技術解説(シーメンスヘルスケア)

2022年8月号

Breast Imaging最新技術

乳房MRIの診断能を向上させる最新技術の応用

乳房造影MRIは,乳がん診断における画像診断法の中でも検出感度が最も高く,ハイリスクグループに対するスクリーニングにも用いられる。本稿では,乳房造影MRIの診断能を向上させる最近の動向・技術について紹介する。

●“GRASP”によるultra-fast DCE MRI

乳房造影MRIの課題の一つとして,背景乳腺の造影効果による特異度の低下が挙げられ,造影早期相までを高い時間分解能で撮像するultra-fast DCE MRIの有用性が報告されている1)
“GRASP-VIBE”を用いることにより,乳房造影MRIで必要とされる高い空間分解能と高い時間分解能のultra-fast DCE MRIを実現できる。また,再構成に圧縮センシングを利用するため,時間軸方向での造影コントラストのコンタミネーションを最小限に抑えることができる点も特徴である(図1)。

図1 GRASP-VIBEによるultra-fast DCE MRIの画像例

図1 GRASP-VIBEによるultra-fast DCE MRIの画像例

 

●高分解能“RESOLVE”DWIへの期待

乳房MRIにおいて,拡散強調画像(DWI)は補助的な役割であるが,RESOLVEを用いた高分解能DWIにより,腫瘍の評価において造影MRIとよく一致するという報告もある2)。多断面同時励起技術を併用することが可能となり,高空間分解能化と撮像時間短縮を両立したDWIの臨床応用が期待される(図2)。

図2 SMS RESOLVEの画像例 High resolution DWI画像(a)と,同じslice位置のDynamic T1WI(b)

図2 SMS RESOLVEの画像例
High resolution DWI画像(a)と,同じslice位置のDynamic T1WI(b)

 

●参考文献
1) Kataoka, M., et al. : An Invited Review for the Special 20th Anniversary Issue of MRMS Ultrafast Dynamic Contrast-enhanced MRI of the Breast : How Is It Used? Magn. Reson. Med. Sci., 20(1): 83-94, 2022.
2) Kishimoto, A.O., et al. : The comparison of high-resolution di usion weighted imaging (DWI) with high-resolution contrast-enhanced MRI in the evaluation of breast cancers. Magn. Reson. Imaging, 71 : 161-169, 2020.

 

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