iRad®-RW(インフォコム)
レポートの見落とし防止対策とシステム

2019-2-1

インフォコム

診療支援


画像診断報告書の見落としは,多忙な医療現場であればいつでも起きる危険性のある問題である。医療事故情報を収集する日本医療機能評価機構より度重なる注意喚起がなされているが,依然として同種の事例がたびたび報告されている。日本医療機能評価機構から報告されている医療安全情報No.138によると,2015年1月〜2018年3月の間に37件,診療科や医師のキャリアに関係なく起きており,本問題の早急な対策の検討が求められている。
経済協力開発機構(OECD)の報告によると,わが国のCTは100万人あたり107.2台,MRIは51.7台と,他国に比べて圧倒的な数である。また,検査の実施を支援するための情報システムの導入も進んでおり,多くの読影レポートが日々作成されている。その結果,報告書内の重要情報を見落とすリスクが高まっているが,多くの医療機関では画像診断報告書の未読がわかるシステムが導入されておらず,見落としを検知する仕組みが整備されていないことも日本医療機能評価機構の報告書で報告されている。そこで今回は,放射線情報システム「iRad®-RS」および,放射線レポーティングシステム「iRad®-RW」に搭載されている画像診断報告書の確認漏れ対策機能をいくつかご紹介する。

レポート既読登録と既読チェック

iRad®-RWのWebレポート参照機能には,レポートの既読チェック機能が搭載されている。Webレポート画面は電子カルテなどから起動,読影レポートの参照に用いられ,既読チェック機能を用いることで「誰が」「いつ」レポートを参照したかを登録することができる。このチェック履歴はレポーティングシステムに情報が格納され,放射線科医が日常業務で使用しているワークリストに既読状況を表示,もしくはデータピックアップツールを用いて対象レポート一覧を出力することができる。

異常所見発見時の警告

悪性を疑われる事例や緊急を要する病変を発見した時の警告についても,iRad®-RSとiRad®-RWはいくつかの機能を持っている。iRad®-RSとiRad®-RWは同一データベースで動作するシステムで,データの相互参照が容易であるというメリットを持っている。例えば,検査担当技師が検査中に発見した異常が今回新たに出現したものかを判断するために患者の過去検査レポートを確認すること,読影医に注意を促すためのメッセージを送ったり,メッセンジャー機能を活用することなどが容易にできる。また,記載様式の工夫や構造化レポートの活用,もしくは重要レポートフラグなどを活用することで,依頼医へ異常を警告することができる。

最後に

日本医療機能評価機構から報告されている医療事故情報収集等事業第51回報告書では「事例が発生した医療機関の改善策」として,電子カルテ上の画像検査に関するシステムについていくつかの対策例が示されており,システム対策以外にも運用面の改善策について記載されている。今回紹介した既読管理機能を活用することで,未読のまま放置されるレポートをなくすことはできるだろう。しかし,医師がレポートの内容を正しく理解し,患者に説明を行い対処したかまでは管理することはできない。そのため,現状の運用およびシステム構成を考慮し,最適な形を現場の皆様とベンダーが一緒に検討して行くことが大切であると考えている。今後ともIT技術を活用したさまざまなシステムの提案を行い,医療安全に取り組んでいきたい。

図1 iRad®-RW Webレポート参照画面

図1 iRad®-RW Webレポート参照画面

 

 

●問い合わせ先
インフォコム株式会社 ヘルスケア事業本部放射線システム営業部
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-34-17 住友不動産原宿ビル
TEL 03-6866-3790
URL http://www.infocom.co.jp/healthcare/

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(ITvision No. 39 / 2019年2月号)
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