技術解説(GEヘルスケア・ジャパン)

2012年10月号

Digital Radiography(DR)を極める【静止画編】

ワイヤレスフラットパネルディテクタ「FlashPad」の紹介

中川光紀(X-ray Sales & Marketing部)

GEがフラットパネルディテクタ(以下,FPD)搭載型一般X線撮影装置を発表して12年目になり,世界では累計1万8000枚出荷を突破した。本稿では,臨床応用を拡張するGEの最新ワイヤレスFPD「FlashPad」(図1)を紹介したい。

図1 FlashPad

図1 FlashPad

 

■低線量・高画質でアドバンスドアプリケーションへの対応が可能

GEは今回,最新の一般撮影フラグシップモデル「Discovery XR656」で初めてFlashPadを搭載,“デュアルエナジーサブトラクション”(図2 a),“Volume RAD”(トモシンセシス,図2 b),“Auto Image Paste”(長尺撮影,図2 c)の3つのアドバンスドアプリケーションに対応できる性能を持たせた。基本性能として,200μmピクセル,CsI間接変換方式,1枚成型という特長を備え,1照射の線量が少ない場合でも,低ノイズ画像データが取得できるよう,“低線量&高DQE”のコンセプトも兼ね備えている。また,マルチフレームイメージング技術を採用し,すべてのアプリケーションで200μmピクセルビニングなしのままで,2022×2022×14ビットのピクセルデータを読み取り可能にし,臨床での応用範囲を拡大することに成功した。

図2 アドバンスドアプリケーション

図2 アドバンスドアプリケーション

 

■高速かつ高い信頼性を兼ね備えた通信技術UWBを搭載

撮影画像データをワイヤレス運用する場合,特に重要なのは画像データ通信に伴う安全性,信頼性である。GEでは複雑さが増す今日の通信環境を踏まえ,こうした点を一番に考え,さらに利便性も追究するべく,超広帯域幅を利用し,低出力かつ高速通信が可能な無線技術“Ultra Wide Band(以下,UWB)”を採用した(図3)。このUWBにより,ワイヤレスでの大量のデータ通信が可能となっただけでなく,自他ともへの電波干渉が少なく,通信の危険を回避し,院内でも安全に画像データをやり取りできるようになった。また,同時に消費電力も抑えており,大容量高速通信で,電波干渉に強いという高い信頼性を備えた通信技術となっている。

図3 Ultra Wide Band

図3 Ultra Wide Band

 

■ワイヤレスデジタルを生かすためのシステムデザイン

ワイヤレスのFPDが整形外科領域の撮影や,救急対応などに使用することを考慮し,GEでは使いやすく長期にわたって使用可能な堅牢な強度・耐久性を有すること,またハンドリングしやすい外観デザインやフレキシビリティを持つことを意識して,FlashPadをデザインしている(図4)。そのため,女性技師でも持ち運びが便利なよう,2ハンドルを採用,同時にピンポイント荷重で110kgの対荷重性能を備え,さまざまな臨床場面でご活用いただけるようなデザインになっている。

図4 システムデザイン

図4 システムデザイン

 

以上,3つのポイントで挙げたとおり,FlashPadは整形外科領域をはじめとする複雑な撮影や緊急撮影などに対応するだけでなく,安全性,信頼性をも考慮したシステム設計となっている。今後も広くご活用いただきユーザーの皆さまの声をいただきながら,さらなる進歩に努めていきたい。

*販売名称:据置型デジタル式汎用X線診断装置 Discovery
医療機器認証番号:221ACBZX00068000
Discovery XR656は,上記医療機器の類型Discovery XR656です。

 

【問い合わせ先】X-ray Sales & Marketing部 TEL 042-585-5111

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