シスコ,名大病院の「スマートホスピタル構想」に向けた医療IoTの実証実験を開始
〜ITの活用で,臨床ワークフローの最適化,業務の効率化,医療サービスなどの向上を目指す〜
2018-2-15
シスコシステムズ(同)(以下 シスコ)は,2月13日,名古屋大学医学部附属病院(以下 名大病院)が,日本の超高齢化社会問題の解決に向けて推進する「スマートホスピタル構想」の一環として開始する医療現場のIoT化の実証研究で協力していくことを発表した。
病院内におけるデバイス管理,患者情報共有,さらには今後ニーズが拡大する地域医療連携に求められる,強固で安全なネットワークインフラの基盤として,LoRaWAN向け シスコ ワイヤレス ゲートウェイが採用された。これにより,低電力での運用や長距離の伝送を必要とするIoTデバイスのワイヤレス接続が可能になる。
団塊の世代全員が75歳以上になり,全人口の約2割が後期高齢者となる2025年には,医療・介護需要が最大化するとされている。これに対応するため,都道府県単位で医療機関同士の機能の分化,連携を図る「地域医療構想」が政府主導で進められており,患者さんがそれぞれの症状や病気の進行段階に応じて相応の医療機関ないし在宅医療を選択でき,かつ良質な医療・介護サービスを受けられる体制をつくっていくことが急務となっている。
早期から医療におけるIT活用を進めていた名大病院は,「スマートホスピタル構想」を掲げ,ICT技術を利用してモノ,ヒトのトラッキングやバイタルサインをはじめとした測定が常時行える基盤を整備し,ICT技術を利用した医療デバイスの客観的な評価を行うとともに,IoTを活用して,患者さんが地域の医療施設や自宅でも必要な医療サービスを受けられるようするため,IoT向けのプラットフォーム製品を提供するシスコと医療IoTの実証研究を開始する。
●実証研究(2018年2月より名大病院の医療従事者および入院患者を対象に実施)の概要
1. 「スマートホスピタル」院内での医療デバイス管理,医療従事者のワークフロー最適化
名大病院の医療従事者と入院患者さんの双方がIoTデバイスを身に着け,医療従事者の業務プロセスや患者さんのバイタルサイン情報(脈拍,呼吸,活動量等)を高精度に収集,記録,集約し,医療従事者の適正な人員配置や異常時対応の迅速化などを目指す。情報収集にはシスコの優れたネットワーク位置情報機能が活用されており,通信は高度なセキュリティによって保護されている。将来的には,患者さんが使用中の医療デバイスをリアルタイムに遠隔監視することで,状態変化を迅速に把握,対応していくことが構想されている。
2. 「地域医療連携」でパーソナライズ化された医療サービスの提供
愛知県の奥三河地区で実施する地域医療の実証実験では,在宅または介護施設等に入居する患者さんにウェアラブルデバイスをつけてもらい,バイタルサインや運動量などのデータをリアルタイムに取得,患者さんの生活指導に役立てる。
「地域医療構想」に基づき,在宅医療(介護施設や高齢者住宅を含む)においても,良質な医療サービスを受けられる体制づくりが急務であるとした奥三河地区の実証実験では,地域医療連携により,IoT導入で早期の異常検知を促すとともに,患者さんの健康・安全を守ることを目指す。
名大病院とシスコは,本実証研究を通じて,院内における臨床ワークフローの最適化,業務の効率化,患者さんへの医療サービスの向上を目指すと同時に,地域医療連携モデルの早期確立,展開に向けて,さらに産官学での連携も加速していく予定。
●コメント
名古屋大学医学部附属病院 メディカルITセンター長 病院教授 白鳥 義宗 氏
我々名大病院では,大学病院において最先端医療を追求していくことはもちろん,地域に開かれた大学・病院として,地域の方々に対する医療連携や健康増進事業に対しても,ご協力していく必要があると考えております。最先端のIT技術やそれによるイノベーションを,患者さんや地域住民の方々にお届けしていくことが出来るように努力していきます。
シスコシステムズ合同会社 執行役員 最高技術責任者 兼 最高セキュリティ責任者 濱田 義之 氏
シスコはこれまで,さまざまな分野でIoTプロジェクトを推進してきましたが,医療現場でIT活用を進める名古屋大学医学部付属病院との協業は,大変意義があると考えています。きたるべき超高齢化社会に向け,「スマートホスピタル構想」におけるシスコのテクノロジーが,医療・介護サービスの課題解決の一助になるものと期待しています。
●問い合わせ先
シスコシステムズ(同)
http://www.cisco.com/jp