ITEM2017 インテグラル ブースレポート
薬機法承認を取得した造影剤自動注入装置「CT motion」と,新たに販売を開始した肝硬度測定装置「FibroScan 530 Compact」を中心に展示
- INFORMATION
- 取材速報
- report
2017-5-9
インテグラルブース
インテグラルは,ウルリッヒ社のテーマカラーである青・白・グレーで統一されたブースを出展し,“The new CT motion”を掲げ,2016年6月に薬機法の承認を取得し,同年7月に販売を開始したCT用造影剤自動注入装置「CT motion」を大きくアピールした。また,MRI用造影剤自動注入装置「MaX 3」(薬機未承認)や,今回初めてエコセンス社製の肝硬度測定装置「FibroScan 530 Compact」も展示した。CT motionの製造元であるドイツのウルリッヒ社は,造影剤自動注入装置の開発・製造において25年以上の実績を持つ。現在,米国では,抗がん剤治療で課題となっている薬剤の廃棄コストと,それに比例した医療費の増大を抑えることを目的とした,単回利用の薬剤を複数回に分けて使うための研究(DVO:Drug Vial Optimization)が行われているが,ウルリッヒ社ではこれに先駈けて,CT用造影剤自動注入装置でロールポンプ式のCT motionを開発。プレフィルドシリンジを用いる注入装置が主流である日本市場での普及をめざしている。
●造影剤の廃棄コスト削減に貢献する「CT motion」
CT motionは,ロールポンプでの自動注入方式を採用し,500mLまでのバイアルタイプの造影剤が使用可能(プレフィルドシリンジは使用不可)なCT用造影剤自動注入装置で,初の2連交差使用での分割注入を可能とする。造影剤や生理食塩水をロールポンプでボトルや生食パックから自動吸引するのに加え,輸液チューブは2段式を採用し,患者側チューブは単回使用,装置側チューブは24時間・複数回の連続使用とすることで,“衛生的閉鎖システム”による分割注入の安全性を確保した。これにより,廃棄造影剤や造影剤廃棄コストの削減を実現する。1回の検査で余った造影剤は,“シームレスモード”により次の検査に自動で持ち越して完全に使い切ることが可能なほか,患者の体重などに応じて造影剤の不足分を自動で計算し,最適な量を操作コンソールに表示する機能を搭載している。
また,チューブ内の空気を検出するセンサを5か所に備え,血管外漏出や空気塞栓の発生を防止する。注入装置にはバッテリーが搭載されており,操作コンソールとの間をBluetooth通信で制御するため,ケーブルフリーで使用できる。バッテリーは1回の充電で8〜12時間動作し,30〜40件ほどの検査に対応することができる。
このほか,CT motionは,基本的に生食による造影剤後押しを推奨しており,最大で2リットルの生食パックを使用できる。これにより,生食のプレフィルドシリンジを手作業で作る必要がなくなるほか,交換回数が減ることで検査ワークフローを改善。また,チューブを装置から外した際の清掃も,粘度の高い造影剤と比べて生食後押し後には容易となる。なお,造影剤の医療費の請求は現在,シリンジやバイアルの本数単位のため,造影剤の分割注入を医療費削減につなげるためには請求方法の変更が必要になると思われる。
|
|
|
●CT Motionと共通コンセプトのMRI用造影剤自動分注装置「MaX 3」(薬機法未承認)
MaX 3は,ロールポンプでの注入方式やバイアルタイプの造影剤を使用するなど,CT motionと共通したコンセプトを持つMRI用造影剤自動注入装置。MRI検査の場合,成人男性では17mL,成人女性であれば13mLほどの造影剤量で足りるため,MR造影剤は主にシリンジタイプが販売されている。そこで,MaX 3には専用のルアーコックを標準搭載し,プレフィルドシリンジを使った注入にも対応しているほか,3ヘッドを有し,造影剤と生理食塩水を計3本設置することができる。また,CT motionと同様,ケーブルレスでの使用に対応し,単回使用のチューブをワンタッチで着脱可能なほか,チューブの接続部に搭載されたマイクロチップを本体が読み取ることで再使用を防ぐことができる。
|
|
●非侵襲的に肝硬度測定が可能な「FibroScan 530 Compact」
2017年3月から販売を開始したFibroScan 530 Compactは,肝臓の線維化の度合いを非侵襲的に測定する装置「FibroScan」の軽量型モデル。重量は10kgと,従来製品から30kg以上の軽量化を実現しており,片手で持ち運びが可能なほか,バッテリーを搭載したことでケーブルレスで1〜2時間の使用が可能である。
プローブには剪断波と超音波の振動子が内蔵されており,プローブを腹部に当てて,肝臓における剪断波の伝搬速度と超音波の減衰率を測定することで,肝硬度を数値として表示する。これにより,慢性肝疾患から肝硬変などへの進行度などを簡単に確認でき,がんのリスク算定や治療効果判定が可能となる。また,超音波の減衰量は肝臓の脂肪量に相関することが多くの論文で発表されており,ウイルス性の肝硬変と脂肪量に由来する肝硬変のスクリーニングや治療方針の決定に役立つと期待されている。
FibroScanは,電子カルテへのDICOM接続が可能であり,院内での情報共有や検査ワークフローの短縮にも貢献する。
|
●お問い合わせ先
株式会社インテグラル
住所:東京都品川区上大崎2-25-2
TEL:03-6417-0810
FAX:03-6417-0853
URL:https://www.integral.to/