CRT),強度変調放射線治療(IMRT),体幹部定位放射線治療(SBRT),定位手術的照射(SRS),画像誘導放射線治療(IGRT)の治療計画を作成できる。さらに,On-line Adaptive RTを可能にするソフトウエアを搭載。患者を寝台に乗せたまま,自動輪郭描出や非剛体位置合わせ,モンテカルロ線量計算を行える。画像や照射データは保存されるので,治療計画の見直し,修正の際に参照することが可能である。
●MRIdian Linac独自のビーム自動制御機能により確実な照射が可能
実際の治療では,MRIdian LinacのMRIで撮像し,軟部画像を取得してマーカーレスでの位置決めを行う。さらに,腫瘍と周辺の軟部組織,リスク臓器を識別してマッピングする。その上でMR画像を基に線量分布を算出して,事前に作成していた治療計画の数値と比較。必要に応じて計画の見直すことができる。患者の状態に応じて,モンテカルロ線量計算などを行い計画を修正することで,高精度な治療を可能にする。治療中もMRIでシネ撮像を行いリスク臓器や腫瘍の位置を確認でき,MRIdian Linac独自のビーム自動制御機能によって確実な照射を行える。
MRIdian LinacによりOn-line Adaptive RTの良好な治療実績が得られていることから,新規だけでなくリプレースでの需要も高まっている。現時点で,2022年度中に埼玉医科大学国際医療センターの導入が決まっており,今後,On-line Adaptive RTのさらなる普及が予想される。
●お問い合わせ先
社名:ViewRay, Inc.
住所:2 Thermo Fisher Way, Oakwood Village, OH 44146
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