埼玉医科大学と日立システムズが複数メーカーの医療機器に対応した「遠隔一元監視システム」を共同開発
〜IoTの活用により医療機器を一元監視し,臨床工学技士など医療従事者の業務を効率化〜

2017-2-6


埼玉医科大学の保健医療学部と(株)日立システムズは,埼玉医科大学国際医療センターの協力の下,医療機関で使用されるさまざまな医療機器が発する異常警報や,故障や異常動作につながる可能性のある稼働状態を検出し,医療従事者に通知する「遠隔一元監視システム」を共同で開発した。
本システムは異なるメーカーの医療機器であっても,情報を一元的に収集することができるため,各所に点在する医療機器の状態を迅速に把握し,医療従事者による早期対処を支援する。
なお,サービス提供開始に先立ち,埼玉医大と本サービスの実証実験を埼玉医大国際医療センターで2017年3月まで行い,本結果を踏まえて,2017年4月からサービス提供を開始する予定。

医療機関で使用される医療機器は,多様化や機能の高度化が進んでいる。これらにより医療サービスレベルが向上する半面,機器の操作や状態確認方法が複雑化するなど,医療従事者の業務負担が大きくなっている。また,院内のさまざまな場所で稼働する医療機器に警報や故障が発生した際は,臨床工学技士(CE:Clinical Engineer)*1が迅速に対処する必要がある。その際,医療機器の近くにいないと警報や故障を確認できないため,効率化のために医療機器の状況を遠隔で監視するシステムが用いられることがあるが,一般的に監視システムは医療機器メーカーごとに異なるため,一元的に状況を把握することが難しいという課題があった。

*1 臨床工学技士:医療機器の専門医療職であり,医師・看護師とチームを組んで医療機器の操作を担当するほか,医療機器の保守・点検も行い,安全性確保と有効性維持に貢献している。

こうした背景の下,埼玉医大と日立システムズは,さまざまなメーカーの医療機器から稼働情報を収集し,PCやタブレット端末,スマートフォンなどから状況を確認できる「遠隔一元監視システム」を共同で開発した。本システムは,埼玉医大および埼玉医大国際医療センターが培った医療機器の利用・運用における知見と,日立システムズが持つIoTを活用した情報収集技術を融合したものである。

今回の実証実験は,医療施設の「医療の質の向上と患者安全」を国際基準で評価する第三者機関JCI(Joint Commission International)から国内で初めてアカデミック部門で認定を取得した埼玉医大国際医療センターにて行い,センターの保有する血液浄化装置や人工呼吸器にIoTゲートウェイを取り付け,無線通信によりクラウド上のIoTプラットフォームへデータを集約し,閲覧用のPCやタブレット,スマートフォンで,その情報とアラームを検知,確認できるシステムを構築している。埼玉医大国際医療センターでは,今後,輸液ポンプや心電計などさまざまな病院内の医療機器や在宅用の医療機器についても一元監視を行っていく予定。
本システムの導入により,複数メーカーの医療機器の警報や稼働情報をシステムにより一元的に収集し,機器の状況をスマートデバイスなどを通じて確認できるようになる。これにより,臨床工学技士や医師,看護師などの医療従事者が院内のどこにいても,機器が発する警報への迅速な対応が可能になる。また,発生した警報の種類に応じて必要な医療従事者に必要な情報とともに通知するため,情報伝達の円滑化が図れ,医療業務の質向上,効率化を実現できる。さらには,埼玉医大および埼玉医大国際医療センターでの運用ノウハウを基にルール化した予兆検知技術により,装置が警報を発する前に不調を予知し,事前に対処することも可能。

なお,本システムは,医療機器メーカーに提供することも検討している。医療機器メーカーは,装置故障が発生した場合に遠隔で状況を確認し,迅速に対応することが可能となり,装置保守員の作業負担を軽減するとともに,現場対応の円滑な作業につながる。一方,医療現場ではメーカーへの連絡や手続きなど医療機器管理業務に掛かる時間や負担を低減できる。

●埼玉医科大学国際医療センターでの実証実験構成イメージと仕組み

埼玉医科大学国際医療センターでの実証実験構成イメージと仕組み

 

各医療機器に取り付けた情報収集装置(IoTゲートウェイ)を介し,機器の出力する稼働情報(以下,データ)を収集。収集したデータは院内ネットワークを経由し,インターネット上のデータ収集基盤で一元的に管理する。通常,医療機器が出力するデータは,機器メーカーごとに異なる仕様になっているが,これまで日立システムズがM2M(Machine to Machine)環境の導入を支援する「NETFORWARD M2Mサービス」の提供実績を通じて得たIoT技術により標準化し,データ収集基盤上に蓄積する。この標準化機能により異なるメーカーの稼働情報でも一元的に確認できるようになり,短期間で「遠隔一元監視システム」を実現できるようになった。

●「NETFORWARD M2Mサービス」について

IoT/M2Mに必要なネットワーク,プラットフォームに対し,コンサルティングから設計,構築,運用までワンストップで提供する。また,海外通信キャリアとの連携や3か国語対応のヘルプデスクにより,グローバルなM2Mネットワークに対応可能。
詳細:http://www.hitachi-systems.com/solution/s0303/m2m/

 

●問い合わせ先
(株)日立システムズ
商品問い合わせ窓口:
TEL 0120-346-401(受付時間:9時~17時/土・日・祝日は除く)
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