線量管理システム「DoseChecker」(ジェイマックシステム)
スタンドアロンからRIS連携まで,シンプルな操作性と低コストをコンセプトにした線量管理システム「DoseChecker」
2019-10-29
はじめに
2018年度の診療報酬改定では,画像診断管理加算3および頭部MRI撮影加算が新設され,これらの加算算定要件としてCTの線量管理が必須条件となった。また,2020年4月には医療法施行規則の改正省令の施行が予定されており,線量の管理・記録が義務化されることを受け,対象の検査装置を有する医療施設においては対策が急務となっている。
当社では既設ユーザー様および各医療施設様から前述の対策に向けたご相談を数多く受けると同時に,詳細なヒアリングを実行,長年RIS・PACSを専業としてきたベンダーとして“お客様目線”ということを第一に考え,線量管理システム「DoseChecker」を開発,販売を開始したのでご紹介する。
製品概要
DoseCheckerは,各検査装置やPACSサーバと連携し,DICOM Radiation Dose Structured Report(以下,RDSR)またはDose Report画像からのOCR読み取りにより線量情報を取得・管理する。提供パターンは当社製PACSはもとより,他社製PACSと連携可能なスタンドアロンタイプに加え,当社の放射線部門業務システム(以下,RIS)「ACTRIS」と連携するDoseChecker ACTRISオプション(以下,ACTRISオプション)を用意している。当社システムを導入ずみのユーザー様については,いずれの構成でも既存システムのハードウエアを利用した構築が可能であり,コストメリットも非常に大きい。さらに,ACTRISオプションでは,検査装置からの線量情報とRISの豊富な情報を結びつけ,多角的に統合分析することが可能である。
製品特長
1.柔軟な線量情報の取得
線量情報の収集はDICOM規格であるRDSRを基本に取得する。RDSR出力が未対応な装置への対応として,Dose Report画像のOCR読み取り機能(CTのみ)も備えている。Dose Reportは各メーカーの装置ごとに出力される画像が異なるため,正確な解析結果とならない場合もあり,当社では本機能を使用する場合は必ず事前に読み取りテスト・検証を行っている。また,装置によっては取得した情報に体重などの情報が不足しているケースや,核医学検査においては実投与量情報が不足するケースがあり,これらの対策として手入力で情報修正できる機能も有している(図1)。
2.診断参考レベル(DRLs 2015)との比較
診断参考レベル(DRLs 2015)と自施設の線量情報を簡便に比較することができる。また,検査装置や期間ごとにプリセットを設定することで,定期的な比較も可能である。
3.直感的な箱ひげ図と散布図による詳細な分析
より視覚的・直感的な線量情報把握のために,箱ひげ図を採用している(図2)。撮影プロトコールや検査記述,体重,年齢ごとの集計・比較ができ,施設全体の線量情報を“見える化”し,自施設の線量分析を支援する。また,箱ひげ図をクリックすることで簡単に散布図を表示でき,詳細な線量情報を把握することが可能である。外れ値があった場合には散布図のプロットを選択することで,対応する検査情報や線量情報を表示でき,さらにPACSやレポートシステムと連携することで,1クリックで画像やレポートを参照することが可能で,詳細な外れ値の分析が行える。
4.外れ値検知で原因を把握
自施設推奨の照射線量範囲を設定することで,自動的に設定範囲外の検査を検知する機能を有している。さらに,検知した検査の原因や対策コメントを入力して,外れ値の管理も可能である。
5.RIS を活用した豊富な情報量(ACTRISオプション)
DoseCheckerは,RISの豊富な情報とCTや血管撮影装置の線量情報を組み合わせ,詳細な線量管理が可能なACTRISオプションをご用意している。また,核医学検査については,RISの実績情報から取得することが可能である。
今後の展望
当社では,線量管理においては医療法施行規則改正省令施行による義務化以降も,診断参考レベルの改訂をはじめ,対象モダリティの追加,各ガイドラインへの準拠など,継続的な対応が必要と考えている。今後の動向を注視しながら順次機能追加を進め,ユーザー様が安心して使い続けられるよう,引き続き製品開発とサービスの向上を進めていく。
●問い合わせ先
株式会社ジェイマックシステム
E-mail sales@j-mac.co.jp