技術解説(シーメンスヘルスケア)
2017年3月号
US Today 2017 超音波最新動向
Point of careにおける“使いやすさ”と“感染対策”
平山 秀男(シーメンスヘルスケア(株)超音波事業本部超音波事業部)
point of careにおける超音波装置の有用性は,いつでも,どこでも,さまざまな目的で使用できるという柔軟性と適応性にある。小型で,移動が容易で,ベットサイドですぐに使用できる。point of careにおける超音波装置の重要性は,ますます高まるものと思われるが,同時に懸念すべき問題点もある。1つは,日ごろ,超音波装置に不慣れな先生方が使用されるケースである。検者の熟練度により取得画像に差が出てしまうという,超音波装置のデメリットが顕在化してしまう可能性がある。操作に習熟し,集中して最適な画像を取得するためには,“使いやすさ”が重要な因子となる。もう1つは“感染対策”である。米国では,2011年に約72万人が急性期病院での治療中に院内感染に罹患し,うち7万5000人が院内感染が原因で死亡しているという報告がある1)。手術室やカテーテル室といった清潔領域,血液や薬剤の飛散の懸念がある救急領域では,患者だけでなく医療従事者への感染リスクにも十分注意する必要がある。今回は,この2点に注目し,シーメンス社のpoint of careに最適な2つの超音波装置に関し解説する。
安全で確実な医療処置を「ACUSON Freestyle」
ACUSON Freestyle(図1)は,安全で確実な医療処置を目的とし,世界で初めて*ケーブルレスプローブを搭載した。清潔区域において,ケーブルが不潔区域に触れてしまうという懸念から解放され,感染リスクの低減はもちろんのこと,医療処置に集中することができる。超音波装置の操作もいたってシンプルである。画像の調整に必要なメニューは,すべて画面の右側に集約され,操作ダイヤルの回転だけで容易に選択が可能である。また,これらのメニューは,ケーブルレスプローブからのリモートコントロールも可能となっている。上下のスライダーでメニューを選択し,“+”と“−”の2つのボタンのみで調整が可能である。操作には少し慣れが必要となるが,習熟度が増すほど,より簡便な操作が可能となる。そのほかにも,ピクセル単位でのフォーカシング技術により,フォーカス設定の必要がなく,輝度の自動調整機能も搭載しているため,日ごろ,超音波装置の操作に不慣れな先生方でも,すばやく,簡単に最適な画像調整が可能となっている。
いつでも,どこでも,簡単に「ACUSON P500」
ACUSON P500(図2)は,point of careでのさまざまな使用目的に対応できるよう,据え置き型超音波装置の性能をノートブック型に集約したポータブル超音波装置である。直感的かつ簡単に使用できるよう,シーメンス社として初のタッチパネル操作とコントロールパネル操作が可能なデュアルインターフェイスを採用した。point of careでの使用を考慮し,タッチパネルモニタは手袋を装着した状態でも使用可能である。モニタも15インチと大きく視認性に優れ,輝度の自動調整機能に加え,据え置き型超音波装置に搭載されている画質向上のための送受信技術やノイズ低減フィルタも標準装備しており,誰もが簡単に高画質な画像の取得が可能である。薬剤や血液の飛散を考慮し,コントロールパネル部分には専用のカバーが取り付け可能となっており,感染リスクの低減はもちろん,装置故障のリスクも低減することが可能である。
*2014年4月2日現在,当社調べ
●参考文献
1)Magill, S.S., et al. : Multistate Point-Prevalence Survey of Health Care-Associated Infections. N. Engl. J. Med., 370, 1198〜1208, 2014.
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