技術解説(GEヘルスケア・ジャパン)
2014年12月号
Digital Radiography(DR)を極める【動画編】
より生産性の高いハイブリッド手術室のために(装置:Discovery IGS 730/740)
柴草 高一(GEヘルスケア・ジャパン(株)Interventional Sales & Marketing部)
ステントグラフト内挿術(TEVAR/EVAR)や経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)にけん引され,本邦においてもハイブリッド手術室(以下,HOR)として,手術室内にX線血管撮影装置を設置するケースが増加している。十分な手術室数を確保できる施設においては,上記の手技専用HORとして運用することも可能ではあるが,一般的には複数の診療科との「room share」を行う必要がある以上,開心術や開胸術などに一般的に用いられる手術台とX線血管撮影装置との組み合わせによる装置が選択されるケースがほとんどである。
一方で,インターベンション手技の進化は目覚ましく,さまざまな最新デバイスの登場により,その適応領域も飛躍的に拡大してきており,患者自身も「低侵襲なカテーテル治療で対応できるなら」というインターベンション志向が日増しに強くなってきている背景も否めない。
そのような状況の中,さまざまなニーズをすべて網羅するための「最大公約数的HOR」の実臨床における生産性に関しては,疑問を持たざるを得ない。例えば,1つの手術室を複数の診療科でシェアする場合,診療科ごとに好みの手術台が存在するはずであるが,HORとして導入された装置の手術台の変更は困難である。HORのメインの手技であるインターベンションにおいても,一般的な手術台は緻密なカテーテル操作のための手術台コントロールがしづらかったり,そもそもX線血管撮影装置用のコントローラを手術台横に十分配置できなかったりもする。さまざまなニーズを事前検討して導入を図ったものの,結果的には「帯に短したすきに長し的なシステムになっている」という声も少なからず聞こえてくる。
インターベンションにおいては,CアームのみならずさまざまなスタッフがHOR内を機敏に動かなければならず,各種デバイスはタイムリーに術者に手渡される必要がある。一般の手術室と比較すると,「人と物が動く手術室」として位置づけられる。TEVARの前にはDebranch術が必要であり,かつ鼠径部での皮膚切開も伴う。したがって,HOR内の清潔度も熟考される必要がある。
また,手術室であるため,「シーリングペンダントの自在なレイアウト」もきわめて重要である。手術室を効率良く,術者が円滑に手術できる環境を構築するためには,本来は一般の手術室と同様に「Ceiling Free」で,無影灯や術野カメラ,各種モニタなど,最適な天井レイアウトが求められる。
さらに,全身麻酔が必須であるため,麻酔科医の作業スペース,ならびに麻酔器の設置位置も,円滑な手術の施行のためにはきわめて重要度の高いファクターとなる。
上記のように,「円滑で清潔なHOR」を主眼に考慮した場合,「Discovery IGS 730/740」(図1,2)はさまざまな優位性を持つ。レーザーガイド床走行式Cアームを基軸に,カテーテル治療を行いやすい通常フローティング機構かつIPX4の防塵防沫対応の手術台,そして,“InnovaVision(3Dロードマップ)”などのインターベンション支援のアプリケーションが装備されている。
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「ハイブリッドカテラボ構想」として,TEVAR/EVARやTAVI以外にもペースメーカ留置などの皮膚切開を伴う手技を中心にHORで「より清潔に運用」することで,通常のカテーテル室は,心筋梗塞や脳梗塞の緊急患者により対応しやすくなる。
HORは高額投資を必要とし,費用対効果を熟考し選定されるべきものだと思っている。そのような背景において,弊社装置が一つの選択肢となれば幸いである。
*多目的X線撮影システム Discovery
医療機器認証番号225ACBZX00006000号
【問い合わせ先】
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