富士フイルム,PCR検査時間の大幅な短縮を実現する新型コロナウイルス用遺伝子検出キット「SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection kit」公的医療保険適用
2020-5-7
富士フイルム和光純薬(株)は,4月15日に発売した研究用試薬「SARS-CoV-2 RT-qPCR Detection kit」が,厚生労働省健康局結核感染症課及び国立感染症研究所による「臨床検体を用いた評価結果が取得された 2019-nCoV 遺伝子検査方法について」(2020年5月1日版)において,陽性一致率,及び陰性一致率ともに100%として結果が公表され,公的医療保険の適用対象となった※1ことを発表した。
新型コロナウイルスの感染の有無を調べるPCR検査は,検体の前処理,RNA抽出,RNAをDNAに転換する逆転写反応※2,ターゲットとなるDNAの増幅をリアルタイムでモニタリングするリアルタイムPCR※3の各段階を経て行う必要があり,結果判定まで長時間を要する。
同社はこれまで培った検出ノウハウ・技術を活用し,逆転写反応とリアルタイムPCRに着目して各段階で効率化を図り,合計約90 分反応時間を短縮できる※4 PCR法向けの検査キットの開発に成功。反応試薬に加えて,国立感染研究所が公示しているプライマー※5とプローブ※6をセットにし,検査に必要な試薬類を1つにまとめた検出キットとして4月15日より日本で販売している。
同社は,検査数の増加に伴う市場ニーズに対応するため,増産体制の強化に着手しており,7月には生産数量を,現在の供給数量の3倍(約5万検体/月)に引き上げる予定。今回公的医療保険の適用対象となったことを受け,さらなる前倒しを検討している。
同社は,企業活動のベースとなる「次の科学のチカラとなり,人々の幸せの源を創造する」という理念のもと,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検出キットの供給により,新型コロナウイルス検査の迅速化に貢献する。
※1 厚生労働省保険局医療課による令和2年5月1日付事務連絡(疑義解釈資料の送付について(その8)
※2 逆転写酵素を用いて,RNAをDNAへ転換(逆転写)する手法。RNA自体を増幅させる手法が確立されていないため,検出を進めるためには,RNAからDNAの逆転写が必要となる。
※3 増幅するターゲットとなるDNAの増加を,蛍光色素を用いてリアルタイムで定量的にモニタリングする技術。
※4 本試薬を用いて行う逆転写反応~リアルタイムPCRの段階において,従来2時間強かかっていた反応時間を約90分短縮。
※5 PCR反応時にターゲットとなるDNA 複製の起点となる短鎖(20塩基前後)DNA
※6 ターゲットDNAにおける特有の塩基配列に特異的に結合するDNA。
●問い合わせ先
富士フイルム和光純薬(株)
http://ffwk.fujifilm.co.jp/