三井不動産,センスウェイ,柏の葉IoTビジネス共創ラボ,ヘルスケアプロジェクトの実証実験開始

2019-6-20

AI


三井不動産(株)およびセンスウェイ(株)は,地域でIoT(Internet of Things)普及・活用を目指す「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」のヘルスケア・ワーキングのプロジェクト(以下,本プロジェクト)として,患者行動フローと滞留箇所の可視化・定量化する解析プロジェクトを千葉県 柏の葉キャンパスにある国立がん研究センター東病院において,2019年6月より開始した。

三井不動産,センスウェイ,柏の葉IoTビジネス共創ラボ,ヘルスケアプロジェクト

 

●プロジェクト概要

本プロジェクトでは,センスウェイが提供する個別識別タグと滞留計測器を使い,病院内の患者の行動フローの人流把握を行う。滞留計測器の周辺に個別識別タグが近づくと,自動的に近づいたことを記録していく。この機能を活用し,患者が診察の際に持ち運ぶ受診票ファイルに個別識別タグをつけ,病院内の複数地点に設置された滞留計測器で,患者の院内における位置情報を自動的に記録・蓄積する。患者の滞留箇所の場所と時間帯を抽出することにより,患者の待ち時間などのストレスの緩和や,診察件数の増加を目指していく。

今後日本では,人口の高齢化に伴う外来患者の増加や,医療従事者自身の高齢化に伴い医療財源が不足していくことが予測されている。しかし,限られた財源の中で病院の新築・改築等による患者サービスの改善は難しく,現在の資産を効率的に運用することで病院の機能拡張を行うことが求められている。今回のIoT技術を用いたセンシング技術は,患者だけなく医療従事者の就業状況把握や検体等の搬送にも展開することができるため,今後あらゆる側面に利用できる解析手法として高い有用性と将来性が期待されている。

●実施の背景

本プロジェクトは,IoTの普及や活用,IoT関連ビジネスの機会創出を目指す「柏の葉IoTビジネス共創ラボ」のヘルスケア・ワーキンググループにおけるプロジェクトであると同時に,柏の葉キャンパスを舞台として民間企業等の新たな製品・サービスの社会実装段階における実証プロジェクトの受け入れをする「イノベーションフィールド柏の葉」のひとつでもある。

三井不動産とセンスウェイは,IoTのための無線通信技術のひとつであるLPWA(Low Power Wide Area)のLoRaWAN™※1を用いて,柏の葉キャンパス駅をはじめ,つくばエクスプレス沿線エリア一帯にIoT実証フィールド環境を整えている。LoRaWAN™は低消費電力・長距離通信が可能なセンサーであり,今回,国立がん研究センター東病院でのデータ取得においては,LoRaWAN™とBLE(Bluetooth Low Energy)というIoTの重要な通信技術を活用し,簡単・低コストでの導入運用を実現できるシステムを構築している。

また,柏の葉キャンパスでは,本年より三井不動産,柏市などが中心となって「柏の葉スマートシティコンソーシアム」を組成しており,「AI/IoT等の新技術や官民データをまちづくりにとりいれたスマートシティ」を推進する国土交通省のスマートシティモデル事業へ選定されている。「柏の葉スマートシティコンソーシアム」では,民間データ・公共データが連携したデータプラットフォームを構築し,AI/IoTなどの新技術の導入により,データ駆動型の「駅を中心とするスマート・コンパクトシティ」の形成を目指している。本プロジェクトは,このスマートシティモデル事業の「ウェルネス」カテゴリのプロジェクトの一つとなっており,国立がん研究センター東病院もコンソーシアム参加施設のひとつ。

本プロジェクトにおける患者の人流把握を踏まえ,今後は患者の待ち時間の街での過ごし方の提案や,駐車場やバスの送迎時間通知などの交通案内等にもサービスを連携させるなど,AI/IoTを活用したまちづくりに繋げていく予定。また,本プロジェクトをモデルケースに他都市での展開も行い,社会課題の解決へ取り組んでいく。

※1 LoRaWAN™:全世界で500以上の通信キャリア・企業が加盟するLoRaAlliance™により,規格・仕様が策定されているグローバルでオープンなIoT向けの無線規格。IoTのための無線通信技術(LPWA)の1つで,従来の通信技術に比べ少ない消費電力で長距離通信できるのが特徴。

 

●問い合わせ先
柏の葉IoTビジネス共創ラボ
https://innovation-field-kashiwanoha.jp/iot-lab/

AI


TOP