統合診療支援プラットフォーム CITA Clinical Finder(富士フイルムメディカル)
統合診療支援プラットフォームCITA Clinical Finderを活用した既読管理
2020-7-8
CITA Clinical Finder(以下,CITA)は,電子カルテで管理されているカルテ記事・病名・術式・処方などの各種の診療情報や,各部門システムで管理されている検査結果・レポート・診療文書・スキャンデータなどを統合し,それらのデータを目的に応じて参照・活用することを可能としたシステムである。当社では,2016年ごろからたびたび報道されていたレポート未読による医療事故を目にし,このような事故こそシステムで防止すべきという強い思いで,次の5つの特徴を持つ既読管理機能を開発し,CITA v2.1として2018年7月に正式リリースした。本バージョンの機能により,院内で発生する各種の検査レポートの未読防止に向けた,円滑な運用を可能にしている。
(1) 放射線・病理・内視鏡・生理検査などのすべての検査レポートの未読を一元管理
(2) 患者一覧画面による効率的な既読化
(3) 電子カルテログイン時や重要レポート到着時の未読レポート通知機能(図1)
(4) 部門システム側での既読操作との連携
(5) 管理者向けの機能提供
さらに2019年1月には,複数医師による既読管理を可能としたv2.2をリリースした。例えば,救急部門で当直の医師がオーダしたCT検査のレポートを,その後に病棟で主治医になった医師が読んだかどうかの管理や,研修医が出したオーダに対するレポートを,指導医が読んだかどうかの管理など可能となった。また,2019年5月に日本医療機能評価機構から発行された,「病理診断報告書の確認忘れ─上部消化管内視鏡検査─」の事例2に掲載された,内視鏡の依頼医と実施医が異なる場合の既読管理にも対応可能となっている。このバージョンでは,レポート既読時にコメントを残す機能を搭載し,患者説明を行ったことや,目的以外の所見が見つかった場合に,専門医に紹介したかなどを記録し,その情報を電子カルテの記事に連携する機能や,当社製PACSのSYNAPSEと連携し,画像に対する既読管理機能も搭載されている。このようなCITAの既読管理機能は,2020年5月時点で大学病院17施設を含む69施設に導入され,医療安全の向上に役立っている。
さて,2019年12月11日には,厚生労働省から3回目の注意喚起として「画像診断報告書等の確認不足に対する医療安全対策の取組について」が事務連絡された。これには,大阪大学大学院医学系研究科医療情報学の松村泰志教授を代表とする研究班による研究結果が添付されており,レポート未読事故の発生原因や,それを防止するための「画像診断レポート,病理診断レポートの見落とし防止対策システムの機能仕様項目」が明記されている。CITAは,この機能仕様項目の電子カルテのオーダリング機能と部門システムでのレポート作成機能を除く80項目のうち,71項目(89%)をカバーしている。つまり,CITAの既読管理機能を運用することは,厚生労働省が推奨する標準仕様に則って既読管理をしていると言えると考える。残りの9項目は,いずれも運用に支障のないものではあるが,今後順次リリースを行う計画としている。
上記の研究結果にも記載されているが,今後の課題としては,レポート未読の管理だけではなく,レポートを読んだにもかかわらず,患者に説明していなかったり,適切に次の診療に進んでいなかったりして,病状が悪化しまうことをシステム的に防止することと考えており,当社はこの点についても取り組みを始めている。
当社製品に限らず,このような既読管理機能が普及し,病院・患者双方にとって不幸な医療事故が二度と発生しなくなることを強く願っている。
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