JRC2012 実機展示発表 ─展示ホールA
─CADと立体表示(3D モニタ)がトレンドのテーマ─

2012-4-14


実機展示風景

実機展示風景

展示ホールAでは会期中,7題の実機展示発表が行われている。2010年から,CyberRadが廃止されて実機展示になったが,昨年は開催中止のため,今回で2回目となる。2010年の演題は6題だったが,今年は7題となった。

今回の演題は,東京大学グループのCAD関連の報告が2題,立体表示の発表が3題となっている。機器展示会場でも複数のメーカーから展示発表されているとのことで,3Dの立体表示がトレンドのテーマであるようだ。

実機展示会場では,14日の午前11時からと,14時からの約1時間,コアタイムとして発表者の説明が行われた。

<K001>CIRCUS+:遠隔読影環境のための統合的診断支援およびCAD開発プラットフォーム
増谷佳孝氏ほか(東京大学医学部附属病院放射線科)(ジェイマックシステム,イーサイトヘルスケア)
東大病院放射線科の増谷氏を中心に,CADの開発と運用を含めた統合型読影支援環境「CIRCUS」を開発,2009年から東大病院内で実用化を開始している。このCIRCUSシステムとASP型遠隔読影環境(ジェイマックシステム開発)を組み合わせた運用が可能になるよう,機能拡張を目的とする研究を行った。肺腫瘤のCT画像と脳動脈瘤のMRA画像約650例に対するCAD実施とフィードバックデータの収集を行って検証した。引き続きデータ収集と解析を進め,製品化・事業化の可能性を検討していく。
*機器展示会場のジェイマックシステム ブース でも発表

<K001>CIRCUS+:遠隔読影環境のための統合的診断支援およびCAD開発プラットフォーム

 

<K002>臨床における統合的CAD開発環境の構築(第5報):ジョブ分散処理に対応したCADサーバ
野村行弘氏ほか(東京大学医学部附属病院放射線科)
2009年から継続して発表しているCAD開発環境構築の第5報。CIRCUS OsにCAD実行ジョブの分散処理を実装し,効率アップを図ることを目的とする。

<K002>臨床における統合的CAD開発環境の構築(第5報):ジョブ分散処理に対応したCADサーバ

 

<K3>血管などが立体的に見える(かもしれない?)液晶モニターの自作
橋爪 崇氏ほか(昭和大学医学部放射線医学教室)
印刷分野からの裸眼立体視技術を転用し,市販の液晶モニタで血管画像などの立体表示が可能か検討した。

<K3>血管などが立体的に見える(かもしれない?)液晶モニターの自作

 

<K4>民生用3Dモニターによる立体表示(第2報)
縄田昌浩氏ほか(富永病院放射線科)
偏光グラスで見る大型モニタと裸眼立体視モニタを展示。CTとMR画像から3D Vr画像を作成し,6~15度の視差角をつけて出力してインターレース表示を行った。民生用のモニタに表示して,1枚の画像から前後の位置関係が把握可能であった。立体表示は医学教育や術前シミュレーションなどにおける有用性が期待できる。

<K4>民生用3Dモニターによる立体表示(第2報)
縄田昌浩氏

縄田昌浩氏

 

<JSRT424>裸眼3Dディスプレイにおける模擬血管の立体視認識に関する検討
鈴木雅裕氏(国立がん研究センター中央病院),東芝メディカルシステムズほか
裸眼3Dディスプレイ(東芝社製)に表示された画像により,医療分野における立体構造認識が可能かどうかを評価した。三次元構造を直感的で正確に認識することができる。

<JSRT424>裸眼3Dディスプレイにおける模擬血管の立体視認識に関する検討
<JSRT424>裸眼3Dディスプレイにおける模擬血管の立体視認識に関する検討

 

<JSRT251>CT画像におけるTotal Variation(TV)法の基礎検討
辻岡勝美氏(藤田保健衛生大学)ほか
DICOM形式のCT画像を,逐次近似法であるTotal Variation(TV)法によりノイズ除去を行って評価した。現在,CT装置は被ばく低減が大命題となっており,各社とも逐次近似法を用いた方法を開発しているが,本研究は,モダリティに依存せずにエンドユーザー自らが自由な設定でノイズ除去を行うことができる。遠隔診断や過去画像の処理にも使用できるというメリットがある。また,CTだけでなく,MRIや核医学など,他のモダリティにも使用可能。

辻岡勝美氏

辻岡勝美氏

 

<JSRT137>汎用タブレットデバイスと環境設置型センサを用いた患者参加型診療支援システムの開発
大崎裕貴氏,神谷直希氏(国立豊田工業高等専門学校)ほか
高齢患者などに医用画像をわかりやすく理解してもらうために,環境設置型センサにより患者を撮影し,深度画像や骨格トラッキングをリアルタイムで実現した。例えば,患者がお腹をさわる動作をすると,該当する部位のCT画像が表示される。診断画像を直感的に理解できることから,インフォームド・コンセントなどに有用と考えられる。RSNA2011には,タブレット端末に表示するシステムを発表した。

左が大崎裕貴氏(学生),右が神谷直希氏(指導教官)

左が大崎裕貴氏(学生),右が神谷直希氏(指導教官)

<JSRT137>汎用タブレットデバイスと環境設置型センサを用いた患者参加型診療支援システムの開発

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