ITEM2018 アゼモトメディカル ブースレポート
クラウド型・Tagging・マルチベンダー対応が特徴の医療被ばく情報管理システム「DOORS WEB」を紹介
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2018-5-2
アゼモトメディカルブース
現社名でのITEM出展は初となるアゼモトメディカルは,医療被ばく情報管理システム「DOORS WEB」を中心に紹介した。2018年1月にWIN17から社名を変更し,医療ソフトウエアの企画・開発・販売,医療全般/医療施設向けシールドルームのコンサルティングなどの事業を展開している。
アゼモトメディカルは,医療ソフトウエアの企画・開発の方針に「先生方が望むインターフェースを実現する」を掲げている。代表取締役の畦元将吾氏は,同社や事業方針について次のように述べる。
「アゼモトメディカルは新しい会社ですが,経験豊富な人材が集まった“中身は老舗”の会社です。製品の開発に当たっては,豊富な経験を基に現場のご意見を伺いながら,先生方が望むもの,使いやすいものをつくりたいと考えています。その観点からも,今回展示しているDOORS WEBは毎年バージョンアップを行い,いただいたご意見やご要望をしっかりと反映していくシステムとして提供していきます。メーカーがつくったものを提供するのではなく,“先生方と一緒につくっていく”ことを重視して事業を展開していきます」
DOORS WEBにより可能になる被ばく線量管理については,平成30(2018)年度の診療報酬改定で画像診断管理加算3が新設され,「CT検査の線量情報の電子的な記録,患者単位および検査プロトコル単位での集計・管理」が施設基準に含まれたことで,関心が高まっている。当然ながら,被ばくの低減・最適化において被ばく線量管理は重要であり,一般的にも医療被ばくの認識が浸透しつつあることから,医療機関で活用されるシーンは今後増えることが予想される。
DOORS WEBは,自施設における検査状況や被ばく線量の管理,他施設と線量や撮影条件を比較参照できるといった機能を備える。クラウド型とスタンドアローン型があり,他施設比較はクラウド型で可能だ。また,今回新しくスタンドアローン専用システムとして価格を抑えたDOORS WEBシリーズ「白虎」もアピールした。
DOORS WEBの特徴の一つが,検査名を統一化する“Tagging”である。検査名は,同じ検査でも施設ごとに名称が異なっていたり,英語/日本語表記であったりとバラツキがある。他施設と検査を比較するには検査名を統一する必要があることから,プロトコール名やシリーズ記述の組み合わせで検査を特定し,タグ付け(Tagging)する機能を開発した。システム導入時に設定を行えば,以降は自動でTaggingが行われる。
このTaggingにより,クラウド型システムでは他施設と線量や撮影条件を比較参照することができる。クラウド上にアップロードされたデータを基に,リアルタイムに線量や撮影条件を比較することで,自施設の撮影条件の妥当性の判断に活用することができる。また,他施設の撮影条件を参照できるため,例えば自施設よりも線量が低い施設の条件を参照して,撮影条件の検討を行うことも可能だ。現在は,線量や検査情報のみ他施設と比較可能だが,今後,施設における各検査の代表的な画像(ファントム画像,臨床画像)を任意で提供してもらうことで,それぞれの撮影条件による画像の参照もできる機能を追加する予定だという。
また,他施設比較では,グルーピング機能も特徴の一つである。病床数によってデータを絞り込んで比較することができ,自施設と同等の施設と比較することで,より現実に即した比較検討が可能になる。
クラウド型,スタンドアローン型に共通した機能としては,自施設の検査状況の管理(検査数の増減,撮影条件の変遷などの把握),患者ごとの被ばく線量管理が可能である。スタンドアローン型を導入した施設においても,自施設の検査の被ばく線量について最小値,中央値,平均値,最大値を参照できるため,指標となるDRLsと比較することで,妥当性の判断や検討を行うことができる。
なお,DOORS WEB はマルチベンダーに対応するだけでなく,DICOM接続が可能なマルチモダリティにも対応する。MRIなど放射線被ばくのない検査については,検査条件の記録や管理に活用できる。
システムフローとしては,モダリティやPACS,ワークステーションとDOORS WEB クライアントをDICOM接続し,DICOM画像やRDSR(DICOM Radiation Dose Structured Report)から,検査情報や線量指標情報のみを抽出する。この際,個人情報は抽出しないため,クラウドに上げても個人が特定されることはない。抽出したデータをインターネットに接続したPCからクラウドサーバに送信すると,Taggingが行われ,他施設との比較が可能になる。なお,スタンドアローンの場合は施設内にサーバを設置し,クラウド型と同様にブラウザ上で管理を行う。
医療現場からすると,被ばく線量管理のための業務が,従来の業務にプラスされることになる。そのため,夜間にPACSから当日分のデータを収集するなどの方法でデータ収集を自動化し,データ抽出はボタン一つで実行できるなど,できるかぎり作業負担を軽減するよう設計されている。データ収集・送信の頻度は,毎日,数日ごと,週1回など,検査数により施設ごとに運用されている。
アゼモトメディカルでは,被ばく線量管理は今後,急速に進化・変化していくとの想定のもと,ユーザーに常に新しいシステムを利用してもらうため,毎年アップデートを行っていく予定である。保守契約に加入することで,クラウド型/スタンドアローン型DOORS WEBだけでなく,白虎でもアップデートが行われ,最新のソフトウエアを利用することができる。
このほかブースでは,技研工業(株)との連携で展開している医療施設向けシールドのコンサルティングに関連した情報提供も行った。放射線障害防止法の改正(2018年1月公布)により,放射性同位元素などの管理に関する規則が強化されたことから,管理区域(保管室など)のドアに簡単な加工で取り付けられる錠前などを紹介した。
●お問い合わせ先
社名:株式会社アゼモトメディカル
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座2-9-13 GINZA-2-7F
TEL:03-6271-0829
URL:http://azemoto.co.jp