島津製作所,欧州における大規模コホート研究の実施へ 仏モンペリエ大とアルツハイマー病変検出法における共同研究契約を締結
2020-6-5
研究に使用する同社製品
マトリックス支援レーザー脱離
イオン化飛行時間型質量分析計
「AXIMA Assuarance」
島津製作所は,仏モンペリエ大学付属病院とアルツハイマー病変(アミロイド蓄積)の検出法に関する共同研究契約を締結した。Sylvain Lehmann教授やChristophe Hirtz教授らが,質量分析技術を用いた血中のアミロイドβ※1の蓄積の分析を担当し,Audrey Gabelle教授がコホート研究※2を通じて検出法について評価する予定。
従来の陽電子放出断層撮影(PET)イメージングおよび脳脊髄液(CSF)検査とは異なり,血中のアミロイドβを検出する当社の方式は人体への負担が小さく,大規模な調査研究に適している。この血液由来のバイオマーカーは,2014年に島津製作所と国立長寿医療研究センター(NCGG)らが発見した。2002年にノーベル化学賞を受賞した同社エグゼクティブリサーチフェローの田中耕一氏が共同研究に加わっており,同賞の受賞理由となった「MALDI」(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)」技術が,アルツハイマー病変(アミロイド蓄積)検出法の実現につながっている。
スクリーニング分析は研究目的であり,アルツハイマー病の診断に利用できないが,臨床試験に適した候補者を特定することで,製薬会社の治療薬開発の支援につながる。
※1 アルツハイマー型認知症の原因物質と見られるタンパク質
※2 疫学研究における調査・検察手法。ある病気にかかっていない人を長期間観察することで,特定の生活習慣の有無が,病気の発生または予防に関係しているかを調べられる。
●問い合わせ先
島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/