島津製作所,LC-MS/MS用の免疫抑制剤(ミコフェノール酸)と抗血液凝固剤の分析キットを同時発売
臨床現場での試薬調製の煩雑さや分析結果のばらつきを解消

2019-12-23

島津製作所


「DOSIMYCO(ドズィミコ)」「DOSINACO(ドズィナコ)」

島津製作所は,トリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)用の分析キット「DOSIMYCO(ドズィミコ)」「DOSINACO(ドズィナコ)」を発売する。両製品は,LC-MS/MSで「血中薬物モニタリング(TDM)」に必要な試薬,移動相,カラムなどをそろえたオールインワンのキット。「DOSIMYCO」はミコフェノール酸およびその代謝物が測定対象である。ミコフェノール酸は心臓や腎臓などの臓器移植の拒絶反応を抑え込む免疫抑制剤。「DOSINACO」は血栓の治療や予防に用いる抗血液凝固剤が測定対象となる。個別に試薬を購入したり,調製したりという手間が省けるため,病院の臨床検査部や薬剤部,大学医学部,臨床検査会社などにおける業務効率化につながる。両製品は,2017年に買収した仏試薬会社 Alsachim SAS (以下,ALC社)による製品としては第2弾,第3弾となる。

近年,複数の薬剤を高精度で同時分析できるという特長が評価されて,疾患の早期診断や微量薬物の濃度測定におけるLC-MS/MSの利用が増えてきた。臨床活用例の1つがTDM。例えば,臓器や造血幹細胞の移植治療では,拒絶反応を制御するために免疫抑制剤が投与される。ただし,過剰な投与は免疫を必要以上に抑制してしまい,病原体の感染という副作用につながる。そこで投与後は血中の薬剤濃度を測定・監視して,投薬量を緻密に管理するTDMが不可欠になる。欧米ではTDMでのLC-MS/MS利用が普及しており,国内でも拠点病院を中心に医療機関での導入が始まっている。

島津製作所でも臨床分野での導入に対応するため関連製品の医療機器登録を進めてきた。2015年に高速液体クロマトグラフ質量分析計「Nexera LC-MS/MSシステム」が,2017年に検体前処理装置「CLAM-2000 CL」が,いずれも医薬品医療機器法におけるクラスⅠ医療機器として登録されている。さらに同社は2017年6月に独現地法人Shimadzu Europa GmbHを通じてALC社を買収した。2018年12月に発売した買収後の第1弾製品「DOSIMMUNE(ドズィミューン)」は,4種類の免疫抑制剤(タクロリムス,シクロスポリンA,エベロリムス,シロリムス)のTDM用の分析キット。前処理や分析時の試薬調製の煩雑さや分析結果のバラツキを解消できると同時に,濃度の測定業務を高度に標準化できる。全自動LCMS前処理装置「CLAM-2030」とLC-MS/MSを組み合わせると業務効率がさらに向上する。

※血中に占める薬物の濃度を測定することで,薬効や副作用を把握して用法・用量を調製する行為

●新製品の特長

1.正確な測定が可能に
LC-MS/MSによるTDMは,従来の分析法(イムノアッセイ)と比べて血中の一次代謝物との交差反応の影響を受けにくく,高い特異性を確保できる。

2. 薬剤濃度を同時計測
「DOSIMYCO」は,免疫抑制剤(ミコフェノール酸およびその代謝物であるミコフェノール酸β-D-グルクロニド)の血中濃度をLC-MS/MSによる一度の分析で同時に測定できる。「DOSINACO」も,抗血液凝固薬9剤(アセノクマロール,フルインジオン,ワルファリン,ダビガトラン,アルガトロバン,エドキサバン,アピキサバン,リバーロキサバン,ベトリキサバン)の血中濃度を一度の分析で同時に測定できる。

3. 業務負担を軽減
内部標準を含めて必要な商品が揃ったオールインワンの分析キットなので,購入後にすぐに使用できる。さらに検体前処理装置「CLAM-2000 CL」と組み合わせれば,採血管をそのままセットすることで全自動で前処理と分析が可能となり,臨床現場の「働き方改革」につながる。

※本製品は医薬品医療機器法に基づく体外診断用医薬品には該当しない。LCMSによる人に対する血中薬物濃度モニタリングにおいては,医師の指示等の下で,同社指定の医療用システム(医療機器クラスI)または研究用装置と組み合わせて使用できる。

 

●問い合わせ先
島津製作所
https://www.shimadzu.co.jp/

島津製作所


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