ITEM2018 テラリコン・インコーポレイテッド ブースレポート
「Aquarius iNtuition」の最新バージョンと,3D画像を有効活用するための3Dプリンティング,AR,AIサービスを提案
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2018-5-1
テラリコン・インコーポレイテッドブース
テラリコン・インコーポレイテッドは,1997年に米国でTeraRecon,Inc.の設立以降,画像処理エンジン「VolumePro」シリーズを搭載した「Aquarius」製品を世に送り出し,医用画像処理ワークステーションの黎明期から現在に至るまで,マーケットの重要なプレーヤーとして存在感を示してきた。コーポレートメッセージである“Incredible things happen(信じられないことが起こる)”の言葉のとおり,現在では標準的なサーバサイドレンダリングによるネットワーク型のワークステーションを他社に先駆けて展開するなど,独創的,革新的な技術力で,医療の質の向上に貢献するソリューションを提供してきた。
今回のITEMでは,主力の医用画像処理・診断支援システム「AquariusLightning」の高機能ビューワである「Aquarius iNtuition」の最新バージョン「4.4.13」に搭載される新機能や,画像処理エンジンが刷新され,さらなる高速化が図られたことがPRされた。
また,3D画像を有効に活用するために,3Dプリンティングや拡張現実(AR),人工知能(AI)とAquarius iNtuitionを組み合わせた,同社らしい独創的,革新的なソリューションもデモンストレーションなどが行われた。3Dプリンティングサービスとして,ユーザーが作成したVR画像のデータから臓器立体モデルの作製を行うクラウド型の「3D Print Packs」を紹介。ARとしてはマイクロソフト社のARゴーグルである「HoloLens」にVR画像を表示させて手術支援を行う「Holo Pack Portal」,さらにAIについては,多数のAIアルゴリズムを利用できるクラウドサービス「Envoy AI」をPRした。なお,3D Print PacksとHolo Pack Portalは教育などでの使用を目的としており,診断向けではない。
●MR心機能解析などのアプリケーション強化と処理速度の高速化を図った「Aquarius iNtuition」
高機能ビューワ「Aquarius iNtuition」は,最新バージョンである「4.4.13」のデモンストレーションが行われ,最新アプリケーションが来場者に披露された。その一つMR心機能解析は,心筋にROIを設定してT1 mappingを作成する。ヘマトクリット値を用いて,細胞外容積分画(ECV)の定量解析を行える。ポーラーマップも作成可能。さらに,特長的な機能として,心筋のエリアを3分割して表示することで,心アミロイドーシスの診断などに寄与する。循環器領域のアプリケーションとしては,経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)の術前評価などに有用な心臓カルシウム解析も紹介された。カルシウムスコアリングを行った上で,三尖弁の周囲などのカルシウムを計測でき,術前のシミュレーションなどに役立てられる。
また,頭部領域においては,骨除去の精度向上がアナウンスされた。従来はサブトラクション処理を行っていたが,単相のデータからでも高精度に骨を除去した画像を得られるようになった。さらに,乳腺領域では,乳腺MRIのtime intensity curve(TIC)からparametric mapを作成するアプリケーションのデモンストレーションが行われた。複数時相のデータの非剛体位置合わせにより,高精度な解析を可能にしている。
このほか,新バージョンでは,画像処理エンジンにも新しい技術が採用された。従来の「VolumePro」に代わり,NVIDIA社のGPUプラットフォームである「CUDA」を搭載した「VP CUDA」となったことで,大幅な処理速度の向上が図られた。画像の読み込み速度が30%高速化され,MIP処理は最大8倍も速度が上がった。
Aquarius iNtuition 4.4.13は,2018年4月に正式リリースをされた。ブースでは次期搭載アプリケーションとして,1時相のデータから,左心房,肺動脈基部を自動抽出して,肺,肺動脈・静脈,気管支のVR画像を作成する肺動静脈分離機能(W.I.P.)の紹介も行われた。
●Aquarius iNtuitionのデータから臓器立体モデルを作製する3Dプリンティングサービス「3D Print Packs」
同社ブースの前面には3Dプリンティングによる臓器立体モデルが展示され,米国で開始している「3D Print Packs」が紹介された。このサービスは,Aquarius iNtuitionのデータからクラウドを介して臓器立体モデルを作製するもので,ユーザーは,素材や色,大きさなどを指定してから匿名化したデータをアップロードすると,完成品が配送されるという仕組みである。これにより,高価な3Dプリンタを導入するコストを削減できるほか,設置スペース,メンテナンス費用も不要となり,経済的に3Dプリンティングを行える。米国では発注から72時間以内に配送されるという。日本での展開は現在検討中である。
●ARによる術前シミュレーションを可能とする「Holo Pack Portal」
Aquarius iNtuitionで作成したVR画像を有効活用するソリューションとして,マイクロソフト社のARゴーグルである「HoloLens」を用いて,手術室などで術前のシミュレーションを行えるHolo Pack PortalもPRされた。米国ではすでにサービスがスタートしている。実際の室内の映像の上に,臓器のVR画像を重ね合わせて表示させて,ボイスコマンドやジェスチャにより回転や拡大・縮小などの操作を行う。複数のスタッフがHoloLensを使用することで,同一データを使用したカンファレンスも可能である。また,研修医や医学生などの教育にも有用なツールとなる。現時点で国内での展開は未定である。
●複数企業のAIアルゴリズムを目的に応じ提供するクラウドサービス「Envoy AI」
同社では,AIに関するサービスも今後提供していく。米国で始まっているEnvoy AIは,クラウド上に用意された複数企業のAIアルゴリズムを必要に応じて使用できるサービス。米国では,心臓や胸部,乳腺,脳神経外科などの領域向けに50を超えるAIアルゴリズムが用意される。個別にAIアルゴリズムを導入しなくても,必要時にその都度使用できるため,低コストで運用できる。同社では「AIのアマゾン」と呼んでおり,ユーザーにとって利便性の高いサービスであるとPRしている。ブースでは,次期画像ビューワである「NorthStar」(W.I.P.)からEnvoy AIにあるAIアルゴリズムを使用するというデモンストレーションが行われた。
●お問い合わせ先
社名:テラリコン・インコーポレイテッド
住所:〒113-0034 東京都文京区湯島2-31-22 湯島アーバンビル 6階
TEL:03-4586-4610
URL:www.terarecon.co.jp