DOSE(販売元:東陽テクニカ/開発元:Qaelum)
線量管理から患者の被ばく相談まで線量管理システム「DOSE」

2020-10-5

東陽テクニカ

線量管理


はじめに

2020年7月3日,医療被ばく研究情報ネットワーク(J-RIME)から「日本の診断参考レベル(2020年版)(Japan DRLs 2020)」が公表された。2020年4月1日から施行された「医療法施行規則の一部を改正する省令」による医療放射線の線量管理と記録の義務化とともに,医療被ばく線量管理を取り巻く環境は急速に変化している。
線量管理システム「DOSE(ドーズ)」は,線量管理が3年以上前に義務化されている欧州において600施設以上で使用されており,さまざまなモダリティの線量管理だけでなく,患者の被ばく線量・放射線科業務の最適化に貢献する。本稿では,DOSEの特長を紹介する。

柔軟な線量情報の取得

DOSEはCT,血管撮影,マンモグラフィ,一般撮影,核医学などのさまざまなモダリティをサポートする。線量情報はDICOM Radiation Dose Structured Report(以下,RDSR)から取得することが基本だが,古い撮影装置には未対応のものも多く存在する。DOSEはRDSRのほか,Modality Performed Procedure Step(MPPS),DICOMヘッダ,スクリーンキャプチャによるデータ取得にも対応しており,撮影装置メーカー・モデルに依存せず,院内のさまざまな撮影装置の線量管理が可能である。

診断参考レベルとの比較

線量管理は,まず診断参考レベル(diagnostic reference level:DRL)との比較が基本となる。CTなどは検査プロトコール単位での比較が必要だが,施設や装置によって独自のプロトコール名を使用していることが多い。比較するためにはまずこれらを対応させなければならない。撮影装置によって日本語の対応/非対応もあるため,院内でプロトコール名を統一するのは非常に困難である。DOSEはプロトコール名のグループ化機能を持っており,あらかじめ対応表を設定しておくことで,自動的にDRLのプロトコール名と院内で使用されているプロトコール名を紐づけることが可能である。また,比較結果も一覧で簡単に確認できるようになっている。装置側の設定や運用を変更することなく,効率的に比較できる。

異常を早期に感知できる日常管理

では,DRLを超えている場合はどうするのか? その原因を特定する必要がある。この原因にはさまざまな要素があるが,DOSEは個々の検査のSSDEやSSDEWED,ブラインドスキャンの自動算出,ポジショニング評価などの多角的な分析により,その原因特定を補助する。
また,DRLを超えていなければ何もしなくてよい,というわけでもない。例えば,IVRなどは皮膚障害のリスクがあり,DRLには規定されていない要素を考慮する必要がある。DOSEでは,事前に設定した特定項目の値が基準値を超えたときにアラートを出す仕組みや,実施した検査とほかの検査の線量をすぐに比較できる“ライブダッシュボード”機能も設けている(図1)。迅速なレビューを実施できることで,異常を早期発見することができる。

図1 ライブダッシュボード機能

図1 ライブダッシュボード機能

 

患者の被ばく相談対応

患者にとって理解が難しいDRL。DOSEは患者からの被ばく相談に対応できるよう,検査ごとの線量レポートも用意している。説明に使用する文章や図をカスタマイズできるため,施設ごとの運用に沿ったレポートを用いた説明が可能である。
また,各モダリティの線量値を実効線量へと変換することにより,モダリティをまたいだ患者の総被ばく線量の把握を可能とする(図2)。これらは,電子カルテなどの他システムから直接参照することにより,院内のスムーズな情報共有を可能とする。
そして,妊婦や小児に対する被ばく相談時に指標の一つとして提供できるのが,システムに内蔵されたボクセルファントムモデルを用いたCTやIVRの実効線量・臓器線量の自動推計である(図3)。成人,小児,妊婦など20種類以上のモデルを搭載し,患者に応じた精度の高いシミュレーションが可能である。

図2 患者単位の線量レポート

図2 患者単位の線量レポート

 

図3 実効線量・臓器線量の推計

図3 実効線量・臓器線量の推計

 

まとめ

急速に変わりゆく環境の中で,東陽テクニカはDOSEを通して,簡便な線量管理と患者に安心して検査を受けてもらうための環境構築に貢献していきたいと考える。

 

【問い合わせ先】
株式会社東陽テクニカ ライフサイエンス&マテリアルズ(メディカルグループ)
TEL 03-3245-1351
https://www.toyo.co.jp/medical/

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