ITEM2012 島津製作所/島津メディカルシステムズ ブースレポート
X線撮影装置のラインナップを拡充し,「New Value for a New Tomorrow」を提案


2012-4-20


島津製作所/島津メディカルシステムズブース

島津製作所/島津メディカルシステムズブース

島津製作所/島津メディカルシステムズは,「New Value for a New Tomorrow」のテーマのもと,デジタル化が進むX線撮影装置のラインナップを拡充するとともに,最新アプリケーションを紹介。臨床的付加価値を創造し,医療技術の向上に貢献する姿勢をアピールした。デジタル化の潮流が大規模病院から診療所まで広がっている国内での展開はもちろん,国外の先進国や新興国へと,さらにグローバルな事業拡大をめざしている。来場者を迎えるブース受付には,新ブランドステートメント“Excellence in Science”を加えたブランドシンボル(ロゴ)が掲げられた。国内で高いシェアを誇るFPD搭載デジタル回診車MobileDaRtシリーズと,高い付加価値を持つ主力製品のsafireシリーズが,それぞれ全世界で1000台を突破するなど,追い風となるトピックスも携えて,幅広い顧客層へ製品をアピールした。(4月14日取材)

 

受付のロゴ

受付のロゴ

 

●血管撮影装置:12インチ×12インチの新FPDを搭載した「Trinias F12/C12」を発表

9インチ角,17インチ角の2種類のFPDを搭載した血管撮影システム「BRANSIST safire」に,今秋,新しいファミリーが加わる。それが,12インチ×12インチの新FPDを搭載した「Trinias F12/C12」(薬事認証取得済)である。Trinias F12/C12は,頭部インターベンションや腹部大動脈,エンドバスキュラー,下肢インターベンションまでカバーできる装置として開発された。以前より,循環器科領域では,冠動脈以外の循環器系血管をサポートできる視野サイズのFPDの要望があったが,これまでの2サイズに加え,中間サイズのFPDを搭載したTrinias F12/C12をラインナップすることで,より幅広い血管系検査,治療に対応できるようになる。シングルプレーンの床置き式「F12」と,天井走行式「C12」を2012年秋ごろに発売予定で,現在,バイプレーンも開発中とのこと。
safireシリーズに搭載している臨床的に有用なアプリケーションをTrinias F12/C12にも組み合わせられるようにする予定で,従来より性能を上げて画質を改善したアプリケーションも展示された。一度の撮影でDSA画像を得られるRSM-DSAや,3D画像と透視の重ね合わせなど多彩な機能を持つ3Dアプリケーションのリリースも予定している。

 

血管撮影システム「Trinias F12」

血管撮影システム「Trinias F12」

RSM-DSAを,消化管出血に利用した症例画像

RSM-DSAを,消化管出血に利用した症例画像

 

●X線テレビシステム:ミドルクラスの「SONIALVISION G4」を加え,幅広い顧客層へ提供

島津ではこれまで,デジタル装置としては主に,直接変換方式FPDを搭載した最上位機種の「SONIALVISION safire17」を大規模病院や基幹病院を対象に販売してきたが,幅広い顧客層へテレビシステムを提供するため,昨2011年10月に小規模病院や診療所向けに「FLEXAVISION F3 package」を発売。そして今回,その中間に位置するミドルクラスのテレビシステム「SONIALVISION G4」(薬事認証取得済)を発表した。2012年秋ごろの発売をめざし,フィールドテストを実施していく。天板の端まで映像系が移動でき,視野範囲を拡大してポジショニングをより安全・迅速に行えるようにするなど,テーブルまわりやX線管球を改良した。また,コリメータ内のBeam Hardening Filterや着脱可能なグリッドなど,被ばくを低減できる機能を搭載し,標準的なテレビシステムとしてグローバルに展開していく。
テレビシステムとしては,可搬型FPD搭載の「FLEXAVISION F3 package」も展示された。17インチ×14インチのFPD1枚で一般撮影と透視に対応でき,検査室が一部屋ですむため,小規模施設でもテレビシステムの導入が可能。既存のクリニックがデジタル化を図る際に導入するケースが多く,設置性や経済性はもちろん,高画質であることもユーザーから好評を得ているという。

 

X線テレビシステム「SONIALVISION G4」

X線テレビシステム「SONIALVISION G4」

X線テレビシステム「FLEXAVISION F3 Package」

X線テレビシステム「FLEXAVISION F3 Package」

 

●回診用X線撮影装置:NICUでの使用に最適な11インチ×14インチの小型ワイヤレスFPDをラインナップ

全世界で販売台数1000台を突破したFPD搭載デジタル回診車MobileDaRtシリーズの「MobileDaRt Evolution」は,従来の14インチ×17インチの大視野ワイヤレスFPDとの組み合わせに加え,2012年3月に発売した11インチ×14インチの小型ワイヤレスFPDとの組み合わせを発表した。重さ約2.3kgと扱いやすく,ケーブルレスで取り回しの良い小型FPDは,特にNICU(新生児集中治療室)において有用性を発揮し,保育器と組み合わせることで,スピーディな検査を実施できる。また,整形領域ではテーブルにパネルを置いて手の撮影をするなど,フレキシブルな対応が可能。小型ワイヤレスFPDの投入により,MobileDaRt Evolutionは,ワイヤード,ワイヤレス,大型FPD,小型FPDをそろえ,施設のニーズに合わせた導入や,2枚搭載の運用で用途に応じて使用することができるようになった。RSNA2011でも発表したこの小型FPDは,北米でも期待が高いという。

 

回診用X線撮影システム「MobileDaRt Evolution」

回診用X線撮影システム「MobileDaRt Evolution」

11インチ×14インチの新型ワイヤレス小型FPD

11インチ×14インチの新型ワイヤレス小型FPD

 

●一般撮影装置:「RADspeed Pro」に新しいラインナップを追加し,デジタル化をバックアップ

「RADspeed Pro」にワイヤレスFPDのラインナップを追加(薬事未承認)

「RADspeed Pro」にワイヤレスFPDのラインナップを追加(薬事未承認)

国内において,“今後,システムを導入するならDRを”という流れは確実に広がりつつあり,新興国でもFPDの需要が高まっている。一般撮影装置では,「RADspeed Pro」シリーズの新しいワイヤレスFPDのソリューション(薬事未承認)を展示し,ラインナップの強化を図った。このシステムの最大の特長は,撮影プロトコール,パラメータの設定,画像処理など,撮影検査にかかわる一連の操作が1つのユーザーインターフェイスで“オールインワン”で可能なことである。スムーズなポジショニングを可能にする“オートポジション機能”や“長尺撮影機能”の搭載も可能。また,オプションで設置できる検査室内のモニタでは,被検者名や撮影画像の確認,再撮影やプロトコールの変更操作もでき,さらなる検査効率の向上を図ることができる。システムはベーシックなものから,要望に応じてパネル枚数や,各種オプションを追加するなど構成の幅が広く,スケーラビリティのある製品と言える。
また,診療所向けデジタルパッケージとして,開業医向けの基本パッケージであるRADspeed Proと電子カルテシステム「SimCLINIC T3」の組み合わせなどが紹介された。

 

診療所向けデジタルパッケージの提案

診療所向けデジタルパッケージの提案

 

●アプリケーション:トモシンセシスやスロットラジオグラフィなど新しい臨床価値を提供

ブースの一角にはアプリケーションギャラリーが設けられ,最新のFPDアプリケーションが紹介された。スロットラジオグラフィは,幅の狭いX線ビームを被検者に対して直角に照射することで,歪みのない長尺画像を得ることができる。頸椎から骨盤,腰から足先と,始点と終点を指定するだけの簡単操作で,短時間で自動撮影・再構成を行う。精度の高い画像が得られることで,整形外科領域においては距離計測の精度が高まり,正確な手術計画が可能となる。
safireシリーズのFPDが持つ,高いコントラスト分解能を有効利用するアプリケーションの1つであるトモシンセシスは,より改良を重ねた新しい画像再構成処理を開発中で,高性能型トモシンセシスとして今夏のリリースを予定している。逐次近似法と,島津独自の金属アーチファクトを除去するアルゴリズムを組み合わせることで,金属を埋め込んでいる整形領域の撮影でも,金属と骨の境界が明瞭な,アーチファクトの少ないクリアな画像を得られるようになっている。また,被ばく低減についても,新画像再構成処理を施すことで撮影枚数を減らしても同等の画質を得ることができ,被ばく線量を抑えることが期待できるという。トモシンセシスは,従来の標準タイプと,この新再構成処理法の高性能タイプを提供していく予定で,標準タイプからのアップグレードにも対応する。

 

開発中のトモシンセシス新画像再構成処理法

開発中のトモシンセシス新画像再構成処理法

スロットラジオグラフィで撮影した人工骨の埋設手術後の確認画像

スロットラジオグラフィで撮影した人工骨の埋設手術後の確認画像

 

●PET/CT:アルツハイマー病診断研究など,PET/CTを活用した研究支援をアピール

PET/CTのコーナーでは,さまざまな最先端研究で使用されているPET/CT「Eminence STARGATE」の活用例が紹介された。アルツハイマー病については,現在,全日本臨床研究“J-ADNI(ジェイ・アドニ)”が行われており,島津はPETによるアルツハイマー病の超早期診断を目的とした研究に参画している。また,がん粒子線治療後の微量な自己放射をPETで検出する,がん粒子線治療照射部位の画像化に関する研究を群馬大学重粒子線医学研究センターと共同で行っている。

 

アルツハイマー病診断におけるPETの有用性

アルツハイマー病診断におけるPETの有用性

 

PETによるがん粒子線治療照射部位の画像化

PETによるがん粒子線治療照射部位の画像化

 

お問い合わせ先:
株式会社島津製作所
医用機器事業部マーケティング部販売促進グループ
〒604-8511 京都府京都市中京区西ノ京桑原町1
TEL 075-823-1272 FAX 075-823-2921
http://www.med.shimadzu.co.jp/


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