日本メドトロニック,ガイドエクステンションカテーテル「Telescope™」販売を開始
-複雑化するPCI(経皮的冠動脈形成術)症例においてスムーズなデバイス送達をサポート-
2020-3-10
Telescope ガイドエクステンションカテーテル
日本メドトロニックは,ガイドエクステンションカテーテル「Telescope™(テレスコープ)」(以下,Telescope)を2020年2月より全国にて販売開始した。Telescopeは通過困難な症例においてステントやバルーンなどのPCI(経皮的冠動脈形成術)治療デバイスを送達する際に必要となるバックアップサポート*を提供し,遠位にある病変部へのスムーズな送達を補助するためのカテーテル。
*バックアップサポートとは,冠動脈入口部の対側にある大動脈壁面にガイディングカテーテルが押し付けられることで生まれる力のことで,冠動脈の屈曲や石灰化などから生じる抵抗に対してPCIデバイスを送達させる際に必要な“支え”となる。ガイドエクステンションカテーテルを追加することでバックアップサポートは強化される。
昨今,PCI治療においては屈曲・蛇行病変,石灰化病変,抹消病変といった,いわゆる複雑病変を含む症例が増加している。これらの病変では標的血管にステントやバルーンなどを送達するために,通常のガイディングカテーテルに併せてガイドエクステンションカテーテルを用いることが少なくない。
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日本心血管インターベンション治療学会理事長である伊苅裕二氏(東海大学医学部内科学系循環器内科学教授)は次のようにコメントを寄せている。「従来のガイディングカテーテルによるサポートでは不十分であった通過困難な症例において,デバイスの冠動脈遠位部までの送達が期待できるようになった点で,ガイドエクステンションの技術は我々の治療戦略に少なからず影響を与えました。この観点から,屈曲・蛇行病変をはじめとする複雑病変におけるスムーズなデバイス送達を目的にデザインされ,さらにはサイズバリエーションが豊富なTelescopeは歓迎すべき新たな選択肢との1つと言えるでしょう。」
Telescopeは手元でカテーテルを推し進める際に良好なプッシャビリティを得ることを目的に,内部に空洞のない,円形(硬質ラウンド型)のプッシュワイヤ(図3 テレスコープ全体像の(1))を採用しています。また,ディスタルカテーテル(図3 (2))は柔軟性と滑りの良さ,そして折れや潰れ(キンク)への耐性を考慮して親水性コーティングを施したコイル型となっている。これらを組み合わせることにより,良好なプッシャビリティと通過性能が期待できる。
先端部分のチップ(図3 (3))には,メドトロニック独自のTruFlex™(トゥルーフレックス)ソフトポリマーという,メインのカテーテル部分よりもさらに柔軟な素材を使用している。異なる柔らかさのポリマーを使用することにより,先端が血管に触れるなどの力が加わると自然と向きを変えること(反応性ディフレクション 図5)ができ,血管損傷のリスクを低減することが期待できる。
さらに,併用デバイスをスムーズに送達するために,エントリーポート,ポリマーオンランプ,テーパードプッシュワイヤの3つの主要な要素からなるSmoothPass(スムースパス)テクノロジー(図3 (4),および図4)が搭載されている。この独自のテクノロジーにより,ステントやバルーンなどの併用デバイスが引っかかることなくスムーズな送達が期待できる設計となっている。
Telescopeはこれらのテクノロジーによって,ガイドエクステンションカテーテルの目的である治療デバイスの目標血管への送達をサポートする。
「この独自の技術を市場に導入する前に,Telescopeが複雑な症例におけるアンメットニーズを満たしているかを数百名ものインターベンション専門医の協力を得て確認しました。メドトロニックは今後も,新製品の導入,臨床エビデンスの収集,そして医師向けトレーニングの提供に力を入れていきます。それが医師そして患者さんのためになると信じているからです。」と,メドトロニックのカーディアック/バスキュラーグループCoronary and Renal Denervation 部門のVice President兼General Managerであるデイブ モーラー氏は述べている。
●問い合わせ先
日本メドトロニック(株)
http://www.medtronic.co.jp/