島津製作所,全ゲノム解析スタートアップiLACと資本業務提携
-マルチオミクス事業の強化へ-
2020-3-23
島津製作所は,3月23日に全ゲノム解析※1を手掛ける筑波大学発スタートアップの(株)iLAC(代表者:同社フェロー・筑波大学特命教授/プレシジョン・メディスン開発研究センター長の佐藤孝明氏,読み方:アイラック)と資本業務提携を結んだ。
現在,世界各国では,ゲノム解析技術に基づく創薬支援・個別化医療の研究が盛んである。特に全ゲノム解析を含む次世代診断・検査の世界市場は,2025年に2017年比で約3倍の1.3兆円規模※2に成長すると見られている。国内でも厚生労働省が2019年12月に発表した「全ゲノム解析等実行計画」では,今後3年間で約9万2000症例(約17万ゲノム)が解析対象となる。ただし,臨床現場では,「ゲノム異常ががん細胞の発現に関与していない」と見られるケースも存在するため,今後は遺伝子やタンパク質,代謝物などの物質の変化を統合的に調べる「マルチオミクス解析」が重要である。
iLACは,一人ひとりの体質や病状に合った適切な投薬や治療を行う「プレシジョン・メディスン」(個別化医療)の実現を目指しており,「自動前処理装置や次世代ゲノムシーケンサー※3を駆使した高精度ゲノム解析技術」が強み。ゲノム解析に加えて「質量分析計による代謝物/タンパク質解析」も得意としているため,マルチオミクス解析ができる唯一の全ゲノム解析スタートアップとなる。
島津製作所は,iLACを含む多様な事業パートナーと協力して,マルチオミクス解析ソフトウエアおよび自動前処理システムを開発することで,主力製品である質量分析計の販売拡大を目指す。同社はiLACとの資本業務提携を通じて,最新技術・製品を駆使して健康寿命の延伸に寄与する「アドバンスト・ヘルスケア」を推進していく。
※1 全ゲノム解析:すべての遺伝情報(ゲノム)の網羅的な解析。
※2 出所:株式会社シード・プランニング」
※3 次世代シーケンサー:膨大な遺伝子の塩基配列を高速で読み解く装置。
●株式会社iLACの概要
本社所在地:茨城県つくば市春日1-2(筑波大学高細精医療イノベーション棟)
設立:2012年8月15日
事業内容:ゲノム解析事業
ウェブサイト:http://www.i-lac.co.jp/
●問い合わせ先
島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/